アメリカ南部テネシー州ジャイルズ郡プラスキ、ここが小説の舞台である。人口約29,000人86%が白人という町である。ジャイルズ郡を含む4郡を司法管轄とする第二十二司法管轄区検事長ヘレン・エヴァンジェリン・ルイスが殺人容疑で逮捕される。被害者はヘレンの元夫であり弁護士のブッチ・レンフローだった。
1978年テネシー大学ロースクールを数少ない女性として卒業したヘレン・ルイス。ヘレンは美人の部類に入る。髪の色はミッドナイトブラック、青白い肌に黒いスーツとハイヒールを履き唇を真っ赤に塗っている。テネシー州南部のあらゆるミスティーン・コンテストに参加して、優勝はしなかったが三位には入賞できた。
実社会では保安官で実績を上げ今や検事長、周囲の人たちはゼネラル(将軍、総統)という軍の階級で呼ぶ。今、抱えている案件に日本の自動車会社を誘致して、雇用を生み出そうとする男マイケル・ザニックの十五歳の少女レイプ事件がある。
ヘレンは検事として、仮釈放なしの十年という重い刑を提案している。弁護士から情状酌量の余地を求めて来たが、ガンとして拒否した。が、さらに加えてブッチも同じ話を持ち掛けてきた。断ったがブッチは古い話を持ち出し、秋の検事の選挙の前に秘密をぶちまけると脅しても来た。その秘密というのは、ヘレンとブッチが付き合っていた1977年ロースクール三年生のとき、ヘレンがレイプされ妊娠した。ブッチにはレイプを言わず中絶を告げた。ブッチは怒り狂ったが、中絶を秘密にする合意ができた。
この保守的な地域で中絶は、命取りになりかねない。ヘレンは弁護を旧知の黒人弁護士ボー・ヘインズに依頼する。実力者のボーの奮闘によって、無罪への道筋が見えてくる。ところがどこにでもあるような結末にはならない。嘘が幾重にも重なっていて、アッと驚くエンディングが待っている。
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