MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

医療通訳の肩越し

2012-11-26 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
秋は医療関連の相談や通訳の依頼が増えます。
夏の疲れが出るのか、
急に寒くなって風邪を引いたり体調が悪くなるのか。
季節の変わり目はやはり体調を崩す人が多いのでしょう。

10年前の病気が再発したとか、
体調が悪かったがやはりがんだったとか、
血糖値が急にあがったとか、
腰が痛くて仕方がないとか。

90年代から働き続けてきた人たちは
若くして病気になる人も少なくありません。
夜勤や残業などの無理した働き方をしているし、
仕事と家事育児を両方やってほとんど寝る暇のない人もいる。
日本人も同じかもしれないけれど
同じことを異国でするのはストレスも半端でなく、
若い時はなんともなくても40をこえるといろいろ出てきます。

日系人の場合、日本に長い人も多いので
ある程度のことは日本語で伝えられるし、
家族の誰かが伝えられることもあります。
でも、やはり言葉の不安はあります。

時には病院に向かうタクシーの中から電話がかかってきて
「こういう症状は日本語でなんていうの?」
「●●が痛いのだけど、どう説明したらいい?」
「日本にはこういうのってある?」
ここに行けば必ず通訳がいる場所は
各地でいろんな人たちが頑張って作っているけれど
まだ日本には少ないのが現状です。

症状の聞き取りをして
病院に先回りしてFAXすることもあれば、
まだ自宅にいれば電話で聞き取った症状を書いたものをFAXすることもあります。
もちろん病院から細切れに(受付、診察、薬、検査、会計など)電話をかけてきて通訳したり、
医師や看護師がいった日本語をメモして
「日本語で●●といわれたけど、これはスペイン語でどういう意味?」と聞かれることもあります。
医師からの診断書や薬の飲み方のメモなどを訳すこともあります。

医療者の方はもし通じてないかなと思ったら
メモを患者に渡してもらえれば、あとで読める人に読んでもらえるかもしれません。
確認用などに使ってみてください。
ただし、マニュアルのようなものだけを渡して
説明をしないということはNGですが。

兵庫県は北海道には負けますが、広くて5つの地域にわかれてて、
実はそれ以外の場所からも医療関連はかかってくるので、
同行はできないけれど、言葉での不安を何とか取り除けるように
工夫をしながら通訳や翻訳や聞き取りや書き取りをしています。

地域で活動している人たちと話すとき、
集住していなくても、たとえ一人しか住んでいなくても
その一人が困っているならなんらかの通訳が必要です。

医療通訳の肩越しから、今日も在住外国人の人たちの現実がみえます。

12月8日は「通訳を担う子供たち」シンポジウムです。
三ノ宮からまだ電車にのらなければいけないので、
まだ参加者が少なく大募集中です。
是非、お申込みをお待ちしてます。
ちらしは こちら