あまり意識していなかったが、江戸情緒描く漫画が好きなようだ。誰かって?波風サン。10年以上テレビの『雲霧仁左衛門』(池波正太郎原作、中井貴一主演)を楽しんだのは、痛快な盗賊小説を演技達者な役者が粋に演じ、光と影を使ったスピード感ある絶妙な舞台演出があったから。それがだんだん薄れ(お金使ってない)、先月しょぼん終わり(涙)、「俺って時代劇好きだったんだ」を意識。話題の映画『侍、タイムスリッパー』、山田洋次監督時代劇以来久々にドキドキしたチャンバラ劇だった。
家にある江戸時代の職人描く漫画を再読。北斎の娘、絵師のお栄を活写する『百日紅(さるすべり)上下』(ちくま文庫:杉浦日向子作)、桶・刀・染め物・畳・左官の職人を粋にキリリと描く『神田ごくらく町職人ばなし』(サイド社:坂上暁仁作)、漫画がアートだと思う『鼻紙写楽』(小学館:一ノ関圭)の絵師、歌舞伎世界。この3作品、物語の時代考証より数段時間必要で奥の深い真実的虚構性により、隅から隅まで迫力ありそれが江戸庶民の血肉,生温かさを与える。小説より奇なり、と言わないのは受ける感動が違うからだが、江戸庶民の「いろいろあっても今日を楽しく暮らす」感じは漫画が上かもしれない。
今まで数年に一度、司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎を集中的に腹一杯になるぐらい読んだ時もあった。子ども時代に白戸三平『サスケ』や手塚治虫『新撰組』で、絵が上手くないとチャンバラ漫画は描けないと思ったが、それは今も続いている。シンプル描線の砂川しげひさ作『寄らば斬るド』だって質の高さは言うまでも無い。
ママヨさんが夢中で読み終わった『あきない世傳 金と銀2』(高田郁著)が今月からTVで始まった。江戸商人(呉服屋)の智恵と覚悟をお金をかけた時代劇して見せてくれ楽しい。現代ドラマに喜んでいた波風家だが、時代劇もイイネのこの頃。
『鼻紙写楽』の作家一ノ関圭、1975年にデビューして今まで『らんぷの下』と『茶箱広重』の3冊しか発表していない。時代劇を描くこと、完全主義もあるだろう、それにしても・・・・全作手に入れるなら今のうち 杉浦日向子(享年46歳)、夜のTV『コメディ お江戸でござる』で江戸風俗の解説していた若い女性漫画家。亡くなって大きさ知るのは消しゴム版画のナンシー関に同じ。