波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

言葉のケイコ【その四十四】

2020年07月28日 | 【保管】言葉のケイコ

 

ポテサラ論争

し前にSNS上で起きた『ポテサラ論争』なるもの。きっかけは、1つの投稿。小さい子連れの若い母親がスーパーの惣菜売り場でポテトサラダを手に取っていたところ、見知らぬ男性から「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われているのを目撃した、というものだ。これを皮切りに、様々な意見が飛び交った。母親に対する擁護や共感、男性の言動に対する批判、ポテサラ作りは面倒か否か、果てはポテサラアレンジ自慢のようなものへまで広がった。今の時代は日常の一場面さえも大きな話題になりえる。様々な視点から多くの意見で分析できることは良いことなのかもしれないが、改めて言葉というものの危うさを感じる。実際にきいたらもっと冗談っぽく言っていたかもしれないし、子どもには手作りのものをという愛情から出た言葉だったかもしれない。けれど、文字の上ではただ高圧的で配慮の足りない人になりうる。まして今は、時間をかけてじゃがいもを煮たりふかしたりできる余裕のない忙しい母親も多い。仕事終わりに子どもを保育所に迎えに行って、へとへとの状態で手に取ったポテトサラダだったかもしれない。あらゆることを考えて想像した上で発言しなければ、自分の意図しないかたちで批判されることもある時代なのだ。

れにしても、その男性はとても幸せだ。手作りのポテサラが当たり前だと思える、そういう環境で何十年も生きてこられた。ぜひ次にポテサラが食卓に上がったときは、感謝の言葉を述べて大切に召し上がってほしいと思う。


【波風氏談】自家製以外のポテトサラダを食べたことがほぼ無い。市販弁当の隅で申し訳なさそうにレタスの葉っぱなんかの上にちょこんと乗っているようなのは量が足りない。波風氏はジャガ芋が大好物なのだ。自分でも作る。今朝、波風氏がピザトースト作り、副食にママヨさん作ポテサラ。感謝の言葉は述べなかった、感謝の言葉ももらわなかった。ぱくぱく食べた。

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トイレ掃除する。

2020年07月27日 | 日記・エッセイ・コラム

の夫がハローワークに行きシルバー人材センターに登録して公園掃除しているという。家でしたことのない公衆トイレ掃除も一生懸命やっていて、朝から弁当持参、前よりずうっと生き生きしているという。校長を定年退職した後、児童館の館長をやりその後は一日家で過ごしていた。頑強な人だが時々入院や手術の話も聞いていた。それが、「汚いトイレをきれいにしたら神様の近くに行ける」と2人で話していると聞き、驚きと同時に先を越されたなあと思った。

調理を後片付け含めてそれなりにできるようになったら、次は洗濯とトイレ掃除だと思っていた。『水』仕事は、生ぬるい精神の人間にはできないと教えられたと幸田露伴先生の娘さんが随筆に書いていたが、前々から何となくレベルの高い家事だと波風氏は思っている。
気分次第でなく、一旦始めたら人生の最後あたりまで全うする覚悟が必要な気が何となくしていた。週3回のゴミ収集日にいそいそと町内会収集場所に持って行けるようになって3年目の家事見習いに妹の旦那は眩しく映った。「ハローワーク」も「シルバー人材センタ」も実に見事だ。

日、ママヨさんがまだ寝ている早朝にトイレ掃除する。手順は、学校のトイレ掃除点検で薄々わかっていたが、やってみると意外に細かな作業とコツがあり習熟化・習慣化には修行時間が必要だ。波風食堂の掃除やワックスがけは当然に波風立男氏がやってきたがこれは道楽の領分で、「生きるための自分の仕事」を意識しパンツを下げないで白い便器に対峙するのは初めてだった。まだ第1回目だが、人間が少し上等になれる予感がする。
朝食の時にママヨさんが、トイレ掃除したんですね、敷物も替えてあったと言った。波風氏は、わかるんだと言った。それだけのことだが嬉しかった。


昨日、第20回『ほんのおつきあい』開催。自分と違う読書体験もだが、読書交流会で話題になった本を別の人が読んで感想を聞くのも楽しい。小さなことを続けていてふと振り返ると初めの一歩が随分遠くに見えて驚く20回 家の前に掘った穴に土入れたら花壇らしくなった。家の花は、青い大きな花が終わったら中くらいの青い花が咲いて次は小さな青い花が咲くはず。

