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昔々、ロンドンに1年ほどいた時、ナショナル・フィルム・シアター( 通称 NFT )の会員となり、それこそ毎週何本も何本も旧作中心に映画を観ていた時期があった。
そしてそこで印象に残っていたのが、監督特集で上映されていたウディ・アレンの初期の作品群だった。
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思えば、図らずもオスカーまで獲ってしまった「アニー・ホール」で日本では一躍知られるようになったウディ・アレンだけど、当時はそれ以前の作品を目にすることはほぼなく、この辺りの作品は例えばニューヨークならブレーカーシネマやカーネギーホールシネマといった映画館で観るしかなかったような気がする。
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そしてあれから幾星霜。
そんな中でもタイミングが合わず、これまで観ることが叶わなかった監督第2作品目となる1971年製作の「バナナ」が、あろうことか、TSUTAYA のワゴンの中で500円で売られているのを先日見つけ、思わず早速購入し、時間があった昨日の夜、ワクワクしながら観たのでありました。
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話そのものは南米の架空の小国で起こる革命をベースとしたドタバタ劇なんだけど、そこには彼ならではの批評精神が随所に顔を出し、例えば学生運動、あるいは政治活動へのシニカルな視線があったり、ナショナリズムに対しておちょくって見せたり、さらにはお馴染みの自虐的な内面がベースとなる恋愛や失恋がそこに加わったり…。
とにかく、あの時代の空気を彼ならではの切り口でアイロニカルに表現し、言ってみれば今と何ら変わらぬウディ・アレンらしさがそこにはあって、そう言った意味でも大いに興味深かったのでありました。
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加えて、この頃はまだ36歳ということもあってか、まさにバスター・キートンやチャップリンばりに身体を張ったスラップスティックで軽妙な動きも見せてくれて、もちろん時代を感じてしまうところは少なからずあるにせよ、悲哀を感じさせつつ思わず笑ってしまうところも多々あり、ある意味ウディ・アレンの原点を見る思いだったし、70年代初頭という時代を知るものにとっては、その時代背景に対して懐かしく、かつ興味深くもあったのでした。
ということで、例えばブライアン・デ・パルマ監督も「アンタッチャブル」で引用していた「戦艦ポチョムキン」へのオマージュがあったり、多少マニアックではありますが、ウディ・アレンファンのみならず、映画好きな人には一度観ることをオススメなのであります。
機会があれば是非!
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今日の1曲 “ Goodnight Irene ” : Ry Cooder
映画とはあまり関係はないのですが、中南米や南米の音楽にとりわけ興味を示していたライ・クーダーの曲を…
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