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南北戦争で引き裂かれた二人の運命「ジェーン」2016年制作 劇場公開2016年10月

2017-04-11 16:02:20 | 映画

              
 南北戦争終結6年後の1871年、ニューメキシコ準州の乾ききった平原に建つハモンド一家に災厄が見舞う。もともと夫のビル(ノア・エメリッヒ)は、無法者たちを率いていて2000ドルの賞金がかかっているお尋ね者だ。妻ジェーン(ナタリー・ポートマン)との間には娘ケイティを儲けて夫婦仲はいい。

 遊ぶケイティの像がゆがむ窓から平原を眺めながらパン生地をこねていたジェーン。ケイティの「パパ」と言う声に表に出てみると、ビルが馬から転げ落ちた。銃弾が二発背中にめり込んでいた。ジェーンは、一発は取り出したが残る一発は取り出せない。お尋ね者ゆえ、医者に頼れない。

 「ビショップ(ユアン・マクレガー)たちが追ってくる。ケイティを連れて逃げろ」とビルが言う。ジェーンは「逃げない。あなたをここから無事に出す」

 ライフル、拳銃、黒いテンガロン・ハットに身を固め、娘をインディアンの女に預け、かつての恋人ダン・フロスト(ジョエル・エドガートン)に助けを求める。

 この黒いテンガロン・ハットをかぶるナタリー・ポートマンがなかなかいい。意志の強い西部の女にぴったり。インディアンの女の家に行く風景も、緑がないが砂塵の舞うすすけた茶色が土地の匂いや吹く風の冷たさも感じられ行ってみたいと思わせる。こういう風景の中を4WDの車を駆ってみたいと思ったりする。

 別の男と結婚したかつての恋人の依頼は、男の意地が阻み「帰ってくれ」とジェーンを追い返す。ジェーンはその足で助っ人を雇おうと町に出る。悪いことに、ならず者につかまっていたぶられる寸前ダンが現れる。隙を見てジェーンは、ならず者を撃ち殺す。ダンの「逃げよう」で二人はジェーンの家へ。結局、ビショップたちの襲来を待つことになる。

 迎撃体制を整える合間に、ジェーンとダンのいきさつが語られる。結婚を約束した二人だったが南北戦争の勃発でダンは入隊、ジェーンに音信がなかったのは捕虜になったからだった。そういう境遇のジェーンには別の道を歩ませることになる。

 再び力を合わせる二人に勝利は微笑む。ビルは弾丸を抜き取れないせいで命を落とす。ビショップと何人かの「お尋ね者」のポスターを剥がし、夫の「2000ドル、ビル・ハモンド」はそのまま残す。せめてもの夫への惜別と女のプライドか。

 ざっくりと賞金を手にして、ダンと娘二人と共にカリフォルニアを目指す。久しぶりに落ち着いて西部劇を観た気がした。かつて仕事や人間関係で悩んだとき、シネマスコープの西部劇を観て気分転換したことを思い出す。悩みのあるときアルコールに頼ると、ろくなことがなかった。爾来、西部劇が私にとって清涼剤となった。

 そういうことでこの映画をわくわくしながら観ていた。疾走する場面の馬の美しさ。ビショップたち二十数人の乗る馬が三手に分かれる描写は、まるで航空自衛隊のブルーインパルスの編隊飛行を思わせる素晴らしいショットだった。
 

 

監督
ギャビン・オコナー1964年ニューヨーク、ロングアイランド生まれ。

キャス
トナタリー・ポートマン1981年6月イスラエル生まれ。2010年「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞受賞。本作には製作にも参加。
ジョエル・エドガートン1974年6月オーストラリア、メルボルン生まれ。
ノア・エメリッヒ1965年2月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。



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