MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

医療通訳の需要と供給について思うこと

2016-01-05 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
新しい年になりました。

阪神淡路大震災以来、
年始の「おめでとう」の挨拶はやめました。
対人支援の活動をしている一人として
どこかに悲しみを抱えている人がいるということを
忘れないでいたいという戒めからです。

また、よく言われますが、年齢を重ねるごとに
時間の感じ方が速くなりますが、
昨年は本当に速かったです。
やるべきことに振り回されながら
なんとかこなした1年でした。

MEDINTの活動やメンテナンスが、
少し滞っているところがあるので
気合を入れなければいけないと思っています。
少し速度を落として、
じっくりと活動に取り組むべき時期ですね。

皆さんのご期待に沿える活動は
なかなかできていませんが、引き続きのご支援をお願いします。

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各地で医療通訳ボランティア登録をされている皆さんから
活動機会が少ないという不安が寄せられます。

活動が必要ないということは
困っていないということだからいいことだと思いたい。

でも、そうでない可能性もあります。
そこを忘れてはならない。
それは需要と供給がうまくあっていない場合です。

医療通訳の必要な時間に稼動できる人がいない。
かなり前に申し込まなければいけないので、急な医療通訳を頼めない。

病院や患者は24時間365日というけれど、それには大きなシステムが必要です。
地方都市では不可能ですので、
実際に稼動するときにできることとの折り合いをつけ、
どこかで線をひかなければいけない悩ましいところです。

もうひとつは、医療通訳のレベルが低いという場合。
日本にきて日が浅い人は別ですが、
80年代、90年代に日本に来ている人はある程度日本語ができます。
その人の日本語と通訳者の外国語を比較したときに
2000年代以降、患者の日本語のほうが優れているケースが散見されました。
医療通訳のレベルが患者に必要なレベルに達しているかは
いくらボランティアといえども、通訳者自身も心しておかなければいけないことです。
単にバイリンガルでは医療通訳はできないということは
様々な場所ですでに確認されています。
医療通訳を受ける以上、患者に信頼されるレベルを常に保つ努力をすることが
私たち医療通訳者に求められるということをいつも覚えておかなければと思います。

需要と供給がうまくいっている上で、
今日も困った人がいないのなら、それは「ほっと」すべきことなのではないでしょうか。

医療通訳は語学練習の場所ではありません。
もちろん、経験をつむことは重要です。
でも、何のために医療通訳を行うのか。
常に患者に視線を向けつづけることが大切だと感じます。

1月には三重県
JIAM多文化マネージャー研修
医療通訳研修会
2月には岐阜県、徳島県、
JIAM医療通訳研修に行きます。
どこかでお会いしたら、声をかけてくださればうれしいです。

コメント
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