波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

言葉のケイコ【その廿拾弐】

2020年02月28日 | 【保管】言葉のケイコ

青春いろいろ


   最近、井上荒野氏の本を読むようになった。きっかけは『だれかの木琴』という小説を読んでしっくりきたから。さらに本を探すべく図書館でじっと井上氏のスペースに佇んでみる。『だれかの木琴』は主婦がストーカーに変容していく様を描いたずっしり重たい小説。そういうタイプの作品が多いのだろうかと思って背表紙を眺めていると、ポップな書体で可愛いタイトルの本を発見。『キャベツ炒めに捧ぐ』。そうか、料理にまつわる本か。こういう軽めな本も面白そう。なんて思って手に取る。そうして読み始めたら、夢中になって一気に読み終えてしまった。舞台はお惣菜屋さん。働くのは、60歳をちょっと越えた3人の女性たち。60年生きてきているからこその、じんわりと深みのある物語が紡がれるのが素敵。離婚や死別や、報われなかった恋や、我が子の死などを乗り越えて生きる。決して表には出さないが、抱えて生きていくことの寂しさや苦しさも垣間見える。だからこそ心に染み入るような、大人の青春小説。軽めの本、だなんてずいぶん失礼なことを思って読み始めてしまった。重ねた年の分だけずっしりと重みのある、読み応えのある本だったなぁ。

                                                                           ●■

    ちなみに後で調べてみたら、この小説の中の「キュウリいろいろ」というお話。2018年のセンター試験に使われていた。受験生は必死ゆえ内容を理解するのがやっとだったかもしれない。けれどどんな形であれ、青春ど真ん中の彼らがこのお話とふれあえたことはきっと幸せなこと。そう、思う。


【波風氏談】手違いで『言葉のケイコ』掲載が遅れましたことを、ケイコさんと読者の方々にお詫び申しあげます。

コメント

コメの学習帳29頁目

2020年02月25日 | 【保管】こめの学習帳

加齢なる人生

年齢について話す時の「アラ○○」という表現が市民権を得てから14年ほど経過するらしい。初出は女性雑誌での「アラサー」で、必ずしも四捨五入してどちらか、というわけでもなく、±2歳を指す場合もあるとのこと。前者の定義であれば私はアラフォーになる。業界的にはまだ若手なのだが、そろそろ自分の年齢を自覚しながら生活すべきだと感じている。

・・・・・・・・・・・・・■

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。調子の悪い人は無理せず休息を、という注意喚起に対するTwitterの投稿で「おっさんは常にどこかしら調子が悪いので気付かないのだ」に納得。そういえば朝起きた時に常にどこかが痛いし、気分爽快で元気ハツラツ(この表現もおっさんだ)という事は近年記憶にない。全く無意識に過ごしていたが、若かりし頃の好調は過去のものであったらしい。

・・・・・・・・・・・・・■

最近、仕事中の話しの流れで「私は年相応に見えますか」と27歳の女性に聞かれ大変緊張した。社会人としてそれなりに見えるかという趣旨なのだが、どのような言葉を発してもセクハラになるのではと不安になった。何かを勘違いしないように発言に気を遣うお年頃ということでもある。「中年になったら、若者に対する接近欲求に対して自制が必要」これも同業の方のTwitterから。気を付けよう。若者ではなく、そろそろ親と自分の健康の心配にシフトしようと、そっと心に誓うのであった。


【波風氏談】息子と同年齢のコメさん、彼もこんなふうに感じているのかなあと思った 『コメの学習帳』は来月いっぱいで終了し、残り5回となります。

コメント

読書交流会開催のお知らせ

2020年02月21日 | ご連絡

 

※1 紹介本は3冊以内、特におすすめ1冊決めて下さい。「聞くだけ参加」もOKです。

※2 参加費に「子ども食堂」支援カンパ代含みます。

※3 準備の都合もあり、参加希望の方はメールでご連絡下さい   namikazetateo@gmail.com

コメント

第16回『ほんのおつきあい』全記録【その2】

2020年02月20日 | 読書

(【その1】から続く)

