俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「ロンドン・ブルバード - LAST BODYGUARD - 」

2012年02月26日 16時19分02秒 | 時系列でご覧ください

「ディパーテッド」の脚本でオスカーを獲得したウィリアム・モナハンが、ハリウッド映画の古典「サンセット大通り」(1950)を下敷きにしたアイルランド人作家ケン・ブルーエンの犯罪小説を基に監督デビューを飾ったハードボイルド・サスペンス作品。


ヤードバーズの「 Heart Full Of Soul 」が流れ、シネスコサイズの画面という 60年代のイギリス映画テイストたっぷりのオープニングクレジットにまずは心ワクワク。

話そのものは、裏社会の生活から足を洗うと決意するものの簡単にはしがらみを断ち切れず、我慢に我慢を重ねていたコリン・ファレル扮する元服役囚が、やがてついに堪忍袋の緒が切れ、一人で組織に立ち向かっていくという、フランスのフィルムノワールや東映の任侠映画と相通じるお馴染みのこてこてパターン。

ただスタイリッシュな映像な映像や人間関係の在り方はどちらかというと香港ノワールを彷彿させるのは、やはりウィリアム・モナハンが「ディパーテッド」のもとネタとして脚色した「イアンファナル・アフェア」の影響なのか(苦笑)


それはさておき、物語の背景にあるギャングや少年犯罪者、そしてホームレスや不法滞在外国人の存在やパパラッチに警察腐敗といったイギリスの陰の部分もしっかり描かれ、劇中流れる楽曲もまたローリング・ストーンズの「ストレイ・キャット・ブルース」、ボックス・トップス「あの娘のレター」、ボブ・ディラン「ホームシック・ブルース」、ヤードバーズ「ブギウギ列車夜行便」などなどロンドンの雰囲気にピッタリで、師匠のマーティン・スコセッシ譲りなのか?その音楽センスにびっくり。(※楽監修は、UK Rock バンド KASABIAN のセルジオ・ピッツォーネ)


加えて主演のコリン・ファレル、キーラ・ナイトレイの二人に加え、主人公にとって厄介な昔馴染みの小悪党に扮したベン・チャップリン、意味深な役柄を怪演したデイヴィッド・シューリス、そしてギャングの親玉を憎々しく快演したレイ・ウィンストンなど、適材適所的なキャスティングの妙にも感心。


ただ唯一惜しいのが主人公二人の恋愛としての絡みの部分。
ここがどうにもこうにも取ってつけた感があるというか、明らかに艶不足で、ここの部分で心情移入しきれないところが何とも残念無念。トホホ


とは言え、この手の映画はかくあるべきといった納得のラストシーンを含め、良い意味でかつてのB級プログラムピクチュアぽい仕上がりに、一人ほくそ笑んだのでありました。
ということで、情の部分で物足りなさを感じないこともないけれど、インファナル・アフェアシリーズあたりが好きな人には特にオススメであります。
機会があれば是非!




今日の1曲 “ Heart full of soul ” :  The Yardbirds 

それにしてもかつてロンドンにいた時に住んでいたホーランドパークの名前が出てニヤリしてしまったのですが、その頃に知り合った年長の友人がヤードバーズファンだったことを思い出し、この曲をオープニングに持ってきたそのセンスに拍手なのであります。




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