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波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

江戸の空気を味わう漫画

2025年04月14日 | 読書

あまり意識していなかったが、江戸情緒描く漫画が好きなようだ。誰かって?波風サン。10年以上テレビの『雲霧仁左衛門』(池波正太郎原作、中井貴一主演)を楽しんだのは、痛快な盗賊小説を演技達者な役者が粋に演じ、光と影を使ったスピード感ある絶妙な舞台演出があったから。それがだんだん薄れ(お金使ってない)、先月しょぼん終わり(涙)、「俺って時代劇好きだったんだ」を意識。話題の映画『侍、タイムスリッパー』、山田洋次監督時代劇以来久々にドキドキしたチャンバラ劇だった。

 

家にある江戸時代の職人描く漫画を再読。北斎の娘、絵師のお栄を活写する『百日紅(さるすべり)上下』(ちくま文庫:杉浦日向子作)、桶・刀・染め物・畳・左官の職人を粋にキリリと描く『神田ごくらく町職人ばなし』(サイド社:坂上暁仁作)、漫画がアートだと思う『鼻紙写楽』(小学館:一ノ関圭)の絵師、歌舞伎世界。この3作品、物語の時代考証より数段時間必要で奥の深い真実的虚構性により、隅から隅まで迫力ありそれが江戸庶民の血肉,生温かさを与える。小説より奇なり、と言わないのは受ける感動が違うからだが、江戸庶民の「いろいろあっても今日を楽しく暮らす」感じは漫画が上かもしれない。


今まで数年に一度、司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎を集中的に腹一杯になるぐらい読んだ時もあった。子ども時代に白戸三平『サスケ』や手塚治虫『新撰組』で、絵が上手くないとチャンバラ漫画は描けないと思ったが、それは今も続いている。シンプル描線の砂川しげひさ作『寄らば斬るド』だって質の高さは言うまでも無い。
ママヨさんが夢中で読み終わった『あきない世傳 金と銀2』(高田郁著)が今月からTVで始まった。江戸商人(呉服屋)の智恵と覚悟をお金をかけた時代劇して見せてくれ楽しい。現代ドラマに喜んでいた波風家だが、時代劇もイイネのこの頃。


『鼻紙写楽』の作家一ノ関圭、1975年にデビューして今まで『らんぷの下』と『茶箱広重』の3冊しか発表していない。時代劇を描くこと、完全主義もあるだろう、それにしても・・・・全作手に入れるなら今のうち 杉浦日向子(享年46歳)、夜のTV『コメディ お江戸でござる』で江戸風俗の解説していた若い女性漫画家。亡くなって大きさ知るのは消しゴム版画のナンシー関に同じ。

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第47回『ほんのおつきあい』(読書交流会)記録

2025年04月08日 | 読書

3月30日(日)14:00~波風宅で開催された読書交流会(「ほんのおつきあい」)。最近では最多の6名参加。新しく2人は病院関係者の方々。もう少しで50回、ウーム、感慨深い。


MS
 『四畳半タイムマシーンブルース』(森見登美彦著:上田誠企画原案:KADOKAWA)、アニメ『夜は短し歩けよ乙女』などでファンの多い作者。タイムマシンで昨日に戻り、壊れたエアコンのリモコンを探しに行くという青春学生恋ばなコメディ。荒唐無稽だが笑いあり涙ありの感動喜劇で一気に読めて楽しかった★5。


HF 『それでも人生にイエスと言う』(V・E・フランクル著:春秋社)、ナチス強制収容所の体験を描いて世界に衝撃を与えた『夜と霧』の著者による、すべての悩める人に「人生を肯定する」ことを訴えた講演集。大変な名著だと思う、一言で感想を言うのは無理★5。他に、筒井康隆著『文学部只野教授 女性問答』を読みどんな仕事でも漫然とやっていては身に入らない、武者小路実篤著『幸福な人生』を読み生活に困らない作家だと思っていたが人生と誠実に向かい合う姿勢に感動。


ママヨ 『きみはいい子』(中脇初枝著:ポプラ社)、同じ街に住み同じ雨の午後を描く短編集。同著者の『わたしをみつけて』い感動し読む。病院従事者の大変さ、人と接する時のあいまいさに気づかされる★5。他に幸田文著『木』を読み、漠然と見ていた木の見方・考え方が大きく変わった。好きだったTVドラマの原作の葉室麟著『蛍草』を読み、女主人公の生命力の強さをあらためて実感。


