波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

プーチンの哲学

2022年04月27日 | 読書

1回25分間のTV『100分de名著』、今月はハイデガー『存在と時間』。視聴を助けてくれるテキストがあっても難しく、講師の解説とイラストで何とかついていく感じ。最初の、「○○が存在する」の○○は「存在者」で、「がある」の方が存在という箇所、「何コレ?こんなんで読み通せるの?」となりつつ、考えるの止めて(笑)先に進む。万事こんな感じ、定価600円のテキスト代もったいないので何とか読み切った(涙)。解説書でこれだもの原著は気が遠くなる難しさだろうね。テキスト掲載のほんのわずかの原文でも全て理解困難(笑)。ただ、『存在』を『時間』との関係で考えたのは勉強になった。

 

かったことを書いてみる。
人間は世間の尺度で生きているのか、自分らしさで生きているかのところで立ち止まる。前者は、不安に陥らないが責任を負わない生き方で、その不安は自分が存在していること自体にあり、対象がはっきりしている恐怖(雷が恐いとか)とは違い逃れられない、なんてところを何度も読み直す。
世間の尺度に飲み込まれる退廃した人間は、世間話と好奇心と曖昧さを好むと言う。これ、俺だなと笑う。自分らしく生きるには「それで良いのか」という良心(そう呼びかけるだけで、こうしなさいとは示さない)に耳を傾けて自分らしく勇気を持って決断して生きることが必要だというのがこの哲学の肝なのかなあ。孤独に耐えて自分のあるべき姿を実現すべきというのは独創的なのかもしれないが偏屈な人間性だ。少なくとも楽しい人間では無い、友だちにはなりたくはないなあ。

 

組最終回、ハイデガーがナチス党員でヒトラー礼賛していたことの特集。「やっぱり」と思ったのは、権力者が暴走した時の恐怖で、テキスト読みながらプーチンが時々頭をかすめたからだ。ハイデガーの弟子たちが、師匠の偉大さを認めつつ、「仲間」から切断されている間違いとか、「決断」を目的化し、して良いことと悪いことの倫理が欠けていると指摘。それが、ヒトラー支持の決断に向かわせた結果と。ふ~むと思う。
プーチンの決断が、ウクライナ侵略戦争をネオナチに対する祖国防衛の軍事作戦と言い、やっていることがナチスと同じなのに考え込んでしまう。戦後のハイデガーが、ヒトラーに利用されたと嘘をつき無反省を貫いたのと同じように、プーチンの末路もそんなことになるのだろうか。


ハイデガーの『複数性』(人は1人1人違う)につながる話題を裏ブログ『哲学のママヨさん』に書いた。違うから、人は話をし協力し自他の幸せを追求するのか、世間の尺度で無く自分の価値観を信じ孤立恐れず勇気を持って決断し実行するのか・・・・さてどちらを選ぶ?なんてことを思う 難しい本に手を出すと難しい本が恐くなくなる(笑)昨年末から中途の斉藤幸平著『人新世の「資本論」』をそろそろ再開しなくては。

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このニュースは1日1回

2022年04月24日 | 日記・エッセイ・コラム

クライナ侵略のニュース、見るのは1日に1回と決めている。残虐非道な画像を朝昼夜見るのは辛く、正常な感覚が麻痺するのが恐い。第2次大戦で、人間が決してやってはいけないことを決めたはずなのに、こうも簡単に世界注視の中で主権国家を蹂躙皆殺しの現実。これはいったい何を意味するのか、どうすれば終わらせられるのか、自分は何が出来るのかを考えたい。老人は行動はさておき、考える時間がたっぷりあるのだ。

 

う一つの理由は、身辺の不安を正確に感じて暮らしたいからだ。世界がロシアを包囲して停戦にもっていこうとしている只中で、憲法違反の他国攻撃に道を開こうとしたり、国会で反戦のデモや報道を「敵国の作戦」としていることが明らかになった。プーチンと同じだ、だが大きなニュースにならない。そして、20年間給与が上がらず年金が減らされている事実、異様な円安と物価高、拡大しているのに安心感広げるコロナ対策・・・・隠され誤魔化されていた暮らしの歪みがついに露呈しだした、黙っていたらどこに連れて行かれるのだろう。

 

人が嫌われるのは、自慢話と説教話と思い出話、と高田純次氏。問われれば幾らでも話するそうだが(笑)。無難なのは、身体の調子ぐらいしかない。噂話は御法度で、配偶者や子ども、孫の話は注意しないと相手を悲しくさせかねない、趣味は相手を選ばないと自慢話に。金の話は暗くなる。そうすると、政治の話は悪くない。未だ何をしやべっても連行はされない。故小沢昭一さんが、自分の死について考えたり誰かと話したりするのを好んだと言っていたが、波風氏も同感。延命治療や葬儀、墓の話なんかは今のところ明るく話せるなあ。他の人はどうする予定かなあ。


M音の単語は愛情表現として世界的に使われている(きたやまおさむ著『ハブられても生き残るための深層心理学』:岩波書店)、「甘え」「ミルク」「マリア」「ママ」「マンマ」・・・・M音は何かを求めるように唇を前に突き出して開く。フーム、「ママヨ」もあるな  画像は陶板にクレパス塗りたくった春の海。晴れているのに冷たい風が吹いている 夕方に着き次の日の朝方に出発した往復500㎞運転。あまり疲れないな、と思っていたら2日遅れでぐったり。

