俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」 MY ARCHITECT

2006年06月18日 23時40分19秒 | 時系列でご覧ください
20世紀の建築家の中で、フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、ヴァルター・グロピウスといった近代建築の四大巨匠とともに建築家にも人気の高いとされているルイス・カーン。
とにかく映画に出てくる彼が作り出した作品の数々、それらがとても印象的でかつどれもが美しくて圧倒される。

そしてそうした独創的な多くの建造物を世界中に作ったルイスには本妻と二人の愛人がいて3つの家族を持っていて、二人目の愛人の息子であるナサニエル・カーンが世界各地の建造物をたずねながら、そんな父とゆかりのあった人たちの証言を聞き、亡き父の実像に迫ろうとした姿をとらえようとしたのがこの作品。



ここには天才建築家の偉業をたたえるといった偉人伝的要素は皆無で、父親の死後25年を経て、なき父親の足跡を辿りながら徐々に父親を理解し始め、やがて受け入れていくナサニエルの心の旅とでも言うべき姿が美しい映像とともに描かれる。

そして映画は父親と息子の関係だけではなく、彼を愛した女性たちの思いが語られ、そしてさらには異母姉妹である子供たちを登場させ、「父が同じだから家族だというのは、意味のない考えだ」といった意見を取り上げたりして「家族」というものに対しての広がりを持たせてもいる。

それはやがてそれは、晩年の傑作で、世界で最も貧しい国が彼も最も大きな作品を作り上げたといわれる『バングラディッシュ国会議事堂』での感動的なシーンへと見事に続いていく。

とにかくジョセフ・ヴィタレッリによる胸に沁みる素晴らしい音楽とともに描かれるとても美しくて切ない見事な作品でした。



それにしてもそんなルイスが育って、仕事の拠点ともなっていたフィラデルフィアがある州と言えばペンシルヴェニア。その名前と同じ名前でマジソン・スクエア・ガーデンの地下にあるアムトラックの駅である通称ペン・ステーション、ペンシルベニア駅で波乱の生涯を終えたのは、何とも言えない偶然のような気がした。



今日の1曲  “ Long May You Run ” : The Stills-Young Band

カーン自身が「完成を最も満足した」最初の建築物であると言われているカリフォルニア州にある『ソーク生物学研究所』のシーンでこの曲が流れたのにはちょっと驚いてしまいました。
1976年にリリースされたニール・ヤングとステーヴン・スティルスとの最初で最後のコラボアルバム同名タイトルのアルバムの1曲目に収録。
ちょうど日本では “ Heart Of Gold ”が「孤独の旅路」 としてヒットしたこともあって「太陽への旅路」というヘンテコな邦題が付けられていました(苦笑)。
とにかくこの歌をバックにローラーブレードで走るナサニエルの姿もまたとても印象的でありました。
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2 コメント

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やはり。。。 (ツボヤキ)
2006-06-20 02:16:43
ご覧になったデスね。

もしかしてご覧になられるのでは、と、絶対に

ヤングの事は伏せておこうと思ったデス(笑)

やはり、映画は驚きや歓びが、嬉しかったり

するデスよね。

音楽は仰る通りで、良い曲が使われていました。

あぁ~良かった、デス。
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おはようございます (nikidasu)
2006-06-20 09:15:41
■ツボヤキさんへ



予告編を観た時点では、観ようかどうしようか

若干迷っていたのですが、ツボヤキさんのブログが

背中を押してくれました。多謝。

単なる建築家の生涯にとどまらない面白さに満ちた

映画であるだけに、より多くの人たちに見てもらい

たいものデス。
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