波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

【その28】 「うまい!」

2011年09月29日 | 【保管】一寸凡師コラム

 「挑戦」を秋のテーマに掲げ、貯まった本の読破を目論んだ一週間前。あれから3ページは進んだだろうか。どうも連続して「グワッ!」と読むことが苦手な凡師。(第7回コラム参照)Photo_2
隣で荒馬さんが東野圭吾の新作を2日で読破している姿を見て、「本を『グワッ!』と読める人ってスゴイ」と感心。学生時代の友人が「年と共に食べられる量が減ってきた。最近は、ほんの少し食べて、『うまい!』と思える物を食べたいと思うようになった」と言っていたが、凡師の読書も似ているかもしれない。ほんのちょっと読んだだけで『うまい!』と思える本が読みたくなるのだ。その為、読む本の内容も自ずと決まってくる。本来読書というのは、「空腹時に3つならんだ饅頭を順番に食べるようなもの」で、3個全部食べてお腹が一杯になるもの。3個目だけを食べて満腹を求めるような凡師は、まだまだ未熟者なのだ。
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 読書をするから集中できるのではなく、集中できる人は読書でも何でもできるんだよなぁと、3ページ目をめくりながら思った。そんな「集中力の無い」凡師は、懲りずに2冊、電子書籍をダウンロード。「うまい!」本に巡り会えるのか。何冊買っても場所を取らない電子書籍は本棚から溢れることもないので、読まずに貯まる本がまた増えそう。  

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秋分の読書

2011年09月27日 | 読書

朝顔は闇の底に咲く(五木寛之著:東京書籍)副題「今を生きPhoto_10 る言葉」。ブラジル音楽は、華やかなメロディー、美しいハーモニー、躍動に加え…「サウダーデ」が必要らしい。この民族的感情、各国にあるが言葉で言い表すのは難しいらしい、明るさの中のかすかな寂しさだ。日本では平安から明治まで使われた暗愁」という言葉がこれにあたると筆者。「朝顔の花が開くためには、夜の暗さが必要なのではないか」の一文が鬱病の見方とともに印象に。今我が家で、寒さに向かう季節の中、やっと咲いている青い花もこの連休で終わりか。

地上はポケットの中の庭(田中相作:講談社)新聞書評で高評価の漫画。コガネムシのとぼけた恩返し、盲目の国王の庭師、青年の負い目…何とも微妙な…「暗愁」と言える世界が。絵が上手。高評価で読む「やじろべえ」(山川あいじ作:集英社)、義理の父娘の同居生活という微妙さを漫画にする力業に驚く…その分、媒体は映画だろうと思った。「ガラスの仮面」(46巻)以来の少女漫画を寝転んで。

ふるさと玩具図鑑(井上重義著:平凡社)全国の土や紙の手作り人形満載。今では作り手不在なのも。10㎝前後の掌に納まる「おもちゃ」とは何なのだ?子ではなく大人が喜びそうな民芸品、と思うのだが…「自分も作ってみようかな」いう感情が。立男にも「暗愁」の水脈か…。昨日、額装依頼で梅鳳堂へ。店の空気全体が「おもちゃ」みたいで心地よい。

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国語の教材

2011年09月24日 | 読書

 内田樹(たつる)氏の「学ぶ力」が、来年度の2年生国語教科書に。この頃、バランス欠いた「学力」論の横行、苦々しく思っていた。少し頼もしい。大人が落ち着いて一考するPhoto に最適の論説文。教科書教材というのが何とも嬉しい。

  氏は、「『学ぶ(ことができる)力』に必要なのは、3つ…数値で表せる成績や点数などの問題ではなく、たったこれだけの言葉。これがわたしの考える「学力」です。このセンテンスを素直にはっきりと口に出せる人は、もうその段階で「学力のある人です。」と言う。上手に騙されそうなのも楽しい。この3つに初めは驚いたが、自分自身を振り返るとその通りだと納得する。まず自分でこの「3つ」を考えた上で、氏の3つと照らしあわせたい。そもそもの「確かな学力」もこれを機に再確認しておきたい。