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勉強になる休業連絡

2022年04月19日 | 新聞感想

ブログで何度も取り上げている当地夕刊紙掲載のメガネ屋さんの「休業連絡」。国語の教材に使えると書いたが、①言いたいこと(休業の理由)がわかる、②簡潔で面白い、③エッセーでは、これが一番大事なのだが、『自慢話』に決して陥らない。見事だ。特に今回は、商売と父として社長としての対面・沽券にかかわる話で、読んでいて微笑ましさとドキドキとワクワクが同時に沸いた。結果報告はしてくれるのかなあ?聞きずらい話題だなあ、全市民注目の試験だなあ(笑)。
奥さんに「毎回の『休業連絡』を楽しみにしています」と伝えたことがあった。


書かなくては、書かなくては、と思い続けた1週間(中に、1年間のもある)。3人への手紙をやっと書き終えた。畑や調理やトイレ掃除なんかよりずうっとずうっと達成感あり(笑)今度の日曜日は久しぶりの読書交流『ほんのおつきあい』。何人、来られるかなあ。

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薄氷の春に

2022年04月16日 | 新聞感想

新聞を読み、これを子どもたちにどう話そうか、先生たちにどう考えてもらおうかと思うことが多い。退職後も治らない先生病(笑)。今朝の新聞(4/16朝日)で、こんなことを考えていた。

ってはならない「いじめ」が、学校と教育行政の隠蔽・無責任で、あっても無いことにしてしまった事件。『いじめ』以外のなにものでもないのに認定に3年。全国の子どもたちが大きな関心をもっている。先生たちが、今日のHRで何も話さない(話せない)としたら失格。「先生とは何か」の根本が問われ、子どもらは直感で信頼の距離を測っている。【旭川・中2死亡「いじめ」第三者報告】

港政府の行政長官に自由と民主主義を徹底否定した治安機関トップが就任見通し。上意下達の監視と弾圧の実績が評価されたのだ。当地でもこんな噂を聞いた。子どものための教育で無く、学力テスト競争で平均点UPを最大目標に学校を混乱させた行政トップが、今春の異動で見事な「ご栄転」。何のことはない、最初からこういう筋書きだったのだろう。若い先生だけでなく管理職の先生たちのストレスが心配だ。【「天声人語」】

ハム戦中止で珍しくTV中継の巨人・阪神見た。スポーツ面トップに『2勝   トラに薄明かり』の大きな見出し(笑)。阪神の選手は「少し安心した」が本音だろうなあ、すごく嬉しい顔もできないし、平静な顔もできないし。どちらも応援していないので気楽。『大谷満塁弾許し2敗目』は気になる、HRも未だ出ないし。

いることは、自分の付き合っている他人が死ぬことなんです。他人の死を見送ることです。 鶴見俊輔。だから、長生きの人は偉い、そういう悲しみをこらえて生きているのだからと少し前にこのブログに書いたなあ。【鷲田清一選「折々のことば」】


水槽に薄氷張っている春の朝。こんな感じでパリパリ音のする駄菓子が昔あったなあ  雨が降らないので毎日外仕事。昨日は、ベンチやウッドデッキの塗装今週は割合に多く人と話をした。わけもなくイジメられていたと言う人、大変な中で子ども中心の教育している人、ホームセンターで40年前の教え子と、未だあったのに忘れた(涙)。

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1.5斤の食パン

2022年04月12日 | 日記・エッセイ・コラム

波風家は、なぜウドンで、パンなのか?波風氏がウドンを捏ねて、ママヨさんがパンを焼くのは、ママヨさんの生い立ちから始まる。米が高くて買えず小麦粉で作っていたからだ。一緒になった頃、手作りウドンが食卓にのぼり、夫は「ウドンって作れるんだ」と馬鹿なことを口にしたのであった。

家で作るウドンもパンも買った方が絶対に安い。手間もかかる。しかし、手作りの方が確実に美味く材料も安心だ。毎回微妙に出来が違うから面白い。毎朝豆を挽いて淹れる珈琲が毎回違うのと同じだ。無職の老人だからできる時間づかい。互いにウン十年前の服を着続けて、「ジーンズついでもらったところがまた破れた」、「首と袖が綻びたから縫って欲しい」なんて笑いあうのも楽しい。消費的生活に溺れていてもそれで良しとは思いたくない。

貧乏を隠したり卑下せずに明るく生きる素敵さを思う。希望や努力、用心深さ、智恵や技術といったたくましさ、人間らしさを持てるかもしれない。大学で近現代史の授業を受けたママヨさんが、「明治時代の方が、自分の子ども時代の暮らしより文明的」と笑っていた。
昨日のニュースで、6月に小麦粉の政府価格上がるので、ウドンやパンに影響のニュース。波風氏は、さてさてどんな工夫でやっていこうかな、なんて思った。


画像はママヨ食パン。パン包丁で切れ目(縦横2筋)を入れバターを乗せて厚焼きトーストにするのが好き「恐怖」は自分の外に対象があり、「不安」はこの世界に自分が存在していること自体にある。不安と向き合うのは自分に向き合うことだから・・・・ハイデガー著『存在と時間』のTVテキストから。難しいが面白い。

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