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第19回『ほんのおつきあい』全記録

2020年07月24日 | 読書

先月末の読書交流会から早1ヶ月。その時の記録を遅ればせながらUP。明後日は今月の読書交流会、何て時間が経つのは早いんだろう。子どもに比べ老人の時間感覚が早いのは感動が少ないからと、チコちゃんが言っていたが。では、参加者6名(内1名はメール参加)の読書と交流の紹介。

MS(女) マンガ『子どもはわかってあげない 上下』(田島列島作:講談社)、マンガは読まないのに、全体がほのぼのした話で楽しく読めた★5。『棚から哲学』(土屋賢治著:文藝春秋社)、学生と仲良い著者(大学の先生)は、自分を客観的に見ながら自分が好き(笑)、自虐でポジティブでポジティブって良いなあ(笑)、印象的だったのは「人間は満たされないより欲望が消えてしまうのを恐れている」という言葉で、例としてタヒチは旅行は行きたいが住みたいとは思わない、★5。

ママヨ 『鹿の王 水底の橋』(上橋菜穂子著:KADOKAWA)、王族支配の社会に持ち込まれる病原菌と闘う医師、宗教と科学と政治の争い、身分上の制約で一緒になれない男女、2月から読み始め時間が出来たら読んでいた、世界的な文学だが階級制が気になって・・・★4。『千と千尋の神隠しの謎』(Tako Studio著:王様文庫)、このアニメは宮崎アニメはここぐらいまでかなと思った作品。家に長くあったのにアニメの解説本を初めて読んだ。湯屋の歴史など教養があればもっとアニメを楽しめたと思った。

KK(女) 『あなたの獣』(井上荒野著:角川文庫)、この著者の本を1年間読んでいるが、1人の男性が1人の女性にこだわり続ける話はあまり響かなかった★3.5。『論理と感性は相反しない』(山崎ナオコーラ著:講談社)、2人の女性をメインに男の人との新しい形の暮らし方、「性」ではなく「人間」としての結びつき★4。『マウス』(村田沙也加著:講談社)、『コンビニ人間』の傾向で誰でも読める、小5の女子グループにいる私、なぜ他者の作っている世界に入らなければならないのか、なぜ私の性格を許されなければならないの、子ども時代から今日までの自分自身のことがここに★5。

SN(女) 『ひとり舞台』(山本太郎著:筑摩文庫)、アーティストとして現実社会に声を上げ原発に反対、母子家庭で自立した人間にと育てられ夏休み中に発展途上国で生活体験、政治家として闘う原点と軌跡を描く★5。『Mr、マリック超魔術の嘘』(ゆうむはじめ著:データーハウス)、種明かしは面白いが★2。『殺人出産』(村田沙也加著:講談社)、殺人よりもその背景に興味が、最後が気持ち悪かった、何を伝えたいのかが分からない★2。

腹ペコ 葦原大介『ワールドトリガー』(葦原大介作:集英社)、ずっと待っていた最新刊(22巻)が6月に出版され、その勢いで1巻から読み直した。最近自分が好んで読む本は、成長とか発達とか、そんなところにテーマがあるように感じていて、この本もその中の1冊。自分の弱さと向き合い、他者とのつながりの中でそれを「強さ」に変えていくところが好き。今一番おすすめしたいマンガのため★5。内田樹・内田るん『待場の親子論』(内田樹・内田るん著:中央公論新社)、父と娘の往復書簡という形式で進んでいく。お互いに同じ出来事を経験していても、その経験の記憶の仕方がこうも違うのか、でもそういうものだよな、と、そんなことを考えた★4。『ポスト・コロナショックの学校で教師が考えておきたいこと』(内田良他24人:東洋館出版社)、コロナショックを受けて学校や教育の意味を問い直そう、というものが増えてきている中、緊急出版された本ということで購入。まだパラパラと読んだところだけれど、再開した学校で子どもにどう寄り添うか、やはりまずは「子どもの声を聞く」だと思う。読み進めるのはこれからなので★3。

波風立男 随筆集『人はどこまでいけるか』(野見山暁治著:平凡社)、『山口薫詩画集』(九龍堂)は既に本ブログの「絵を描く 文書家」と「絵を描く 詩人」で紹介済み、両方とも★5。村田沙也加著『地球聖人』は全体の雰囲気は中途まで『コンビニ人間』に似ていると思って読んでいたが、だんだん異様に明るく凄惨なただごとでない日常に変わり唖然。自分の存在感覚と他者の見え方をどぎまぎしながら読み気持ちが悪くなったので★3.5。だが、ケイコさんの読み方で「そういう読み方があるのか」と思った。このドギマギさは、大江健三郎の初期作品を思い出させる。


