波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

『プールに飛び込む人』作る。

2023年08月31日 | 図工・調理

青空に押しつぶされそうな真夏の小さなプール、太陽の光でギラギラ反射する水面。トランプの大きさしかないあそこに飛び込む俺、息を整え水を睨み、俺にはこんなの何ともないことだと、跳躍台の端に身体を置く。

そんなことをイメージしながら、枯れ枝を切り、2つに裂き、ネジ穴を開け、鉄片で可動箇所を作り、「飛び込む直前の人」の形と心に迫ろうとする波風氏。

 

遊びは余裕。無くても暮らせるが生きるのは難しい。四角四面は息苦しくまっぴらだ。波風氏の絵や字の線(ライン)がたどたどしいのは、無意識的に息苦しさから逃れたい遠ざけたい『遊び』のひとつ。工作も同じで、商品的価値皆無・末路塵芥の立体落書。感じていたいのは作る前も作る時も作り終えて時間が経っても、そこはかとなく『物語』が浮かんでくること。今回はどうかなあ。


画像は完成品(笑)ネジもこのままで満足するのが落書きの由縁「遊び」「贅沢」「表現」なんて言葉を辞書ひいてみる。こういうのも遊び。そのために大判3分冊の広辞苑買ったんだからね。

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夏の工作(イメージ)

2023年08月30日 | 図工・調理

子どもたちの夏休みは終わったが、年金老人の自由時間は続いてる。だが、『バス停』作ってから長い間工作していない、このまま8月が終わったら後悔する。ノコギリやペンチやドライバーを使いたくてたまらない。

 

外の水回りを飾る『飛び込み人』を作ることにした。雨水ためる水瓶に向かって、いま跳躍するところ。レトロで気負いの無い船や潜水艦や灯台の側に置くからそれに同調し違和感なくしたい。初めての人物、可動できるようにしたいが、どうすれば良いかかな?無理難題を1つづつ越えるのも、いや越えることが工作の醍醐味。


昆布干し、晴れても湿度高いとか波高いとかで8月に3回しかやれていない。自然相手の稼業の大変さ知る。中国の水産物輸入全面禁止でホタテも不安つのる涼しくなったので歩く。久しぶりの外の匂い、道沿いの庭に咲く花を楽しむ。帰りに知人からズッキーニ貰う。明日は夏野菜冷したウドンだな。

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マンガ『おむすび山の転がる町』を読む

2023年08月28日 | 読書

マンガ買って読む。サイトで偶然見かけた、「マンガでなければ表現できないなにものか」を直感したから。17歳で出会ったマンガ『ねじ式』(つげ義春)で、「読む夢」があることを教えられたが、それを越えるマンガには未だ出会っていない。小説でも、絵や彫刻でも、音楽でも無く、マンガだからこそ、ありきたりの日常を全然違う角度から眺められ、現実世界から数ミリちょっと先にある嘘臭いが真理みたいなものを見せてくれるのを期待しているのだが。

 

マンガおむすびの転がる』(pannpannya作:白泉社)は残念ながら期待に応えてくれなかった。だが、その理由を言葉で説明するのが難しいのは、全話が『明け方の浅い寝入りに見る夢』に近いからで、読む夢には遠いが香りはする。恋愛不倫、活劇冒険、恐怖心霊、ギャグユーモア、勉強学習、情緒懐古・・・・どれにも当てはまらず、あらすじ語っても意味が無い「もやっとした空気感」が味わいだからで、好き嫌いが分かれるだろうなあ。波風氏は、片足はまった。さらに一冊読んでもう片方もはまるかどうか試したい。はまらして欲しいなあ。
老いて小説読むのが辛くなってきたのは、ドラマの筋や登場人物をいちいち覚えるのが面倒だからでTVドラマ見ないのも同じ。その分、マンガに期待してしまうこの頃だ。


画像の表紙絵をクリックするとアマゾンの試し読み可(PC版で)。線描だけで淡白に描かれる登場人物(これが意外に愛らしい)、水木しげるやつげ義春の微細丁寧な背景描写の対比がとても楽しい。全話が散歩で見つけた軽い体験を発端に、だんだん入り組んだ夢の世界に入り込む感覚が面白い 信州松本からお客さん。コロナ前に来宅された時に結婚されコロナ少し落ち着いた今回、2歳の子どもさんと3人で。こんな遠くに新しい家族で来てくれた嬉しい夏。縁を結んだ「おむすびの転がってくる波風家」

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社会と暮らしを繋ぐ

2023年08月22日 | 日記・エッセイ・コラム

あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。あのマハトマ・ガンジーの言葉。雑誌の興味深い記事(『暮らしの手帖 2023年2-3月号』の『湯宿さか本 坂本菜の花さん』)にあった。社会の動き-旅館経営-自分の暮らし、が繋がっている世界観と日常生活の素敵さ。

 