OY
  『「誰ひとり』取り残されない学校づくり』(野口晃菜、前川圭一郎編集著、藤本恵美編集:明治図書出版)、標題を目指した改革を行っている戸田市立喜沢小学校の実践プロセス、子どもに対して肯定的な働きかける行動分析学(パブロフから始まる)にもとづく実践実践で、個人の状況に応じた支援方法は効果があると思う★4.5。

OM 『重症心身障害児(者)医療福祉の誕生 その歴史と論点』(岡田喜篤、蒔田明嗣著:医歯薬出版)、病院に来る障害を持った人にリハビリが専門の自分に出来るのは何だろう、周囲から「かわいそう」と思われる子どもの少しの変化(成長)がとても嬉しい。重症児療育のあり方を模索する毎日。著者の岡田喜篤は旭川療育園園長。★3.5。

波風  このブログで紹介(3/31「感じる文字」)した『文字に美はありや』(伊集院静著:文藝春秋)の感想を、『伊丹十三の本』(「考える人」編集部:新潮社)★4掲載の「日本一の明朝体」と、『恋慕渇仰』(緒形拳著:東京書籍)★5掲載の毛筆文字を例にして話す。繰り返しになるが、書き文字は、書き手の人柄を表し、出来るなら変な制約や遠慮に支配されないで思うままに「感動する文字」を書きたいものだ。

参加しての感想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■
ママヨ:小説のドラマと関係無い話が聞けてとても良かった。
OY:小説を最近読んでいないなあ。また参加したい。
HF:小説やエッセー以外の教育や医療の本の話が聞けて良かった。子どもと関わっていきたい。
OM:参加して良かった。
MS:休まず参加出来て良かった(笑)
波風:読んだことを人に話すのは難しいこと。読みながら「どう話すか」を考えるのは悪くない。


今月の『ほんのおつきあい』は、4月27日(日)14時から開催予定 珈琲ロースト美加保店(札幌)から、波風珈琲(ブレンド)を送ってもらっている。今まで違う豆の飲み比べして楽しんでいたが、波風珈琲だけを強焙煎、浅焙煎、普通で飲んでみた。少し違いのわかる夫妻になった(笑)。

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第46回「ほんのおつきあい」記録

2025年03月03日 | 読書

月に続いて2月23日(日)に読書交流会(「ほんのおつきあい」)開催。コロナ蔓延期間の中止や波風夫妻の体調で延期もあったが、2018年ごろ(ブログ検索したがわからなかった)に始めた交流会。続いているのは面白いから。1度だけ参加の人もいれば、1度だけ不参加の人もいるし、1度だけ波風夫妻だけというのもあった。

MS 小説『人間に向いてない』(黒澤いずみ著:講談社)、若いニートに限った「異形性変異症候群」で人間でなく犬の姿になる息子、母親(主人公)や家族との愛や葛藤の絆を深く考えさせられる。職場の同僚にすすめられて読んだが小説の面白さを感じた★5。『私の中にいる』(黒澤いずみ著:講談社)、母子2人暮らしで小学生の娘に殺された母親、事件後から不思議な言動の娘、乖離性同一障害の私(娘)の中にいるのは誰?、どう理解すればよいのか分からないまま読了しスラスラ読めたので★4。

ママヨ    小説『沙林 偽りの王国』(帚木蓬生著:新潮社)、サリン事件から30年目の今年、読み終わり人間はいとも簡単に洗脳されるものなのかと思った、偏狭な専門家ほど、高学歴は何の壁にもならない。真実が明らかにされないまま2018年に13人の突然の死刑実行が天皇制とオリンピックにあわせたもの?・・・辛い読書だが★5。小説『ふるさと銀河線』(高田郁著:双葉文庫)、大好きな作者の家族を舞台にした9つの短編集、アルツハイマーで息子が昨日来たことを忘れ辛いけれどどう喜びを見い出すかを描いた『晩夏光』が印象に★5。マンガ『娘がいじめをしていました』(しょろやぎ秋吾作:)

