波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

朝聞きラジオ

2021年02月26日 | 日記・エッセイ・コラム

早く寝てしまうから用事も無いのに朝5時頃に起きてしまう。働いていた時は、さっさと着替えてパソコンで仕事したり本や新聞を読み、このブログの更新も朝飯前にやっていた。今は小便を我慢して「これが限界。暴発直前」と飛び起きてトイレで目覚めを迎え、布団に戻りヌクヌク・グズグズして顔だけ出している亀状態。そんな折りに見つけたラジオ。脳みその上質な部分に働きかけ、「さあ、起きても良いですよ」と優しく手招きしてもらっている感じ。言葉を耳だけで味わう新鮮な心地よさ。こんな世界があるなんて。

 

NHKラジオ『らじる★らじる』を腹ばいになってイヤホンで聴いている。驚くのはその守備範囲の広さと、質の高さ、丁度良い長さ。『聞き逃し』番組のうち『高橋源一郎の飛ぶ教室』、『青春アドベンチャー』、『新日曜名作座』をお気に入りに登録して聞いている。今のところハズレが無い。最近のでは、歌人穂村弘さんがゲストの「現代短歌の世界 」や『高知 沢田マンション』の話が面白かった(「高橋源一郎ー」)。小説等を脚色し15分でひとまとまりの話を名人芸で聞かせる『青春アドベンチャー』、西田敏行さん&竹下景子さんの『語り』で古典や現代文学を味あわせてくれる『新日曜ー』。樋口一葉や中島京子、今は石坂洋次郎の短編をやっている。

 

老人には猫とラジオが似合う・・・・ような気が昔からしていた。気づいたらそういうことになってきた。少し違うが、橋の上から急流をこわごわ覗いていたら身体ごと持って行かれそうになる感じ、みたく「老いたらこうなる」を無意識のうちに少しづつ始めている気がする。猫は・・・・ママヨさんで我慢するか。


1日3食のうち少なくとも1回以上は台所に立つようになってしばらく経った。わかったことは、3食作ってもらう時は相当に調子が悪いということ。『主夫』への道は近そうで遠い  友だち来て話する。7割が身体のこと、脳、胃腸、白内障、入れ歯、健康診断、人間ドック 100のうち25%が正しい、25%が間違っている、残り50%がどちらでもない(=どちらかともいえる)と思っていると、変な自信からも変な自己嫌悪からも逃れられる気がする。

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言葉のケイコ【その七拾肆】

2021年02月23日 | 【保管】言葉のケイコ

 

長所と短所 上

受験シーズン。思い出すのは、教員として勤めていた時の面接練習。子どもたちはみんな緊張しながら私の前に座っていた。教室に入るときから出るときまで、覚えることや段取りは多い。だいたい最初はうまくいかない。慣れた教員の前でさえ緊張するのだから、本番はなおさら緊張するだろう。だからこそ練習は大事。事前準備として、想定される質問に対する答えを用意しておくのが一般的で、それがまた子どもたちを悩ませる。「志望理由」は、学校を選ぶ選択肢が少ない土地ゆえうまく考えられない子どもが多かったし、「最近気になるニュース」「最近読んだ本」なども、何か難しいことを言わなければいけない気がするらしく、答えに苦労していた。

その中でも特にこれはどう答えていいか迷うという相談が多かったのが、「あなたの長所と短所を教えてください」という質問。私はその相談があると必ず、「長所と短所は裏表だから、セットで考えるといい」というアドバイスをしていた。「私は明るくて元気で活発です。ただ、元気すぎるあまりつい大声になることがあるため、周りが見えなくなってしまうことがあります」や、「どんなこともコツコツと一生懸命取り組むことができます。そのため物事を慎重に考え、取り組むスピードが遅くなってしまうことがあります」というように。長所と短所は、どちらから考えたとしても表裏一体だ。


