memories on the sea 海の記録

海、船、港、魚、人々、食・・・などなんでもありを前提に、想い出すこと思いつくこと自由に載せます。

夜のオデン

2009-02-12 00:17:24 | 
台湾にも韓国にもオデンがある。台湾の場合は「黒輪」と書きオデン。原料はカジキ主体のようである。よってノボリ旗や看板には「旗魚黒輪」とある。この種の店は決して建物の中で営業するものではなくて交差点などの道端に建物の庇を借りている。この旗魚オデンは油で揚げて串に刺してくれるがなかなか旨い。汁に入ったものより揚げたてのものを、そのまま売ってしまったという感じの店が多い。

東京のオデン種にはマグロやカジキの格外品が使われるからこれと同じだが、小型のナママグロ漁船で混獲されるカジキの鮮度が良いためか台湾のほうがもっと旨い。これに似たものがシンガポールのストリートベンダー店網の老曾記(OLD CHAN KIY)かもしれない。こちらは串刺しスリミ揚げで1串がおよそ1シンガポールドル。

一方韓国では鍋に汁を張った日本と同じようなオデンである。夕方に開店し、たまに朝までやっている。ただしこちらの主原料はいちおうスケソウダラ。同時に海苔巻きやうどんを売っているオデン屋台が街角に立つ。釜山のこの通りには偽ブランド品の屋台あり、果物をリヤカーに乗せたオジサンがいて、客引きのおばさんも立っている。なんでもこの通りだけで用事が済んでしまう仕組みだが、残念ながら年々近代化され消えてゆく。

さて、ここのオデンはすべてが長尺(30センチ以上)の串に刺してある。明らかに澱粉過多、魚肉節約タイプの(経営側の立場にたった)オデンである。どのオデンを食べても、円筒の竹輪状も扁平な板状も味はまったく同じである。そのまま食べるのではなく丼に用意された生の唐辛子入りのカンジャン(韓国の醤油)に漬けるとピリカラとたちまちリアクションがくる。そしてプラスチックの碗でオデン鍋から汁を掬い取り飲む。どういう訳か韓国式定食やで夕食を済ませた後なのに、たちよって一,二本を食べたくなる。雪でも降っていればなおさらのことで、冬がもっと寒かった釜山の夜の風物詩は自分にも染み付いてしまった食の記憶。これをつまんでこそ釜山に実在の感覚が得られ、これを食わずに帰国できたことは今までに一度もない。(写真は釜山の屋台オデン)

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