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読書「五番目の女DEN FEMTE KVINNAN」ヘニング・マンケル 創元推理文庫2010年8月刊

2012-04-16 14:06:01 | 読書

                
1993年5月アルジェリア。教会で四人の尼僧が殺され偶然にも観光客の女性が五人目の犠牲者となった。
 スウェーデンで1994年9月から男が連続して三人殺される。イースタ警察の刑事クルト・ヴァランダーがその捜査を進める。

 スウェーデン作家のミステリーを読むのは初めてであるが、精細でキャラクターが等身大に描かれ、スウェーデンの灰色の秋を背景にぐいぐいと読者を引き込んでいく。特に捜査の過程が詳細で繰り返しの文脈も気にならない。むしろ、理解を助けてくれる。

 主人公のクルト・ヴァランダーは、40代後半で離婚経験者で独身、娘が一人いる有能な捜査官ではある。生涯で初めて父親との楽しかったイタリア旅行の余韻を楽しむ暇もなくこの殺人事件の指揮をとることになった。
 捜査会議が延々と続き的確な指示のもとに捜査員が街に散っていく。土曜も日曜もない仕事の連続に気力も萎えようとする。
 睡眠時間の少ない朝、無理に体を引き起こす。靴下に穴が開いているのに気がついたり、警察官と言う職業が嫌いになったりする瞬間もある。そういうごく人間的な側面を見せながらも犯人逮捕に執念を燃やす。

 私の読んだ範囲内のアメリカン・ミステリーでは、こういう人間的弱さを描くことにお目にかかったことがない。犯人は男か女か? 五番目の女を示唆する展開を楽しんだ。

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