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「The Bridge/ブリッジ」シーズン1~3 北欧ミステリー、スウェーデン・デンマーク合作

2018-01-26 10:03:07 | 海外テレビ・ドラマ

           
 Bridgeの原題は、スェーデン語でBron,デンマーク語でBroen。映画やテレビドラマで描かれる日常は、現実をある程度反映しているものと思って間違いないだろう。そういう視点で観ると画面の雰囲気が寒そうで家の中ではシャツ一枚、ベッドに入る時は薄い寝間着、家屋は広く刑事の分際でこんな家に住めるのかと思うほど日本との違いが際立つ。

 そして一体どんな国かとなる。オリンピック等で知る国ではあるが、ウィキペディアを見るとかなり国力のある国だった。スウェーデンの面積は、449.964平方キロで日本の面積にもう一つ北海道を足した広さ。その広さに人が約950万人が住む。

 日本の12分の1、人口密度が19分の1となる。気候は冬は厳しく夏でも冷涼という。そして2016年度の国民総生産一人当たり5万1千ドル。

 デンマークは、面積43,094平方キロで人口約570万人。国民総生産一人当たり5万6千ドル。

 日本は、3万9千ドル。日本の国民一億二千万人で3万9千ドル。さらに貧困率の低いスウェーデンとデンマーク。日本は遥かに高い。そして両国とも高福祉国家。

 それでも犯罪がある。観光客を狙う置き引きやスリ。人間はどんな環境でも悪が存在する。犯罪はともかく、数字を見るとスウェーデンかデンマークに住んでみたいと思うが気候が問題。夏冷涼ということは、一年を通じて寒い日が多いということになる。日本には四季という神の贈り物がある。そんなことを想いながら観ていると、刑事でもこの家は普通なんだと思えてくる。

 このドラマの発端は、スウェーデン(スカンディナビア半島)とデンマークとを結ぶオーレンス橋にある国境線上で女性の死体が発見される。その死体は胴部で切断され、しかも上半身はスェーデンの政治家、下半身はデンマークの娼婦だった。

 このオーレンス橋は、2000年7月に完成したエーレスンド海峡をまたぐ鉄道併用橋で全長16キロ、橋梁部と海底トンネルの構造。1997年に開通した東京アクアライン15.1キロの鉄道部を除いてまったく同じ構造。

 そのオーレンス橋の国境線上のスウェーデン人とデンマーク人に分割されるため合同捜査に入る。それを担当するのがスウェーデン側から女性刑事サーガ・ノレーン(ソフィア・へリン)、デンマーク側からベテラン男性刑事マーティン・ローデ(キム・ボドゥニア)。

 このコンビの人物造形が面白い。まず、サーガ。サーガには世間の常識が通用しない。思ったことを口に出すタイプで周囲への配慮は全くない。ユーモアが通じないし笑顔も少ない。一言でいえば嫌な女だ。しかし、抜群の事件解決能力がある。

 一方マーティンは、3人目の妻メッテ(プク・シャーバウ)と二人の子供がある。優秀な刑事でサーガの世間知らずな面を優しく導いている。サーガの態度は、上から目線で相手が容疑者でなくても質問に対して、やや説明的になると「イエスかノーで答えて!」とぴしゃり。強面のサーガに対してマーティンは人情刑事という役割のようだ。

 そんなマーティンではあるが女性には弱いところがあるようで、夫を亡くした女性と浮気をして妻メッテから追い出される。シーズン2まではこのコンビで描かれるが、シーズン3では、妻と娘が行方不明の刑事が相棒となる。

 そして第10話のラストは、シーズン4を意識したお手軽なメロドラマ風となり物語の展開が読めるというものだった。

 さらにこのドラマ、セックスに関してはかなりオープンだ。サーガの性生活も細かく描写される。サーガはセックスに対して食事と同様、別に恥じることも隠すこともないと考えているようだ。お腹が空けば食べる、欲求があればセックスをする。相手をバーで見繕ったり、いなければ自分で慰める。部屋の中では下半身丸出しで歩き回る。

 また、別のジャーナリストの姉が夫とのセックスがないEUサミットの運営委員の妹に男娼を紹介するという考えられないようなこともある。こういう様子がテレビで放映される。私は驚いたが、ネットで調べてみるとスェーデンやデンマークは性教育先進国でセックスをタブー視しないし、自分の欲求に忠実でこのドラマのようなことは当たり前のようだ。私の無知を知らしめてくれた。やっぱり映画やテレビは現実を反映しているんだ。

 ところが1月16日デンマークでフェイスブック上に15歳の少年と少女のセックス動画拡散で1000人を超える少年・少女が訴追されるという報道。性教育の難しさがここにあるのだろうが、このドラマももう少し抑制的な方がいいのかも。

 アメリカでもリメイク版が作られているので文句なくレベルの高い刑事ものだ。サーガを演じるソフィア・へリンは、役の性格を的確に把握して見事になりきっている。サーガを見るだけでも価値がある。画面はいつも暗く晴天でも曇っているようだ。これも気候・風土を反映しているのだろうか。
  
キャスト
ソフィア・へリン1972年4月スェーデン生まれ。
キム・ボドゥニア1965年4月デンマーク生まれ。
プク・シャーバウ1969年5月デンマーク生まれ。
ロッテ・ムンク1969年10月生まれ。
トーヴァ・マグヌソン=ノーリング1968年6月スェーデン生まれ。
トゥーレ・リントハート1968年6月スェーデン生まれ。
コメント
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