阪神11R 朝日杯FS
◎15.リオンディーズ
○11.エアスピネル
△9.ボールライトニング
×7.イモータル
人気どころが素質上位能力上位だと思うが、ツルマルレオンの弟シュウジは1200mでもうなりながら先行するほどで1600mより1400mがベター。イモータルとリオンディーズは血統も体型も見るからに中距離馬。エアスピネルとボールライトニングはノーザンテーストの影響が強いマイラー体型。ただしエアスピネルは皐月賞馬や秋華賞馬やAJCC馬が出る牝系が機動力抜群でいかにも中山向きで、デイリー杯はスローの上がりの競馬をピッチで一気に抜け出したが、どちらかといえば中山の朝日杯のほうが◎を打ちやすい馬ではある。ボールライトニングはダイワメジャー産駒だからカレンブラックヒルやメジャーエンブレムのように前々で押し切るしかないが、この2頭と比較すると母系にスプリンターのインデェアンキングが入るし、姉デグラーティアはスプリンターでイトコのニシノラッシュは1400mベスト。外マイルのG1を正攻法で押し切れるかとなると少し説得力に欠ける。リオンディーズはシーザリオの仔でエピファネイアの弟だから中距離血統だが、伸びのある体型で動かすとしなやかで柔らかいのは兄と似ていて、スピードの乗りはいかにも外回り向き。シーザリオは旧コース(内回り)の桜花賞で先に抜け出したラインクラフトを差せなかったが、息子は外マイルならば中距離馬としてのスケールで、爆発力のあるストライドで差せるのではないかとみる。兄ほどハビタットのトモの非力さはないので急坂もOKだろう。イモータルも奥のある中距離馬だがまだまだ馬の緩くて未完成で、追い切りでは渋った馬場で動きが悪かった。現状は急坂でタフな馬場よりは平坦で軽い馬場がベターか。
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今年の朝日杯FSは、1600mの距離適性ならばエアスピネルとボールライトニング、リオンディーズとイモータルはまだしなやかすぎて緩いと感じさせるぐらいの中距離馬で、シュウジは何とかごまかしてマイルをこなしているけれど小倉2歳のうなりをあげる行きっぷりをみても本質はスプリンター、さてここから◎をどうやって決めるかというレースでした
キングカメハメハ×サンデーサイレンスはオールラウンドな配合で芝もダートもマイラーも中距離馬もストライド型もピッチ型も何でも出ますが、オールラウンドなだけに配合には素直
エアスピネルの場合は「母のエアメサイアにはあまり似ていない」と笹田師が仰るように、父キングカメハメハと母母エアデジャヴーのところでNorthern DancerやFlower Bowl≒Your HostessやRibotなどをクロスするので、エアメサイアというよりはエアデジャヴーの面影が強いノーザンテースト的なマイラー体型をしていて、皐月賞馬や秋華賞馬が出たこの牝系特有のBold Ruler的な俊敏な機動力も受け継ぎました
ピッチで走るマイラーなので、デイリー杯をみてもスローのマイル戦では瞬発力の違いが歴然なのですが、もう少し淀みなく流れたときに、外回りの長い直線で持続力も要求された場合に、回転の速さだけで乗りきれるのだろうか、というのが唯一の不安材料としてありました
一昨年までの朝日杯ならば、中山マイルならば◎エアスピネルで即断やったと思います
ボールライトニングは紛れもない「ダイワメジャー黄金配合」ですが、先週も書いたようにダイワメジャー産駒が外マイルの大レースを斬れで勝つことは難しく、となるとJFのメジャーエンブレムのように持続戦パワー戦に持ち込んで横綱相撲で寄り切らなければならず、しかし横綱相撲で勝ちきるには母系の地力や底力がメジャーエンブレムやカレンブラックヒルやコパノリチャードと比較しても少し落ちる、というのが私の見立て
となると、阪神外マイルになってからの桜花賞や阪神JFが、オークスに直結するようになり中距離馬が斬れで差せるレースになったことを思えば、リオンディーズが兄エピファネイアや母シーザリオと似た身のこなしで、しなやかにストライドを伸ばして差し届く絵がおぼろげに見えてきたのです
シュウジがうなって行きたがるのを岩田が好位で押さえ込んだので、途中が12.6-12.7と中だるみし、上がり3Fが11.9-10.8-11.7、この10.8のところでエアスピネルは持ったままで抜け出して、望みどおりピッチで押し切れるレースになったかに見えました
でも外から一頭だけ、しなやかなストライドでスピードに乗ってくる馬がいた
旧阪神コースの桜花賞は、スタートから2角まで斜めに進入していくので先行馬が斜めに殺到し、“魔の桜花賞ペース”と呼ばれるHペースが度々演出されたのですが、でもアグネスフローラやキョウエイマーチやテイエムオーシャンやラインクラフトなどはそれを鼻歌交じりで捌いて、「そりゃそうよ私はマイラーなのよ」という華麗な勝ち方をしてみせたもんです
1600mのデビュー戦を楽勝したシーザリオは、2戦目に中山2000mの寒竹賞を勝ち、3戦目にはフラワーCを選んだように、明らかにマイラーではなく中距離馬と目されていました
