波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

「私の『貧乏物語』」読む

2016年11月15日 | 読書
「私の『貧乏物語』―これからの希望をみつけるために」(36名の執筆:岩波書店)読む。第一次大戦中、河上肇著「貧乏物語」が新聞連載されて百年目の今年。

成り遂げた方々の後日談だから、想像を絶する貧乏状態でも、「人間なんとかなるもんなんだな」という読後感残る。落差激しい人生物語が楽しい。「明日のジョー」も「巨人の星」も、下町のジムや、ちゃぶ台返しの長屋住まいの頃の話が一番好きだ。
 
ぐんだり笑ったりする。揃って『貧乏』に正対し、その何が悪いといういさぎよさ、公平で誠実な人生観が嬉しい。格差と落差の違いを思う。当然だが、成功する方法なんかは書いてない。
 
の絶望的な格差と違い、貧乏な境遇でも這い上がれる環境の時代を差し引いても、大事なのは人間性。『貧乏』をキーワードに、人間の価値を考えさせられる。その点では、お金も、お金以外も『貧乏』な自分を映す鏡の怖い本。自分の腹に収めておけばよいものを、こういうふうに説明したがるのは、この本の読み方にふさわしくない気がする。
 

 
このブログに設置している「波風文庫」のコメントに「いいね」来て、そんなのやっていこと思い出す本ブログも来月で6年目。少しだけデザイン変更。『無限の闇 草間彌生自伝』(06年)、描かなければ死ぬ、という凄まじさが少し身近に。 
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