波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

工藤直子詩「あいたくて」

2016年11月26日 | 読書

医者の帰り、遠回りして行った本屋。買った詩集『あ・い・た・く・て』(工藤直子*詩 佐野洋子*絵)から。不思議だ。人生が残り少なくなってから、こういう詩に反応するとは。「もう、あいたい人にはあったはず」というのと、「まだ、あっていない人がいる」というのが交錯する。作者50代の詩。

                         

画「あん」のエンドロールで使われた言葉「人は見るために生まれて来た」も思い出す。どれも、深く考えはしないが、強く感じはする。歳とれば自ずと見るべきもの、会うべきものは満たされ、価値観は煮詰まり感情は安定すると思っていた。しかし、どうもそうではない。いったい、何を探し求めていたのかさえ、油断すると曖昧になる気がする。老人の頑固さとは、そうした自分自身を必死に確保する緊張感を言うのかもしれない。その自分が一番わからない。「あいたい」のは、本当の自分みたいな気がする。

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