MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

2010-02-12 10:12:06 | 通訳者のつぶやき
特定疾患の治療方針説明通訳のために
大学病院に同行しました。

患者さんはすでに入院しているので外来ではなく
入院病棟での説明です。
きちんと時間を予約して時間通りに説明が始まりました。
(これは通訳者にとっては一番ありがたいことです)

同行で通訳に入る場合、
医療通訳者もいくつかの配慮をしています。
私の工夫を少しだけお話しますね。

まず服装はあまりカジュアルだと通訳そのものへの信用が下がります(笑)。
かといってスーツで行くと動きにくく、
たとえば患者さんに簡単な補助が必要な時に動けません。
汚れることもあるかもしれません。
ですのでそこそこの服装を心がけています。

靴は音が立たない歩きやすいもの。
精神科や小児科の場合はアクセサリーも最小限にします。

診察室が狭すぎる、
または椅子がなくて立ったままのこともあるので、
かばんはリュックサックを愛用しています。

かばんのなかには医療用辞書や
インターネットでダウンロードした病気に関する資料も入っていますが、
通訳のときに目の前に置くのはA4ノートと電子辞書、
メモと使い慣れたペンです。

普通の外来診察室に机はありません。
家族用の丸椅子に座ることが多いので、
道具が置けるスペースは自分の膝の上のみです。
私の膝は他の人よりは大きめですが(笑)、
それでもA4ノートを広げると丁度くらいの大きさです。

そうやって医師の説明の妨げにならなように、
一応気を使っております。

15年以上医療通訳をやっていますが、
今回初めて机ありのところで通訳しました。
これが快適で快適で・・・とてもうれしかったのです

たぶん処置用の机か医師や看護師がメモをとるための机なのでしょうが、
机があると、ノートを広げた横に辞書を置けて、
メモもノートの上でなく机の上に乗せることができます。
メモを書くときも安定しているので読みやすい字でかけて、
わかりにくい場合は本人に見せながら説明できます。

担当の若い先生も非常にわかりやすい日本語で説明してくださり、
患者と家族が興奮して脱線するのもきちんと待ってくれました。
1時間近くかかりましたが納得のいく説明になったとおもいます。

現在ある状況でベストを尽くすのが
医療通訳者の仕事だと思っていますが、
こうした配慮があると心が温かくなりますね。