社会を理解したい、それは自分が自由に生きるために必要なことと波風氏は思ってきた。騙されない最善の道とも。教育という仕事は、人がどう社会をつくり社会がどう人に影響するのかを考えないでは成り立たない。当然、政治に対する見識も必要だ。ガンジーの言葉は、何となく思ってきたことを「あなたがすべきことで、なぜそれをすべきか」の一発回答。雑誌では、菜の花さん(『湯宿さか本』の女将)が沖縄の基地問題に向き合い感じていることとして思い出す言葉とあった。能登半島の家族経営の宿、両親に支えられ23歳の経営者、こういう人がいるんだな。

 

普通をしっかりやっていくが題名の記事、手を使い、知恵を働かせ、小さな宿を心地よく整える。足元の暮らしを大事にしながら、外の世界にたえず目を向けて、働きかけることを忘れたくない、の文章。旅館の佇まい、食事、経営者の矜持、安っぽい商業主義と無縁な「もてなし」に強く惹かれる。庶民が愛すべき高級とか一流はこういうものではないか。宿泊した人のブログで旅嫌いだが行ってみたいと思った。


図書館から借りたこの雑誌を誤って濡らしてしまった。賠償用に通販で急いで取り寄せたが汚れた本が残り損した感じしない。使えるレシピや織物、本物に向かう自立した暮らし方は読むだけで楽しい 画像は、お盆8月にいつも来てくれる黒揚羽蝶。午後の陽で花が閉じてしまった朝顔で一休み動画で『♪オトナブルー』に見入りつつ、ふいに『オオモノブルー』の言葉浮かぶ。前者は、思春期少女の「おとなぶる」心だが、後者は老いるほど自分から上座に座りたがる、特別扱いを受けたがる老人(笑)。そうなりませんように、そうなっていませんように。

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第33回『ほんのおつきあい』交流記録

2023年08月18日 | 読書

7月の『ほんのおつきあい』、コロナも落ち着きやや安心して4人参加で読書感想交流。今回は、主催者の波風氏から初の宿題交流もあり楽しかった。一冊の本をもとに語るのもアリだね。


ママヨ
 『なつかしい時間』(長田弘著:岩波新書)、昭和から平成の時代を舞台に詩人ならではの言葉選択でごく身近な身の回りのこと、懐かしさを感じる記憶を書いている。中に、『智恵子抄』の『あどけない話』があり(『遠くを見る目』から)、21世紀は戦争の無い平和な時代になると思っていたら9.11でとても悲しく辛い気持ちになったことと重なった。難しい言葉を使わず大事なこと深いこと考えさせられることが詰まった1冊、★4(5段階評価)。

 

 

 

 

 

HH(女)『ハンチバック』(市川沙央著:文藝春秋社)、今期の芥川賞作品。受賞インタビューが心に残り図書館で借りて読んだ。「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」主人公、題名の意味は『せむし』。文章が上手く、エンタメとして楽しく読める。行間に健常者への怨み、生まれてきたことへの怨嗟が。重度の障害者を一括りにして1人1人が違うことを全く理解してこなかったことを強烈に自覚させられた。★5

 

 

 

 

 

 

 

 

MS(女) 『夢をかなえる象』(水野敬也著:文響社)、全5冊の1冊目で今のところ★4。芥川龍之介『芋粥』を読み、欲しかったものが手に入ると思った時に「これで良いのかと」と躊躇し、食べられなくなったのではと思った。疑問は、芋粥を腹一杯食べさせようとした上司の理由は何か?上司に従って道案内する狐は何を表しているのか?・・・・交流会はこの疑問を巡って白熱、龍之介『鼻』と比較して欲望の違いや、龍之介の人間観・価値観にも話及ぶ。

 

 

 

 

 

波風氏 『お菓子の包み紙』(甲斐みのり著:グラフイック社)、懐かしい記憶というか甘い憧れというかこの手の本に弱い、全140ページに洋菓子和菓子の包み紙がオールカラー、本を処分している最中だが「買って良かった」の一冊。菓子本体より包み紙の方が不思議に魅力的、六花亭はやはり秀逸だなあ★5。『緑の画家 鈴木信太郎 喪失と祈り』(安藤京子著:慶應義塾大学出版界)、1895年生まれ(1989没)の画家の絵を偶然サイトで見つけ強烈に惹かれる。鮮やかなのに落ち着いていて親しみのある題材と線に童心を思う。画集欲しいが難しく絵はもっと難しい。この丁寧な評伝を読み「何をどう描くか」以前の「どういう心が大事なのか」を考えさせられる。俺はこの道を行くのだ、を貫くと道は開ける。★5。


【お知らせ】今月の読書交流会は8月27日(日)14:00~16:30予定。会場:波風食堂、会費:200円(珈琲、オヤツ)。交流する本は1冊で粗筋か内容と感想を15分めどに。宿題出します(笑)、8/11の公式裏ブログ記事『楽しく生きる心』の短歌を参考に、暮らしの中で思うあなたの「たのしみ」を教えてください。初めて参加する方は、黙って聞いていても可、但し司会者が無理やり発言させることあり。ではよろしく。

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