そこも楽勝して桜花賞に駒を進めて1番人気に支持されるわけですが、スタートそのものはよかったものの、2角までのダッシュでマイラーのラインクラフトやデアリングハートに少し見劣ったために、外からデアリングハートに斜めに寄ってこられたときにズルッと後退
「ミルコ!ミルコ!ミルコ~!と叫んだけど前に入ってきやがった…」
福永祐一の代打で手綱をとった吉田稔が悔やんでも悔やみきれない2角の入り、あそこが明暗を分けたレースで、そこからはラインクラフトの後を追うように完ぺきに捌いて、内回りの短い直線を猛然と差してきましたがクビ差届かなかったところがゴールでした
第65回桜花賞
https://www.youtube.com/watch?v=jnHmEdUkSsM
今にして思えば、あのトリッキーなおむすびコースのマイル戦における数完歩のダッシュの違い、これこそがマイラーと中距離馬の違いというべきで、ラインクラフトは勝つべくして勝ったし、シーザリオは負けるべくして負けたというべきかもしれない
その後阪神競馬場は大幅に改装され、外回り1600mで行われるようになった桜花賞は中距離馬が斬れで差し切れるレースとなり、スペシャルウィークのもう一頭の代表牝駒ブエナビスタは、Nijinskyクロス譲りの胴長の体躯を活かし、桜花賞とオークスを斬れ味でぶっこ抜いてみせました
あの桜花賞から早10年、息子はあと50mでエアスピネルについに並びかけると、母譲りのしなやかなストライドでゴール板を駆け抜けていきました
今日の朝日杯の叩き合いは、もちろんシーザリオとエアメサイアのオークスの叩き合いと重なるものがあるのですが、エアメサイアがラインクラフトを差し切り、ついにG1のタイトルを手中におさめたのは内回りの秋華賞でした
皐月賞まで、まだまだライバル物語はつづくのです
1,2着馬についてはNETKEIBA「重賞の見どころ」より再掲して終わりにしますが、リオンディーズやエピファネイアやシーザリオが字面の血統からは信じがたいほどのしなやかで俊敏な身のこなしで走るのは、やはりHabitatの影響としか私には考えられない
Habitatの血を引くと後駆が非力に出ることが多いのが弱点で、しかしリオンディーズはエピファネイアほどはトモが非力ではなく、そのぶん前の駆動はエピファのほうが上、京都外回りをうなりながら下ってくる脚はエピファのほうが上かな(・∀・)
Habitatは8戦5勝のチャンピオンマイラーですが、父がナスキロ血脈で最も柔らかいSir Gaylord、そして母父Occupyがまたもの凄い配合で、ヒマな人はこのへん掘ってみてください(・∀・)
エアスピネル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105399/
エアワンピースの半弟。母エアメサイアは秋華賞馬で、母母エアデジャヴーはクイーンSに勝ち桜花賞とオークスで2着。近親にエアシェイディ、エアシャカール、エアソミュールなど。キングカメハメハ×サンデーサイレンスはドゥラメンテやローズキングダムやベルシャザールなどと同じで、オールラウンドな配合だけに母方の特性が素直に出やすく、本馬はノーザンテースト似のマイラー体型と俊敏な脚捌きが印象的。急坂小回り向きの長めマイラーで、京都外回りだとスローのほうが瞬発力がより活きそうだとデイリー杯の時に書いたが、やはり瞬発力が全然違うという圧勝だった。ここは持続力も問われるレースになってどうか、というのが課題だろう。それ以外に死角らしい死角は見当たらない。
リオンディーズ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105915/
エピファネイアの半弟で、母シーザリオはオークス馬。父がNorthern Dancer4×4・5で母がNorthern Dancer5×3とNorthern Dancerクロスがくどい配合だが、Nureyev≒Sadler's Wells4×3、ラストタイクーン≒マルゼンスキー3×4、Never Bend≒Bold Reason6×5と父母相似配合になっていて、両親の能力の高さがうまく伝わったと解釈したい。伸びのある体型で動かすとしなやかで柔らかいのは兄と似ていて、スピードの乗りはいかにも外回り向き。だたこれもイモータルと同じでマイラーではないだけに、中距離馬としてのスケールの大きさで勝ちきれるかどうかだ。エピファネイアほどトモの非力さは感じないので阪神の急坂はOKだろう。
前受けでふわりと抜け出したところをコンコルドに差されてからというものスペシャルやアドベガ、キズナに追い込みを覚えさせてきたユタカがアイドリーム一族の末裔にどんな教育を施すのか楽しみです。
中山→阪神に変更になったのもまたひとつの運命。
陣営としても悲喜こもごもでしょうが、そのへんもドラマとなり後々語り継がれていくロマンとなるんですね、シーザリオ母さんのように。
これも楽しみです。