MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

日本渡航医学会に参加して

2007-08-01 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
7月20日(金)~21日(土)東京の慈恵医科大で日本渡航医学会が開催されました。「渡航医学」とは、あまり耳慣れない言葉ですが、「人の移動と医学」に関することを研究する学会です。具体的には、たとえば日本人が海外に出る時に予防接種が必要であるとか、飛行機の上で病気になったらどうするとか、団体旅行中に客が急病になった場合添乗員はどのようにすべきかなど。なるほどと思ったのは、人の移動にはストレスや感染症がつきもので、それは日常の医療と少し違った観点で考えられるものであるということです。
また最近は、旅行をすることによって元気になるヘルス・ツーリズムなども積極的に提案されていて、今回の学会で多くの事例を聞くことができました。
では、医療通訳者がなぜ渡航医学と思われるかもしれません。私も最初はそう思っていたのですが、日本渡航医学会の理事長である関西医科大の西山教授は、「渡航の中には、アウトバウンド(日本から外へ出て行く移動)ばかりでなく、インバウンド(海外から日本へ来る移動)もある。そこには海外からの観光客や移住者の健康も含まれる。これからはインバウンドの渡航医学についても力を入れて取り組んでいかなければならない」とおっしゃっています。今後、インバウンドの医療に関しての研究が進む中で、医療と言葉の問題は避けて通ることが出来ないテーマです。大きな枠組みで考えたときに、私たち医療通訳の研究は、この渡航医学の一部とも考えられるのです。多くの方々に是非興味を持ってご参加いただきたいと思います。(私も評議員の一人にしていただいている関係で少し宣伝モードが入っていて恐縮ですが)
来年の学会は岡山市で開催予定です。関西からは近いですので、是非ご参加ください。