波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

中東の不幸

2011年02月27日 | 日記・エッセイ・コラム
 「大過なく過ごすことができたのは皆様の…」という主賓あいさつに、「あんPhotoたのせいで周りが『大禍』だった…ご勇退に心から感謝」と隣からの小声の突っ込み。若い波風立男が「勇退感謝会」の真実を知った瞬間だ。「勇退」という意味不明な言葉はさておき、退職される先輩がお世話になった方々へ感謝する集いだと会場へ向かうまで勘違いしていた。
 
  多大な迷惑もこんなふうなパーティー形式で一気に精算してくれるのか、拍手と花束と退職金で盛大に送り出してくれるのかと若き立男は思った。人類が長い苦労の果てに考案した「TAISYOKU」は愛と平和の世代交代システムだった。そこには、暴力も、後味の悪い選挙結果も、無かった。そんなこんなうちに、立男自身が主賓になる日が目前に迫ってきた。そうなってくると、若き日の勘違いは、実はあれが正しい意味だったのではないかと思う立男だ。
 
  中東の不幸は、大統領や大佐のご勇退感謝会を開催できないことだ。雪の降らない休日の午後、ママヨさんとデコポンを食べながらそう思った。
 
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
 
 
「ひとりの老後ノート」(佐藤朝子著:北海道新聞社)は、帯の「いま老年期を生きている人へのメッセ-ジ。介護保険、生活支援、住宅…疑問に具体例と最新データーで答える…」の通りかゆいところに手が届く老後直前教科書。主味広(しゅみひろし)氏もご愛読★★周りに迷惑をかけず見通しある老後には学びあいが不可欠だ。あの大佐も読んで欲しい「てっぱん」(NHKの朝ドラ)で毎日泣いていると花池嵐(はないけあらし)氏夫妻。この番組愛好者に心の悪い人はいないと思う。もちろん立男も泣いている。土曜の総集編で一気に。あの大佐も見て欲しい。
コメント

バナナの教え  №2                

2011年02月26日 | 新聞掲載

    昔、バナナは高価で運動会か学芸会ぐらいでしか食べられなかっPhoto_3 た。私たちの子ども時代では、間違いなく「憧れの食物」ナンバー1だ。私の家は貧しく、小学校5年生の時にもらって食べたのが最初だ。
 ある日、大きな包みが父の仏壇に置かれた。父の友人が土産に持って来てくれたのだ。包み紙の形から果物屋で見たことのある光り輝く果実、グローブのような房が幾重にも重なったバナナだと思った。夢かと思った。
 その日、母の仕事の帰りが遅かった。包みのすき間を何度ものぞいた。指で触れたりもした。すべすべした黄色い1本を取り出し妹と分けて食べた。次は一本づつ、これで終わりと一本、本当に最後と一本、次々と言い訳を探して食べ続けた。
 帰ってきた母が、「家族三人、どんなものでも分けあって生きてきた。自分が何をしたか考えてごらん」と涙声で静かに言った。母には随分怒られ、デレッキで叩かれもした。しかし、叱られたという記憶はこれに尽きる。自分の幼さ、卑しさ、ふがいなさを嫌と言うほど見つめさせられた。
 ほめられることは大事だ。しかし、叱られることはもっと大事だ。真剣に愛していなければ真剣に叱れはしない。叱ってくれる人がいなければ人は人になれないと思う。何歳になっても。                                                                                 【平成23年2月26日/朝刊】

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………

新聞掲載用コラムは文書修行。550字は、書き始めは短か過ぎるように思うが、最後にはとても長く感じる。いつもそうだ。読み手にとってこの字数は慌ただしい朝に読む限界の字数だろう。バナナにまつわる話題は、「我らの時代」特有のものかもしれないが、それぞれの思い出に何か普遍的なものがあるように思う。

コメント

凡師、ごあいさつ。

2011年02月24日 | 【保管】一寸凡師コラム

 本日より本ブログ内の空き部屋を間借りすることになった、「一寸凡師(いっすんぼんし)」と申します。拙いコラムですがどうぞ皆様よろしくお願いします。

理人さまからは「気軽な気持ちで、言葉を通じて、己を磨く修行の場。敷金礼金はいらないよ。」とのお声を頂きました。日頃より「人生は修行。修行は一生。」という言葉を信念に邁進する(姿に憧れを持っている)小生に取って、これはチャンスと捉え、このページの空(あ)いている「隙間」を間借りさせてもらうことになりました。空いている「隙間」は開(あ)いている「隙間」。この開かれた「隙間」から大きく飛躍し、直木賞を目指したいと思います.