内田樹、59歳。1967年、高2で退学経験あり。職場の先生から愛読書を聞いた時に知った思想家・エッセイスト。人気あるらしい。ブログ「内田樹の研究室」も楽しい。少し長いけれど。どうか期待を裏切りませんように…。

台所に野菜の切れ端。皿に並べて遊んでみたら、一癖ありそうな顔2つ。先週の3連休中日に。

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【その27】 挑戦

2011年09月23日 | 【保管】一寸凡師コラム

Photo_22111  暑がりの多い凡師ファミリー。布団を蹴飛ばして大の字で眠るファミリーは、きっと前世はライオンのような肉食動物に違いない。一方、夏でもタオルケットにくるまっていないと安心できない凡師。きっと前世は寒がりの草食動物だろう。眠っている間も「体温」と「身の安全」いPhoto や、「家族の安全」を守らなければならないのだ。
                    
 さて、秋の夜長に向けての凡師の準備。今年の秋のテーマはズバリ「挑戦」。読まずにたまった本がかなりの量になったので、まずはこれらの本を少しずつ。「本」の形をした本と、「ipad」に入っている本。基本的に息子を寝かしつけながらの読書なので、「本」を読むときには読書灯を使うが、「ipad」は画面が発光するので読書灯は必要なし。暗い部屋にボンヤリと光る「読書の灯」は、肉食動物から身を守る火にもなり得るのだ。
 
 問題は、最近字を見ると眠くなるということと、「眩しい!」という声がジャングルの奥から聞こえてくること。草食動物の挑戦は続くのだ。

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凡師さんは朝日新聞(道内版)「先生のつぶやき」のコラムニストの一人。一番若い「中学校・男・39歳」だ。最新9/10のお題は「PTA」。そう、最初の「かみかみ」がその人。今回で3回連続掲載。長くても短くても文体というか雰囲気というか、何か伝わる。文は人なりを実感。

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勉強  №7

2011年09月20日 | 新聞掲載

 悪いのは私だった。家から出てすぐの丁字路で一時停止しなかったから、走ってきた車にオーPhoto
トバイで激突した。何とか立ち上がり、大きくへこんだドアを横目に見ながら、「うちはお金がないんです。どうか許して下さい」と何度も頭を下げていた。30歳前のころだ。
 必死さに車を運転されていた方も驚いたのだろう。「わかりました、私の方で何とかします。」と言ってくれた。情けないが痛さを忘れた。本当にお金が無かったからだ。大きな物音を聞きつけた妻が、この一部始終を後ろから見ていたらしい。
 その日の遅い夕食の時だった。小さな子どもたちはもう寝ていた。「きちんと弁償した方がいいんじゃないですか。うちの仕事は学校の先生です。お金は何とかなります」と、静かに妻が言った。
 次の日の早朝、車の人を訪ねた。無責任で非常識な態度を謝り、心配してもらったことに感謝した。落ち着いた目で見ると私より若いくらいの人だった。「本当に大丈夫なのですか?」と言ってくれた。「ちゃんとした先生に、いや人間になれるかどうかの勉強を今しているところなんです」という言葉が自然に口をついた。
 いったい私は、本当の勉強というものをどのくらいしてこれたのだろう。来春、定年退職を迎える予定なのだが。

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40日周期の「朝の食卓」も7回目。最後の「…これたのだろう。」は今話題の「ら抜き言葉」だ。「…こられたのだろう。」はどうも違和感があって…と意識的にそうしたと言いたいが新聞を見て気づいたことだ。この「ら抜き」表現、大学の国語学講義で北海道方言と習った。今回、「T字路」でなく「丁字路」だと編集の方に教えていただいた。

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