MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

通訳者の資質

2006-02-08 17:50:24 | 通訳者のつぶやき
よい医療通訳者ってどんな人でしょう。最近わからなくなってきました。

先日ある通訳者を訪ねました。来日して数年。コミュニティの人たちの医療通訳要請に応じて、病院を飛び回っています。
見せてもらった手帳は予約で真っ黒です。なかには2週間待ちという人もいます。
彼女は、通訳者のプロでもなく、本国の看護師や医師の資格を持っている専門家でもありません。日本語も、お世辞にも流暢とは言えません。でも、たくさんの外国人が彼女を慕い、彼女の通訳を頼りにしています。
町には他にももっと日本語の上手な通訳や外国語の上手な日本人がたくさんいます。どうして彼女なのでしょうか。でも話を聞いて納得しました。
彼女は相手のことを思いやる心がとても強いのです。患者がどのように対応してほしいかということをよく理解していて、患者の立場に立って行動しようとします。時には通訳以外のこともやりますし、患者が医師の言葉にショックを受けそうならもう少し柔らかい言葉で言い換えます。患者に感情移入しすぎて寝込んでしまうこともあります。家族に心配されながらも、今日も患者を連れて地域の病院をまわります。

プロ通訳としては失格でしょう。
医療従事者が必要とする通訳でもないようです。

でも、彼女を慕う外国人がたくさんいます。この現実は、よい医療通訳者ってどんな人だろうと、あらためて考えさせられてしまうのです。