て、読者の皆様へ。この「隙間コラム」は、「性根が少なからず曲がっている」凡師が発信する為、内容も少なからず曲がっております。もし今後も読んでみようという方がいれば、最初から「少し変わっている人が発信するもの」として受け止めて頂けると、さほど腹も立たないと思われます。なお、間借りしている身ですので、管理人さまからの退去命令があった場合、家賃が払えなくなる等不測の事態が起きた場合につきましては、サッといなくなります。その為、もしかしたら第2号は無いかもしれません。「更新してたらラッキー」ぐらいの気持ちでお読み頂けるとありがたいです。                  それではみなさん、アスタラビスタベイベー     

コメント (2)

未だ、パンダ

2011年02月23日 | 日記・エッセイ・コラム
 21日、中国からパンダ来日。雄の「比力」(ビーリー)と「仙女」(シィPhoto エンニュ)は美男美女らしい。これまでのパンダ様はどれも愛らしく好ましい形容詞がついていた。生まれながらの動物園業界スターだ。旭山動物園の行動展示、ペンギンのヨチヨチ行進なんかは厳しい修行を積む舞台俳優のようだ。
 
 TVのパンダを見ながら、「俺とどっちがかわいい?」と聞くと、少し考えて、それはあなただとママヨさん。パンダは私のことを知らないからだと言う。わかったようでわからない理由だ。次の「俺がパンダだったらどうする?」には即答。「もちろん見せ物。自分を主張するタイプだからやっていける」と恐ろしいことを言う。例によってうたた寝していると、「健康でなければ人様に見てもらえないでしょう!早く布団へ」と調教される波風立男だった。夜中に「すごーい」、「かわいい」と叫んでたと朝ママヨさんが。いったいどんな夢を立男は…
 

 
明日から、「一寸凡師の隙間コラム」連載開始。週1回程度の執筆をお願いしたのは、某HPで活躍されているコラムニスト、あの幻の「お尚ぶり…」のK氏。本ブログを足場に世界発信しいつかは…期待高まる
コメント

漱石入社の辞

2011年02月22日 | 読書
 東大の先生を辞めて朝日新聞社に入ったわけはPhoto_2 吠えて不愉快だったから。もうひとつは自分が使う時に限って大学図書館の館員が大きな声で話する、笑う、ふざけるからだと夏目漱石。 
                      ・ ・ ・ 
   講義が拙い不平は犬へ。図書館の方は学長に書面で「恐れながら御成敗」を願ったが取りあってくれない。講義の拙さは学生には気の毒だが、不平は図書館と学長に言ってくれ。自分の学力が足りないと思われては甚だ迷惑だと書く。その学長名は坪井だとちゃんと書いてある。そして変わり者は「変わり者」として新聞社で働くとしめくくる。いやはや…。
                      ・ ・ ・ 
   夏目漱石様を今まで読まなかったことを反省し、退職後にはちゃんと読みますと天を仰いだ。「坊っちゃん」とこれしか読んでいないが漱石は凄い、俺にはわかると波風は思った(笑)森鴎外「ヰタ・セクスアリス」以来の文豪開眼。
 
…………………………………………………………………………………………………………………………………………
 
「入社の辞」(夏目漱石著:作品社「日本の名随筆【定年】」から)はもちろん★★★。画像は「さんさんろく」(こうの史代画:双葉社)この絵は好きになれないが人の温もり伝わるこうのワールド。2巻完結が残念で★★。「四十九日のレシピ」の先取りだ。「この世で愛したすべてがどうかあなたに力を貸してくれますように。妻の残してくれた生活ノートが今もなお支えてくれる…男やもめで専業主夫」と帯に。
コメント