【波風氏談】面接の基本質問「あなたの長所と短所を教えてください」。還暦過ぎてもかしこまった空気の中で聞かれ続けた。大学入試、奨学金採用、就職試験、就職後の各種試験、そして再就職面接。答えはすべて同じ、人間そう簡単に生まれつきの特性は変わらない。回答内容で合否が決まることはほぼ無い、つい最近まで確信をもって学生諸君にそう教えてきた。

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「いずれにしろ」を調べる。

2021年02月21日 | 日記・エッセイ・コラム

 

総理の日本語が不愉快だ。官房長官時代の言葉の選び方、もの言いが実に酷薄無礼で、総理になってからは味も素っ気も無い官僚作文棒読みのひどさ。たまに口にする自分の言葉が「いずれにしても」だ。
これを聞くたびに、はぐらかしと誤魔化しを感じる。「いずれにしても」とはどういう意味でどういう時の用法なのか辞典で調べた。

 

名詞で無く副詞の用法で使っている。合点がいったのは、自分は確信を持っていますよ、問題を的確に把握していますからね、結論はそのうち出しますよ、という雰囲気を感じさせる便利な言葉として多用していること。聞き手に対する回答に全くなっていなくても(いつもだが)、「わかってくれている感」、「やってくれそうな感」、「はい、この話はこれで終わりでいいですね感」を漂わせられると思っているのだろう。口癖では無く、言葉の貧しさを誤魔化すに大変都合がいいと思ってるんだろうね、聞き手を混乱させちんもくさせる話法は前総理を見事に継承している。来週からの国会中継で、長男・手下官僚の不始末問題も取り上げられるだろうが「いずれにしろ」をどの場面で使って煙に巻こうとするのか注目。


ポスト真実」の世界をどう生きるか -ウソが罷り通る時代に-』(小森陽一編著:新日本出版)、3年前の発行でトランプ政権時代、インターネットをあえて避けている著者と4人との対談。難しいことをわかりやすく面白く読んだ。今、ママヨさんが読んでいる 人新世「資本論」』(斉藤幸平著:集英社新書)、TVの資本論講義が縁で(笑)買ってしまった。雪の降らない日にボチボチ読んでいこう。

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WILD FOX №13/朝の木漏れ日

2021年02月18日 | 【協力】Wild foxギャラリ


木漏れ日が創っている美しい雪景色の中で、エゾリスが隠していたクルミを食べようとしていた。

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言葉のケイコ【その七拾参】

2021年02月16日 | 【保管】言葉のケイコ

 

海の街の四姉妹

三女の千佳は、登場時から不思議なキャラクターとして描かれている。父親の葬式に行くのにアフロヘア、やたらと食いしん坊、時折ギャグ漫画のような顔になる、など四姉妹の中で浮いた存在のように見える。容貌も、他の姉妹よりは地味目に描かれている。物語前半においてはあまり存在感もない。後半、ある事実が発覚することにより一気に千佳にスポットが当たる瞬間が来るのだが、そこまでは他の姉妹よりは目立たなかった。ただ、読み返してみると、いつだって千佳の存在は大きかったことに気づかされる。8巻ですずが「チカちゃんがいてくれてよかったよ」「チカちゃんがいてくれなかったらなじむのにもっと時間かかったかも」と千佳に伝える場面があるのだが、その言葉の通り、千佳は絶えず四姉妹の潤滑油でありムードメーカーだ。千佳の一見デリカシーのないように思えるところも、深刻さを和らげるクッションとなっているし、千佳の存在があることで姉妹同士の絆が強固になると言える。恋人にも家族にも、真っ直ぐに愛情を向けるひたむきさが千佳にはある。例え他の姉妹よりも美しくなくとも、抜きん出た魅力がなくとも、一番私の心を打つ。それが千佳。

雪かきの途中、疲れて空を見上げたとき月が見えた。「月ってさ お陽さまと違って形や色がはっきり見えるじゃない だからつい見上げちゃう きっといろんな人がいろんな気持ちでおんなじ月を見てるんだろうね」という千佳の台詞を思い出し、少しだけ元気になる。明日も、頑張ろう。

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