波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

検証『ナチスは「良いこと」もしたのか?』を読む

2024年01月18日 | 読書

知らないことがいっぱいあった『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか(小野寺拓也・田野大輔著:岩波ブックレット)。ナチスがどうやって政権を取ったのか、第1次敗戦後の急速な経済回復はナチスがやったのか、初めて知ったが手厚い家族支援や健康政策、先進的な環境保護政策を評価する人がいてそれは正しいのか。それを知りたいと同時に、他にも2つの関心事があった。
1つは、「どんなものごとにも良い面と悪い面がある」と世の中分かった風なことを言い出す奴が身近にもいるが、それはどこらへんから来るのか知りたかった。2つめは、ロシアが悪い、パレスチナが悪い、中国が悪いという感情と、子ども時代に学んだ少しの知識で固定している「ナチスは悪」の感情は、同じなのか違うのかを考えてみたいと思った。時間もあることだし(笑)、自分の固定観念を疑ったり再確認してみたかった。

ナチスは徹頭徹尾悪、が本書の検証結果。そして時代がもたらした強運と国民支持の泥棒的なかすめ取り政治と圧倒的な暴力支配を知る。ヒトラーの先進的政策のほとんどが中身無い人気取りとモノマネだったとは。身の毛よだつユダヤ人大量虐殺の複数目的も初めて知った。戦争遂行の戦費調達や国民意識統合だけでなく、戦争被災ドイツ国民の住宅や家具の補填とは。権力は維持のために人間らしさなんかかまっていられない、何でもするのだ。
ガザの今の悲惨は、苦しんだ民族が優位に立った時に優しくなるとは限らないを思わせる。ウクライナの戦争は本当にロシアだけが悪いのか、プーチンの言う「ウクライナのネオナチ」は嘘か本当か、アメリカはいつから平和を守る民主的国家になったのか?

ものごとには良悪2面は、万事塞翁が馬のように暮らしの智恵の1つ。胃がんで胃を切ったがあれがなければ禁煙を解除していたかもしれない。雪が積もったが除雪でダイエットと体力養成に効果、なんて日々使ってる。だが、自分自身への都合良い考え方は必ず失敗する、と本書で思う。説教と自慢話と同じ話が老人らしさだが、それで気持ち良く過ごしていると周りは大迷惑。老人同士で群れていると自己満足に磨きがかかるだけ。だからといって孤立すると悪い面が肥大する。
さて、ヒットラーは最後自殺するがその時に何を考えただろう?日本も戦争に負けて「今度やるときには絶対に勝ってやる」と「2度と戦争をしてはいけない」の2つがずうっと続いていると思う。反省にも必ず善悪2つがある。人間の生き方にもやっぱり2つがあると思う。肝心なことは「人間として大丈夫かなあ」と揺れ続けることだと思う。これが1番人間らしいはず。だから人前で、分かった風なことは言わないにこしたことはない。


震度6の金沢に住む知人が、地震の後で手が震えてずうっと止まらなかったとメール。あそこにある原発のニュースが全く入らないことが不安、ドローンの映像も無い。隆起と倒壊と避難の映像は入るが 波風食堂主催の読書交流会は、他の人の読書体験を聞きながら、自分の読んだ本と再度「読書という対話」する機会。老人には読書以上に「対話」が大事。本探しは話相手探し明日21日は、ママヨ社長から波風君への給料日。買いたい物は無いけれど(1万円以下を勝手に買っちゃうから)心が子どものように喜んでいる(笑)後で知ったのだが本書はベストセラーだとか。まだこの国は大丈夫かな。

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