HF   新書『本音を言おうとすると涙が出てくる』(ゆりか著:朝日新聞出版)、HSP(生まれつき五感がとても敏感な人)に自分が当てはまるようだ★5。新書『疲れた時に読む本』(根本博之著:大和書房)、『本音を~』と同じく、他者の悩みを真剣に聞いていて自分が疲れる理由がわかった★5。HSPが自分の個性・特性だと思うことで大変さとともに、危機回避的な能力の1つだとも思った。

波風 随筆『木』(幸田文著:新潮文庫)★5、随筆『老いの身じたく』(幸田文著:平凡社)★4、本ブログで紹介済みなので説明略。この著者の書くものはエッセーでなく随筆だと思う。

【交流の中で話題になったこと】
●職場の人間関係で困ったこと
●オウムで記憶に残っていること
●本を読む意味 読書交流の楽しさ


公式裏ブログを『いなり寿司と塩鯖で』で更新しました 老人は何かと忙しい。用事は少ないが、始める前にあれこれ考えるのと、動き出しても準備してないことが途中でわかって時間がかかる。後片付けもおっくうだ。幸田文が同じようなことを65歳で書いている。ちょっと安心する俳人の金子兜太、92歳の著書『私はどうも死ぬ気がしない』を楽しく読む。ウンコと屁に向き合う人に悪い人はいないと、漫画家の水木しげるとの対談実現。なるほど似ている。金子氏99歳の没。老いても「荒々しく。平凡に生きる」人に学ぶこと多い。

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第45回『ほんのおつきあい』記録

2025年01月30日 | 読書

コロナで休んだ時期をはさみ、読書交流会『ほんのおつきあい』も45回目。素直に嬉しい。この種のコトは続くのが難しいのだが、「波風氏とママヨさんの読書感想茶飲み話」が基本のお気楽イベントだからだろう。2人が健康で、ケンカなく、難事無かったら「月末日曜日の午後2時開催」が続けられる。

MS 小説『博士の愛した数式』(小川洋子著:新潮文庫)、読書交流に参加していると職場の人に話したら勧められた本。家政婦親子と博士と博士の姉の相互の人間関係が相手を深く思いやる心に満ちていて感動★5
マンガ『疲れた夜に夜食を届ける出前店』(中山有香里作:KADOKAWA)、今の職場は身体は疲れるが心が疲れないので毎日が楽しい。このマンガは辛かった前の職場を辞めた時に読み慰められた。
【交流から】自分に馴染みのない数学と小説の関係を描いていて驚いた。数学が苦手だったが中学生に教える機会があって面白くなり数研3級合格した(HF)この本もそうだが、韓国映画『不思議の国の数学者』や米映画『グット・ウイル・ハンティング/旅立ち』は面白く印象に残っている。数学は不思議な魅力で人を惹きつける(波風)他の参加者全員が読んでいて映画も見ていた。

 

ママヨ 小説『あきない世傳 金と銀』全14巻(高田郁著:ハルキ文庫)、江戸時代の女性の9~60歳の人生、貸してくれた方の「ハンカチいっぱい用意して読んでね」が全くその通りだった(涙)、江戸と違い商家の主人になれず財産も持てない大阪で、困った時に知恵を発揮して生き抜く物語。商売は「買って嬉しい、売って嬉しい」を伝えてくれる。3ヶ月かかって読了★5
小説『沙林 偽りの王国』(帚木蓬生著:新潮社)、前からこの著者の本を読み医師だから書けた小説だと思った。薬の先生以外は実名で麻原の金の亡者ぶり描かれているところまで読書途中。オウムがなぜ大量殺人を犯したのかが明らかにされないのが(死刑)非常に疑問、サリン事件30年目の今年だが同じ時期の阪神神戸大地震は繰り返しマスコミが扱うがオウムは全く表に出ない。★未定
交流から】確かにサリン事件やオウム真理教の犯罪は隠されている感じ。権力や巨大宗教団体に都合の悪いことが相当あるのだろう(波風)、上九一色村や麻原の情けない姿が今でも浮かび悪いと分かっていても宗教にのめり込む不思議がある(MS)、オウムに入信した医師が自責の念で自死したのが心に残っている(HF)