【意見交流/村田沙也加をどう読むか】1年前の『コンビニ人間』の交流以来、村田作品を読む方が急増。しかし異様な設定にとまどう者続出。KKさんの適切な意見で一同「なるほど、そういう読み方があるのか」、ここらへんも読書交流の醍醐味。

村田沙也加著『マウス』からのお題で「私とグループの関係」を交流してみた。「いやだけど仕方ない関係」(ママヨ)、「中高時代よりも文句も言える大人になってからのほうが楽。他者に認められるように性格を作れるわけがない」(MS)、「小さい頃の一人で行動が普通。来る者拒まず去る者追わず」(SN)、「グループに属せず一人でいるのは怖かった、自分の性格がわからない、他者をたえず意識して性格表現し無ければ安心して生きてこれなかった」(KK)、「集団と個人(他者と自分)の関係は『教育』の根本問題。そして老後の自立生活を考える鍵、自分の性格や影響は自分ではわからないもので老いるほど頑固になり注意してくれなくなる」(波風)。


今月の読書交流会『ほんのおつきあい』を、7月26日(日)14:00~波風食堂で開催します。交流は3冊まで、参加費200円(100円は珈琲代+100円は子ども食堂支援)。準備の都合もあり参加希望の方は前日までにご連絡ください(→ namikazetateo@gmail.com) 

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言葉のケイコ【その四十参】

2020年07月21日 | 【保管】言葉のケイコ

 

子供はどうしてわかってあげない? (下)

画『子供はわかってあげない』がどうして「ほっこり」するのか。それは、何にも深く切り込んでいないからだ。だけど、二人の少年少女の成長物語としては抜群に面白いし、胸が温かくなる。もじくんはお兄ちゃんが女になっても、その理由を深く追究しない。サクタさんは、実の父親が実は新興宗教の教祖で不思議な力を持っていることを、そこまで重く捉えない。大人はどうしたって、その背景が気になる。もじくんのお兄ちゃんの明ちゃんも、サクタさんの実の父親も、それぞれに抱えているものがあり、その生き方を選択した理由があるだろうと思う。でも、少年少女はそこに踏み込まない。「子供はわかってあげない」ことで、大人は楽に生きることができることもある。「わかろうとしない」とか「わからない」のではなく、あえて「わかってあげない」。それは子供なりに、その人の生き方を受け入れるということ。だから明ちゃんは「お兄ちゃんだけど見た目は女」。今が安定しているのであれば、それを崩すことはしない。それでも少年少女は、成長する。自分たちなりに着地点を見つけ、日常に戻る。

の息子も、サクタさんやもじくんのようなタイプかもしれない。母親のことをあえて「わかってあげない」ことで私の生き方も思考も否定しない。それでも、彼が私の扱いが一番上手であることは間違いない。だから私は、こうして気持ちよく生きられるのだ。


【波風氏談】ケイコさんの感想というか評論的な眼差しに驚いた。一冊(上下2巻)を自分の知りたい視点で上下左右から引っ張り回しながら視点がぶれない追求の仕方だ。最後の「母親のことをあえて『わかってあげない』ことで私の生き方も思考も否定しない。」という下りで、ああっ、このマンガにはそういう読み方があるんだなあと思った。

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【お便り】 波風うどん 作ってみました。

2020年07月15日 | 日記・エッセイ・コラム

先週末にうどんと出汁の作り方を、文字通り「手足の動かし方」教えたご夫妻から波風食堂店主にお便り。相当数の方が波風食堂のうどんを食べてくれましたが「自分で作ってみたい」は初めて。『波風食堂一番弟子』に認定(笑)。以前から蕎麦を打っていたらしく小麦粉の水回しや麺切りは手慣れた感じでした。以下、ご夫妻から。


先日はご指導ありがとうございました。
我が家の初🍜うどんです。
汁も美味しくできました🎵
もう市販のうどんは買えませんね(^o^;)
我が家の初うどんは、ワカメ、野菜のかき揚げ、ちくわ、ネギを入れました。
添えたのはごま豆腐のゆず味噌がけです。
土曜日の夕食はこれでお腹も心も満たされました。
\(^-^)/最高‼️


【波風氏談】追われる時間、煩わしい人間関係、だんだん動かなくなってきた身体、ゆっくりじっくり自分にあった時間経過で暮らしたい。そんな想いを形にする手作りうどん、と言ったら言い過ぎかな。小麦粉と塩水、昆布と煮干しと雑節、薄口醤油と砂糖、単純な材料で美味しいものが自分で作れる嬉しさ。うどん一つでかけがえのない「こと もの 人」を感じる。

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