栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

「重賞レース血統診断」ジャパンC、京阪杯、京都2歳S

2018-11-19 22:11:28 | 血統予想

NETKEIBAさんにて「重賞レース血統診断」と題して、基本的にはG1は全出走予定馬、G2G3は上位人気が予想される5頭の血統解説を書いています(毎週日曜夜更新)

https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=41754

今週はジャパンC、京阪杯、京都2歳Sを書いていますので、よろしければご一読ください。よろしくお願いします

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第35回マイルCS回顧~Specialな3/4同血クロスの破壊力

2018-11-19 17:16:21 | 血統予想

京都11R マイルCS
◎8.モズアスコット
○13.レッドアヴァンセ
▲11.ジャンダルム
△1.ステルヴィオ
△15.アエロリット
×18.ケイアイノーテック
今年のマイルCSは何が逃げるにしてもペースは落ち着きそうだが、モズアスコットはスタートはそんなに悪いほうではないし、ルメールはおそらくロジクライの直後で折り合いをつけるのではないか。ミスワキ4×3のクロスを持ち、母方のナスキロ柔さで走る大箱向きマイラーで、京都外回りは[1-3-0-0]だがベストコースの一つ。非サンデーのマイル王が春秋連覇とみた。ディープ産駒ではサーゲイロードをクロスしている2頭を京都向きとみてピック。

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「マイルG1は1分31秒台になるとStorm Catの高速巡行能力が光るが、33秒までかかると昨年同様ハービンジャーのゾーンになる。今年は時計一つかかってる感じやから良だと32秒台では」
「逃げ馬が一頭もいないのがややこしいが、アルアインは一頭になると気を抜くので、番手から直線で逃げ馬に並びかける形が理想。となると、ムーアかクリスチャンがテン乗りでどんな逃げを打つのか?」
週中はこんな話をあちこちでしてました

京都芝は今週からCコースに替わって明らかにバイアスが変わり、日曜は芝レースは計7鞍ありましたが、10Rテーオービクトリー(2人気1着)、9Rスマートセラヴィー(5人気3着)、7Rゴールドハット(6人気2着)、6Rシュガリートリーツ(2人気1着)、5Rカフジジュピター(2人気1着)、3Rギルマ(6人気3着)と、4角でラチ沿いにいた馬が必ず馬券に絡みました

7Rの芝外1600m戦がけっこう流れて前後半47.0-46.7、これでも差し追い込みは届かず4角5番手内の馬たちが上位を占めたのですが、500万下で1.33.7だからマイルCSはやはり32秒台の真ん中ぐらいかなと、アルアインとペルシアンナイトは33秒台でないと苦しいとみていたのでもちろん完消しのままで(^ ^;)

パドックではステルヴィオとモズアスコットがよく見えたし、返し馬でもステルヴィオがグンバツで、このあたりは競馬場にいるとなかなかブログのコメント欄に実況できないんですが、ラインでは各所に「ステルヴィオの出来が素晴らしい」とだけ入れておきました

レースはアルアインが好発を決めるも、外のムーアを見ながら「行ってくれ」と言わんばかり、そしてステルヴィオのビュイックが明らかに意思を持って出していき、アルアインの直後につけたのがまず目に入りました

47.1-46.2で1.33.3、7Rと比較してもスローのわりに上がりも超速ではなく、16着ぐらいまで横一線でゴールインしたのも頷けますが、それだけになおさら先行の利と内々の利が大きいレースになったかと

アエロリットは近親のミッキーアイルや父と牝系が同じテイエムジンソクと似たゴリ押し先行脚質で、安田記念を見てのとおり前傾ラップのパワー勝負に持ち込んだほうがパフォーマンスが上がるタイプ

だからここも、ミッキーアイルが逃げ切った16年のようなペースを刻むならば勝ち負けかと思っていましたが、世界一のジョッキーでもアエロのキャラや脚質を理解してキッパリ逃げるというのは、テン乗りでは難しかったということでしょうなあ…

「一昨年46.1-47.0で逃げ切ったミッキーアイル、あんたネオリアリズムに乗ってて直線ガシガシやっとったやろ? あれの親戚やから。同じようなゴリ押し脚質やから」と誰かムーアに教えてあげればよかったのにね(^ ^;)