KK(女) 『私に似ていない彼女』(加藤千恵:ポプラ社)、短編小説集、本当に必要な人とは、女同志の人間関係を上手く描いている★4。『リボンの男』(山崎ナオコーラ:河出書房新社)、お父さんはヒモでなくリボンだよ、堂々と主婦文化を専業主夫がもり上げる、男女の見方が実にフラット★5。『だれかの木琴』(井上荒野:幻冬社)、若い美容師に執着する主婦ストーカー、共感は出来ないが読み続けてしまう痛切な長編★4.5。

ママヨ 本を読んでいないので今回は話を聞くだけの参加。

波風 『井上ひさし ベストエッセイ』(井上ゆり編:ちくま文庫)★5、『武田百合子 対談集』(中央公論社)★4、『哀愁の街に霧が降るのだ』(椎名誠著:小学館)★5。既にこのブログで紹介済み。


紹介された本で読んでみたいと思ったのは
SN・・・加藤千恵著『私に似ていない彼女』
MS・・・島田陽子著『愛という名の支配』
HH・・・エスター・ヒックス他著『引き寄せの法則』
KK・・・長島龍人著『お金のいらない国』
ママヨ・・・島田陽子著『愛という名の支配』
波風・・・・井上荒野著『だれかの木琴』

話し合いになったこと・・・田嶋陽子さんの話題から
「教育界は対等と言われるけれど、教員どうしや対保護者、子どもにも無意識の男女差別はある」、「女の先生の少ない職場で出産や子育ての時に、理解してもらうのが大変だったり夫に不満が募ったり」、「家事に対して『手伝い』という夫の言葉にムカ(笑)」(KK)、「始業30分前に出勤して掃除するのが女として当たり前だった」(MS)、「決して良いこととは思っていないが、女の先生に話をしてお客さんが来た時に、お茶をいれてもらうのを頼んでいた」、(波風)。

※今日(2/20)の朝日の文化欄の記事。読書会で紹介された本がこんなふうに取り上げられることが時々ある。読書は個人と社会をつなぐ回路だが、個人と個人をつなぐ読書交流がそのことをより強く感じさせてくれる。 

コメント

言葉のケイコ【その廿拾壱】

2020年02月18日 | 【保管】言葉のケイコ

ふり見て


朝ドラの後、そのまま情報番組を観る。その日の特集は、「なんとかしたい!私のイライラ」というものだった。実はつい最近些細なことが積み重なってわーっとなってしまったので、これはタイムリー!と思う。番組でイライラの主な原因としてあげられていたのは、「夫の言動」「子どものしつけ」「マナー違反」の3つ。なるほど。心当たりしかない(笑)。専門家の方々が分析をしてそれぞれの対応策を伝授。なるほどとは思うが、果たして自分はできるだろうか。そんなことを思っていると、お寺の住職さんのアイデアとして、「人のふり見てわがふり直せ」というものが。マナー違反をしている人を見てイライラしたら周りの人に話し、それが悪いことだと気づくきっかけにし、自分自身でもマナー違反をしている部分はないかと振り返る。それが社会全体のマナー向上につながるのではと。これはできそう。というか、きっとこれが大事だと思う。人のちょっとしたことは許せなくても、自分のちょっとしたことは許してしまう。そうやって目を曇らせてはいけないという、昔からずっと言い伝えられてきている言葉の重みに、改めて身が引き締まる。

            ▼              ▼

ちなみに私が声を上げて笑ってしまった視聴者投稿のイライラ解消法がある。「マナー違反の人を見たら、この人の前世は人間じゃなかったんだろうなぁ、人間一周目だから仕方ないなぁと思うようにする」こんな風に思えるセンスに脱帽。思わずメモってしまったもの(笑)。

コメント