波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

文庫本『日々是好日』の解説を読む

2018年11月30日 | 読書


 画『日々是好日』の原作を買う。巻末の「解説」(柳家小三治著)を読みたいばかりに。自分の独演会を予告無しに突然朗読の会に「理由は急にそうしたくなるのでお客さんには申し訳ない」が、『日々是好日』を読んだとある(笑)。「いつだって涙無しに読めない『まえがき』」は欠かさず、「序章 武田のおばさん」も続けるという。実に14頁分。他に、国木田独歩著「『忘れ得ぬ人々』、尾股司著『鳶職(とび)のうた』、宮沢賢治著『虔十公園林』を読み、それで落語目当ての客を無事帰って貰う。凄い。『日々是好日』を買いに行く下り、感動する箇所、この本が自分にどんな意味を持つのかを達意の文で読ませる。

     

家小三治は小学生の頃から印象深い。飄々とした顔つきと声の調子が何とも愛嬌がある。新宿紀伊國屋で今読んでいる柳家小三治著『ま・く・ら』と『別冊太陽 十代目柳家小三治 永久保存版の選択で迷い、軽い方にしたが、重い方を図書館で借りられたので、除雪もいい加減にして読みふける。その途中に、文庫本日々是好日』が届き、すぐさま解説読み笑って唸る。このにじみ出る人間性と言葉の的確さ、落語というか、芸というか。波風氏が言葉に出来ない森下氏に惹かれる理由を、次々に教えてくれる。詳しいはずの別冊太陽よりも柳家小三治の人柄というか、人間性が伝わって来る。興味ある人が、どんな人にどう惹かれるかがわかることで、読めなかった新聞の活字がピントのあう老眼気をかけた時のように、その人の深いものがわかる気がする。自分と同じ相手に惹かれていたのがわかる時、相当に嬉しい。これも、読書の楽しみの一つだ。


今日は、先週25日『第4回 ほんのつもり』を書くつもりだったが東京散歩以降、「日々是好日」と「柳家小三治」と「暮らしの中の小さな大切なこと」がフツフツと化学反応しこんなブログに。明日、読書交流の記録掲載予定午前と午後、除雪。20センチくらいの積雪。例年に比べ驚くような根雪の気配。

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東京散歩(その2)

2018年11月26日 | 日記・エッセイ・コラム

京2日目の午前、下北沢散歩。古着屋を回り店先に吊してあったリュック2つ買う。灰色はママヨさん、立男君は青緑色。両手自由になり地図検索たやすくなる。愛媛県のアンテナショップ、珈琲道具屋に寄る。小粒の蜜柑が美味い。街並みがほぼ縁日。小さなショップや店員の佇まいも若者の街・シモキタザワ。フーム。
 
        
 
後、電車で5分の駒場東大駅前下車。まず、東大駒場裏門で「東大裏口入学だ-い」と小さく笑い、奇妙な和人形が囲む賢そうな人が昼食を取る喫茶店で息整え、今回の目的の一つ「日本民芸館」に。手仕事の柔らかくてきりりとした感じ楽しむ。白磁の大壺、染色の布、木喰の仏。竹籠に生けられた草花も楽しい。骨格確かな建物、間合い絶妙な陳列空間、草に埋もれた道祖神や信楽の壺が気ままに並ぶ庭も嬉しい。白磁を大きく載せたポスター買う。
すぐ先の駒場公園まで歩き、二郎君推薦の加賀藩当主の旧前田家邸宅に。大広間に上がり「あれ置物だよね」と池の小魚狙う青鷺をしばらく見ていたら、細長い首がこくんと振り向き驚く。東京にこんなところも。隣の日本近代文学館めぐる。 新潮社元会長寄贈の資料(明治の名だたる文豪との書簡等)で、月刊誌『新潮45』休刊の歴史的背景を思う。昔、短編を一つだけ読んだ作家の『没後10年 小川国夫展』をやっていた。 
 
          
こからすぐの波風二郎君の家まで歩く。東京暮らしの良い人も悪い人も凄いなあと話す。笑う二郎君。夕食は天麩羅と蕎麦。会計後、握り飯を作って土産にくれる。おかか、梅、昆布から一つ。面白い。ホテルに戻ると万歩計14135歩。十分疲れた晴れの一日。
 

参考資料は、『東京散歩アルバム2』(11/27の公式裏ブログ)で 昨日『第4回 ほん/のおつきあい』。内容紹介は後日。やっぱりすごく面白かった 画像、坂本龍一風(1952年生の同じ歳)。波風氏はいつの間にかこんなに白くなっていた。
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『こいしい たべもの』を読む

2018年11月25日 | 読書

映画『日々是好日』を観て、原作の世界観というか感性に惹かれた。『こいしい たべもの』と『いとしい たべもの』(両方とも森下典子著:文春文庫)買う。前者読み終わり感心する。食べもの描いて、人の思い出、心の機微、過ぎていく時間を静かに語る。読んでいて楽しい。
映画からも本からも、受け取れる感じが同じでよかった。

