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映画「レイチェルの結婚(‘08)」

2010-01-21 11:11:28 | 映画

 今、ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」を読んでいてその中に「この世で愛ほど難しいものはない」というくだりがあるが、正に至言だと思う。 この映画も家族の愛をきれいごとでなく正面から見つめて私たちに語りかけてくる。愛とは何か? 理想的な家族なんで一切ないし、殆どの家族も苦しみの中でなんとか生きながらえようと日々を送っている。
 麻薬矯正施設に入っているキム(アン・ハサウェイ)は、姉レイチェルの結婚式に参列のため一時帰宅を許される。家族はキムの言動に不安を覚えていてぴりぴりとした雰囲気が漂う。そして、レイチェルやキムの悩みが赤裸々に語られていく。
 ‘04「ブロークバック・マウンテン」でアン・ハサウェイを見て印象に残り、’06「プラダを着た悪魔」での秘書役でもっと注目した。アン・ハサウェイ目当てで借りたDVDは裏切らなかった。
 結婚式前夜のパーティで、キムのスピーチの場面。席についている人々が、一瞬シーンとなりキムをはらはらと見ている。キムは喋りながら涙ぐむが、すぐ立ち直っていきキムのスピーチが終わったときほっとした雰囲気が流れた。それまでの賑わいの場面から、緊張した場面へとつながりそして解放された安堵感が漂う場面がドキュメンタリータッチで描かれる。
 それにしてもアン・ハサウェイの涙声から立ち直る台詞回しは彼女の実力を示している。この台詞回しは、アン・ハサウェイに限らない。姉役のローズマリー・デウィットも同様の実力者と見受ける。
 ほかに注目したのは、レイチェルの夫が黒人であること。しかも、レイチェルの父の再婚相手も黒人という按配。この頃、映画の中で白人と黒人の恋人や夫婦という組み合わせをよく見かける。アメリカ社会がそういう流れの中なのだろうか。私にはよく分からないが、いずれ白とか黒とかいう時代は過去のものになるのだろう。
 何十年先にせよ、やがて日本も単一民族国家からの脱却が実現するかもしれない。映画を観ていてこんなことを考えていた。
 なお、この映画で‘08アカデミー主演女優賞に、アン・ハサウェイがノミネートされた。この脚本は、シドニー・ルメットを父に持つジェイミー・ルメット。

監督ジョナサン・デミ1944年ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。‘91「羊たちの沈黙」で世界的大ヒットを記録。’93「フィラデルフィア」で社会派作品に挑んだ。
脚本ジェニー・ルメット1967年ニューヨーク生まれ。父シドニー・ルメットは、1924年フィラデルフィア生まれ。‘57「十二人の怒れる男」が大ヒット。最近では、’07「その土曜日、7時58分」の評判がいい。
アン・ハサウェイ1982年ニューヨーク市ブルックリン生まれ。‘04「ブロークバック・マウンテン」’06「プラダを着た悪魔」
ローズマリー・デウィット1974年ニューヨーク市クイーンズ生まれ。
デブラ・ウィンガー1955年オハイオ州クリーブランド生まれ。‘82「愛と青春の旅立ち」’83「愛と追憶の日々」それぞれでアカデミー主演女優賞にノミネートされた。
        
        アン・ハサウェイ
        
        左端 アン・ハサウェイ 中央 ローズマリー・デウィット
コメント
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