 

HF マンガ『娘がいじめをしていました』(しろやぎ秋吾作:KADOKAWA)、SNSにより思いもよらない事態になる家族。いじめの当事者(加害者と被害者)になった時の選択肢を考えさせられる。中学校で働いていて、校外のスマホによるトラブルを先生たちが扱うのは大変だと思いつつ、それ以外の解決方法は何かも考えさせられる★不明
コミックエセイ『人見知りの自分を許せたら生きるのが楽になりました』(わたなべぽん:KADOKAWA)、ドライアイのため好きな本が長時間読めず今まで手にしなかったコミックを読みました★不明

 

波風 小説『すべての、白いものたちの』(ハン・ガン著:河出文庫)、アジアの女性作家が初めてノーベル文学賞受賞した作家、散文詩みたいだと思いながら繊細な言葉と巧みな訳で最後まで読めた、3章の構成が独特で解説を読んで「そういう小説なのか」と驚く、今までに無い読後感★5。歌文集『豆腐屋の四季 ある青春の記録』(松下竜一著:リプリオ出版)、著者の豆腐屋以後の文学者になってからの仕事に様々な意見があるようだが、60年代末の空気を思い出しながら本作を感動的に読んだ★5


こんな割合に丁寧な記録掲載も久しぶり。【交流から】は沢山あるが話に夢中で記録できなかった。波風氏から質問の「いき」と「センスいい」と「カッコいい」のうち言われて一番嬉しい言葉は?の回答は面白かった。それぞれの人の語意が微妙に違う 読書がとても贅沢な時間の使い方かもしれない。薄っぺらさが露呈しまくってる新聞や映像世界に身を置かざるを得ない中で前回の続きを書こうと思ったが、読書交流の熱が未だ残っているうちに掲載しとくか、の気分。

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『豆腐屋の四季』を読む

2025年01月20日 | 読書

いつか読みたいと思っていた『豆腐屋の四季』(松下竜一著:講談社)読み終わる。家業豆腐屋の後継者として厳しい労働に従事しながら、新聞投稿の短歌を軸に1968年自費出版(1969年に講談社刊)した日々の暮らしと思いを綴った歌文集。1969~1970年にTVドラマになり、波風氏の母親が何度も涙したと言っていたが見ていない。加藤健一が主役だとずうっと思っていたが今回緒形拳だと知った。
少し前に本好きの知人が「青春の神話」みたいにこの本のことを話していた。1937年生まれ(享年67歳)の松下氏と彼が同級生ぐらいなんだと思った。

 

生きるために働くのは何と過酷なんだろう、その中で短歌を作り、家族の面倒を見て、恋愛を成就させる感性と努力と運を掴む強さに驚く。この本の書かれた時代が、波風氏の中学から高校時代と重なり、自分の学生時代がそれなりに色々あっても気楽だったと思った。松下氏が「自分が断念せざるを得なかった大学生などに負けてなるものか」という気持ちを痛いほど思った。
心惹かれたのは、高校卒業を待って結婚した若妻のこと。よくまあ嫁ぐことになったものだ。それなのに、時代の制約だろうが家父長的な束縛が気になった。今なら間違いなく出ていかれるね。それと自分を妙に卑下したり自信一杯になるのは若さかな。読んでいて面倒だったのは和歌。画文集は気にならないが歌文集は読書リズムを乱す。

読んでよかったと、なぜ思うのか。ずうっと後になっても共感と反発が残るのが未熟でまっすぐな『青春』だと思うが、久しぶりに荒削りの青春文学に出あった感じ。映画『PERFECT  DAYS』がほぼ共感(笑)の世界なのは主人公が自ら選んだ暮らし方で、豆腐屋家業はそれと真逆。外から見ている者の心の置きどころというか安心感が違う。だが、両者とも人生とは何かを落ち着いて考えさせるなあ。清潔感が共通しているからかなあ。


この本は絶版で古本は高価。試しに図書館で聞いたら「大きな活字で読みやすい本」の書棚に。嬉しかった 今年初の読書交流会『ほんのおつきあい』を1月26日(日)14:00~波風宅で。参加費200円、参加希望はメールでお知らせください➜namikaztateo@gmail.com

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