                        

波風氏の本棚に、両手を開いた長さぐらい、「食べもの(にまつわる)本」を並べてある。美と性を言葉で納得させるのは優れた文学だが「食」も同じだ。日常的な分それ以上だと思う。面白がって読んでいるうちに増えた。丸谷才一、辺見庸、大橋渉、平松洋子、岸本洋子など、達者なのを読んだが、読みたいのは違うと感じていた。武田百合子著『ことばの食卓』はかなり近かったが。グルメでも、蘊蓄でも、味でも、無いんだよなあ。

         

『こいしい たべもの』は、食べようと思えば食べられる、鳩サブレー、カレーライス、コロッケパン、ペヤング、ワッフル、ホットケーキ…。グルメ作家や世界の果ての食、はたまた洒落たライフスタイル的な食事を綴ったものと大いに違う。一番の違いは、文だけでなく画も森下さんが描いていることだ。「おいしさ」を込めた真面目さと文章中の配置の仕方にいたく感心。目でも食べさせてくれる。「ああっ、こういう絵の入った、人と心が浮かんでくる、こういう本が読みたかったんだよ」と合点。昨日読んだ「コロッケパンは自由の味」が印象に残った。『いとしい たべもの』を未だ読んでいないが、表紙のメロンパンがやけにそそる。


今日はこれから読書交流会「ほんのおつきあい」の4回目。感想を整理したので『こいしいたべもの』を紹介しよう 「東京散歩(2)」は次回に。下北沢商店街、日本民芸館と日本近代文学館、蕎麦屋のことなど  東京往復の疲れが3日遅れでドッと来た。老後のあれこれは少し遅れてやってくる。

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東京散歩(その1)

2018年11月22日 | 日記・エッセイ・コラム
風夫妻は旅行嫌い。家が一番好きで散歩を時々する。まだ足腰動くうちに東京にいる息子たちに会ってこようと重い腰上げる。四十肩も通院で楽になったし。新宿に泊まり、その界隈と息子の住む下北沢散歩の計画。銀杏が黄色くなり始めた11月下旬。欧州ライブの三郎君には会えず、二郎君に来てもらって『修学散歩』初日の夕食。北海道は雪らしい。
 
の日午前、首相が来たとか来ないとか、戦犯合祀がどうだこうだの靖国神社。見てから考えてみようと、零戦飾る拝殿横の遊就館に。「やっぱりこんな考え方で陳列しているのか」と思った足早の1時間半。これほど一方的な戦の情報を集めた資料館は他に無いだろう。大鳥居前後で最敬礼される人を横目で見ながら九段下駅へ。歴史的に正確な知識と判断基準の大事さを思う。土産に「靖国神社まんじゅう」1箱買う。館内のソフト300円、参道売店のは200円。ありがたみが違うのか。
 
後、見世物小屋で知られる花園神社前の新宿ピカデリーで映画『日々是好日』観る。地下の無印カフェは前から好き。波風食堂のテーブルはここの記憶で作った。隣の紀伊國屋書店で柳家小三治著『ま・く・ら』買う。昭和の遺物みたいなこの本屋、特に1階は戦後闇市風の奇妙な空間。表に出ると小雨。歩いて直ぐの新宿南口へたどりつけない(涙)。スマホで道順探しながら、ガード下をヨタヨタ逡巡する高齢者男女。階段登ったら見知った「バスタ新宿」のネオン。この喜びと言ったら(感)。「もうなんでもいいです。」の心で、夕食は新宿駅南口でカキ・豚汁定食。前に新宿西口前で食べた980円の怪しいうな丼と比べりゃなんでもうまい。朝から12783歩の散歩。夜8時に寝る。ママヨさんがどうしていたかは全然知らない。
 
※参考記事を公式裏ブログで「東京散歩アルバム1」にて更新。お待たせしました。
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去年の今頃

2018年11月18日 | 日記・エッセイ・コラム


 

11月後半に入っても雪が無い。緑残る紫陽花の葉が立冬の風に震えてる。去年はどうだったのかなあと、ブログを遡ると本を読み続けていた。裏ブログには波風工房(波風食堂の冬バージョン)でパン箱を作っていて、「雪たけなわ」とある。 ※『パン箱、」作る』(2017.11.19)

 

一人遊びの去年、その反動のような今年。この1週間、日4、月3、水1、木3、金2、土1人の来客。凄まじい(笑)。波風食堂ごっこを契機に新たに出会った方々と話をした。「伝説の波風ウドン」(笑)がつないだ縁。話したことのない人と、聞いたことの無い話しをした。

 

画像は波風夫妻が大好きな写真。友だちSさんの一枚。リスの目線と交わるインパクト後、心の奥底でいつも無意識に対峙し続けているものを鋭く問うような一枚。リスの愛らしさとシンプルな構図が直線的に迫る。今年を象徴する、玄関に飾った我が家のイコン。

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