波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

求めない(加島祥造)

2013年10月25日 | 読書

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 どうしたらそうなれる?たとえば、簡素な暮らし、ゆったりした体、静かな生き方、自分の好きなことができ、恐怖感が消える生き方…「求めない」ことにしてごらん…すると、悲しみが消え、時はゆっくり流れはじめ、無駄口をきかなくなり、他人と比べない…と「求めない」効能が155ページの長さで続き、最後に「どうしてそんなに 求めるななんて言うんです? それはな、求めないと、気持ちがいいからさ!」で結ばれる。


   詩集「求めない」(加島祥造著:小学館)だ。数年前のベストセラー、ママヨさんが熱心に読んでいた。 立男は題名だけで叱られた気がして思いっきり無視した。思うところあり読んでみた。今、この境地には立てないな、いや未だその覚悟持てないや。「食欲性欲自己保護欲種族保存欲」という「求めるもの」を前に、求め過ぎているのかそうでないのか、求めているのは体なのか頭なのかがわからない。もうひとつある。人生に深く関わるみたいな言葉は用心した方がいいからだ。ちょっと気の利いた言葉を意味ありげな書体で表現したような類いにろくなものは無い。各人愛でるのは勝手だが押しつけられてはたまらない。「求めない」も、わかったような気分や、変な決意持つのでは意味が無い。ただ、「求めない」を忘れないことが欲望にからっきし弱い立男には必需品だ。

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詩集「求めない」で、40年前読んだ「人間の羊」(大江健三郎)思い出す。言葉一つもとに、静かに考えると何かが浮かんでくる研究室で一昨日はゼミ学生、昨日は中学校の先生たちと。緊張の中で、読む、聞く、話す分勉強会。切れば血の出るような「求める」と「応える」の真剣さが学びあう価値。「国語の先生が文書かなければ、既に教える資格は無い」と言った手前、今朝早々にブログ更新。

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