モズアスコットは外を回らざるをえなかった時点で勝ち負けまでは難しかったかもしれませんが、4角の不利もけっこう大きかったし今日のところはノーカンでいいかと

7Rがカナロア産駒の叩き合いになったこと(1着3着5着)、そしてハービンジャー産駒が土日の京都芝で軒並み好走したこと(2-3-3-2)、このあたりから京都外マイルがカナロア産駒に向いたコースであることや、時計一つかかって昨秋ほどではないにしてもハービンジャー馬場になっている、というジャッジもできたかもしれませんが、朝から競馬場にいてもそのへんの馬場読みはけっこう難しかった

1~3着の血統については、例によってNETKEIBAの全頭血統解説より再掲します

ステルヴィオ
クランエンブレムの甥でタカオルビーのイトコ。母ラルケットはクイーンC3着。4代母スイートコンコルドはシンボリルドルフの全妹にあたる。母は1600~1800mベストだったが、本馬も最も斬れるのは1800mか。コーナー加速に難のあるタイプだから大箱がベター。つまり毎日王冠はベストコースだったが、まずまず期待どおりの斬れ味は見せた。ここも上がり3F1位はこの馬か。(距離○スピード◎底力○コース◎)



ペルシアンナイト
ゴールドアリュールやゴールスキーの甥でソロルのイトコ。3代母Reluctant GuestはビヴァリーヒルズH(米G1・芝9F)勝ち。ディアドラやモズカッチャンと同じく、母系にNureyevとNijinskyが入るハービンジャー黄金配合だ。ミルコは1800mベストと言っているが血統的にもピュアマイラーではなく、安田記念のようにマイルで高速決着になると苦しい。昨年のような時計かかる馬場が希望。(距離○スピード○底力◎コース○)



アルアイン
母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ち馬。母が北米血統のパワースプリンターで、ディープ産駒にしては斬れ味は並だが先行手堅い。このあたりはリアルインパクトと似たイメージで、こちらのほうが伸びのある体型だが、最近はよりマイラーっぽい肉付きにはなってきた。大箱の高速馬場だと斬れ負けすることが多いので、そこを川田がどう乗ってくるか。(距離○スピード○底力○コース○)



ステルヴィオの4代母スイートコンコルドは最強馬シンボリルドルフの全姉にあたり、そこにトウショウボーイが配されて生まれたファーストクラスは、今でいうとオルフェーヴルの全妹にキングカメハメハつけたぐらいの良血ですかね

写真はGKさんから送られてきたものでスイートコンコルドとファーストクラスのツーショット、これで見ても腰や脚の付き方がおかしいのがわかりますが、不出走のまま繁殖入りすると、サンデーサイレンスとの間にアズサユミ(1勝)、ラストタイクーンとの間にタカオサクセス(2勝)などを産み、アズサユミはオープン馬のクランエンブレムを、タカオサクセスはアイビスサマーダッシュ2着のタカオルビーを産んでいます



このファーストクラスを1億1845万円(当時の牝馬の最高価格)で落としたのがミルジョージでブイブイ言わせてた中村和夫さん(長男はケイアイファームの中村伊三美さん)で、そのファーストクラスの孫娘ラルケットにケイアイファームの至宝ロードカナロアが配されて、2018年のマイルCS勝ち馬が生まれたわけです

私が初めて競馬場でレースを見たのはルドルフが勝った春天で、競馬にハマりはじめた頃はトウショウボーイの産駒が大活躍していて、血統をかじり出したのはミルジョージがノーザンテーストの牙城を崩してリーディングになった頃かな、ファルブラヴが中山のJCを勝ったのなんてつい最近のようにも思える

ステルヴィオがG1を勝つときには渾身の◎で、こういう昔話を垂れ流しながら回顧を書きたかったなあ…と改めて血統表を見ながら

ちょうど発売中の『サラブレ』12月号では「キングカメハメハ系の配合のセオリーとは~アーモンドアイとステルヴィオのド鉄板配合を見よ!」と題して書かせてもらってますが、アーモンドアイはトライマイベスト≒ロッタレースの3/4同血クロス5×2、ステルヴィオはNureyev≒Fairy Kingの3/4同血クロス5×3

Northern Dancer
トライマイベスト
Sex Appeal

 ┌Northern Dancer
┌○
ロッタレース
Sex Appeal

Northern Dancer
Nureyev
Special

Northern Dancer
Fairy King
└△
 └Special

「全きょうだいクロスや3/4同血クロスをふつうのクロスよりも評価するのは、全きょうだいクロスや3/4同血クロスができるぐらい子孫が繁栄している名繁殖の血を、成功した組み合わせによってクロスしているからなのだ」というのが笠理論の根幹の一つ

だからアーモンドアイとステルヴィオが、カナロア初年度産駒のツートップに君臨しているのは極めて順当なのです

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