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ミステリー ダニエル・チャヴァリア「バイク・ガールと野郎ども」

2005-12-19 11:13:43 | 読書
 最初このタイトルを見たとき、オートバイに乗った女の子と男どもがどんな悪巧みをするのかと思ったが、そんな予想は完璧に裏切られた。

 バイクはマウンテン・バイクで、二十代前半のアリシアという女の子が、豊かな胸とむっちりした尻、引き締まった太腿を見せつけるようにまたがるバイク姿には魔力がある。だが、歩いているときのアリシアは、すばらしくキレイだが決して露骨ではない。

 このバイクには仕掛けがあって、ペダルが外れることとブレーキがロックすることだ。これで彼女は顔を下に尻を上にして宙を飛ぶ。これには十分な練習をつんだ。そして事故は必ず高級車の前方100メートルほどのところで起こる。運転者は、わざと高くセットしたサドルの上でリズミカルに揺れる大臀筋に目が放せない。これで金持ち男(外国人がいい)を釣り上げるという計算だ。もちろん相手とセックスもする。彼女の目的は、母親ともども一生安楽な生活の確保だった。

 舞台はなんと、キューバのハバナ。そんなところへメル・ギブソン似のグルート・インターナショナルに席を置くビジネスマンが現れる。ところが、ヴィクターと名乗るこの男には二度の銀行強盗暦があった。ワルなんだけれど魅力的な男だ。どういうわけか、男も女もチョット悪っぽいところがある方が魅力的に映る。

 グルート・インターナショナルを率いるリークス・グルートはゲイで、ヴィクターとのプレイを楽しんでいる。ヴィクターは両刀使いで、アリシアとも十分楽しめる。そんなある日、脚を滑らしたリークスが不幸にも死んでしまう。この事態を利用しようと考えたヴィクターは、リークスを誘拐したことにして身代金四百万ドルを手に入れようとアリシアに協力を求める。

 さて、この計画がうまくいくかどうか、速いテンポで物語は進む。四百万ドルは手に出来なかったが、登場人物はみんなそれぞれの幸せをつかんでハッピー・エンドとなる。穴のないストーリー展開で、印象に残る文体ではないが楽しめることは確かだ。出張や旅行のお供に最適の読み物。

 著者はウルグアイ生まれ。炭鉱労働者、ファッション・モデル、ガイド、俳優、翻訳者などを経て45歳のとき作家になることを決意する。この作品はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞を受賞し、ドナルド・E・ウェストレイクやローレンス・ブロックからも絶賛されているという。

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