MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

わかってないなあ・・・・

2008-11-05 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
また更新をさぼってしまいました。

先週は岐阜県の行政相談員研修に参加してきました。
行政窓口といえども、
直接、悩みや相談を聞く相談員の方々です。
皆さん、何とかしてあげたいという気持ちがとても強いのです。
相談員にとって「情報」そのものが武器になり道具になるので、
学ぶ姿勢も真剣そのものです。
寝ている人なんで一人もいません。
その熱気に圧倒されました。

こうした人々が
外国人と地域の小さな誤解やトラブルの
緩衝になっていると実感しました。




先週受けた医療通訳の中から、
エピソードをふたつほど紹介します。

1:「通訳さん説明してください」
最近ニュースなどで産婦人科で医療訴訟が多いというのは
よく報道されていますが、
小さな医療者への不満や苦情は整形外科関係のものが
多いように感じています。
今日も、肩が痛くて治療をしたら背中も痛くなったという患者さんの
通訳をすることになりました。
患者さんは肩の治療が悪くて、背中も痛くなったと主張します。
医師は肩の治療してもしなくても背中は痛くなっていただろうと言います。
通訳者にとっては、どちらの主張も一応中立で説明します。
ただ、途中で医師が言った言葉に凍りつきました。

「僕はスペイン語できないんだから、
あなた(通訳)が説得しないで誰が説得するんだ!」

「????」

えっと、この場合、医療通訳者は医師の通訳でも病院の通訳でもありません。
患者から要請があって通訳しています。
で、なぜ医師側の代弁者にならなければいけないの?

「先生、私は通訳ですから、説得はできません。
通訳しますので、先生の言葉で説得してください」

と伝えても、医師はよくわからない様子です。
でもよくあるんですよね。
通訳に説明や説得、患者の納得をさせようとする医師。
そうは問屋がおろしません。
医師が説得する言葉を発してこその通訳です。

2:「こなくていいよ」

最近、外国人だからといって診療拒否されることは少なくなりましたが、
なくなったとはいえません。先日も、

「外国人はややこしいし、言葉が通じないからこなくていい」

と言われました。
ほとんどの医師は、忙しい中でも様々なコミュニケーションツールを使って
なんとか治療をしようとがんばってくれています。
その期待にこたえるべく私たち医療通訳者も技術を高めていかなければなりません。

この医師を批判したところで何も生まれてきません。
こうした言葉も医師の本音ではあると思います。
こうした言葉がでないようにするために、
外国人医療が医師や病院にとってのストレスにならないための
仕組み自身を考えていかなければならないのです。