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読書「チャイルド・オブ・ゴッドCHILD OF GOD」コーマック・マッカーシー著早川書房2013年刊

2024-06-07 10:56:41 | 読書
 文学的評価の高いこの作品、27歳のレスター・バラードという男が森の中をさまよい林道の終点で見つけたカップル。ドアを開けると二人とも死んでいた。やおら屍姦のあと、その女性の死体を掘っ立て小屋に持ち帰り、街で赤いドレスや下着と口紅を買って死体に着せる。自らは口紅を塗り女性の衣装を着て、森の中を徘徊する。

 読んでいて気持ちのいいものじゃない。商業的には成功しなかったのは納得できる。「極端な孤立、倒錯、暴力を人間の経験を表現することに成功するとともに、マッカーシーは文学的慣習を無視し(例えば、引用符を使わない)、事実に基づく記述、非常に詳細な散文、鮮やかで絵のように美しい牧歌的なイメージ、口語的な一人称の語り口(話し手は特定されないまま)など、いくつかの文体を切り替えている」とウィキペディアにある。

 日本版においても句読点の読点がないのと会話にかっこ書きがない。まずこれに驚かされた。これは日本の翻訳者や編集者が考えたことであろうが。もともと孤独で人付き合いの下手なレスター・バラードにとって、親から受け継いだ家を競売にかけられて放り出される。ますます孤独感を強め、森の中にあるすき間の多い板壁のぼろい掘立小屋にひっそりと暮らす。
 肌身離さず持ち歩くのはライフル銃。誰も信じないし誰も信じてくれない。女が欲しいけれど、生身の女は相手にしてくれない。死体になればすべて俺の言うがまま。ライフルは非常に役に立つ。

 この小説は2012年にジェームズ・フランコが映画化している。山の岩場で片腕をはさまれ、127時間身動きが取れなくなった登山家の実話の映画化で、ジェームズ・フランコが主演している。高く評価された作品だった。この「チャイルド・オブ・ゴッド」の映画評は、平均点以下というみじめなものだった。原作に忠実すぎるというのが私の意見。丹念に屍姦を描くというのはどうだろう。描き方があるような気がする。

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