「絶滅したオオカミの物語(イギリス、アイルランド、日本)」(志村真幸、渡辺洋子著)を読む
イギリスの自然というのは、人間にとって優しい自然と記します。オオカミ、熊、イノシシ、こうした生き物は絶滅して、人間が安全に住めるようになったということだそうです。
オオカミは、狩猟として穫られてきましたが、ヨーロッパでは古くから、ストリキニーネがオオカミ退治に使われてきました。北アメリカでは大々的にこれが使われ、バイソンの肉にストリキニーネを塗り、一晩置くことで翌朝には数十頭のオオカミの死体が転がっていたそうです。
この方法は、エドウイン・ダンによって、明治の北海道にも導入され、エゾオオカミは1896年頃に絶滅しました。オオカミは羊を襲ったために、どこでも迫害され、憎まれ、追いつめられて行きました。(46ページ)
イギリスでは、1824年に「動物愛護協会」が設立しました。(英語を厳密に訳せば「動物たちを残虐を防止する協会」となるそうです)しかし、本当に救いたかったのは自分自身たちであったのでは、ということです。(当時の社会情勢がそうさせた?)
日本での狂犬病の発生は1732年、長崎から全国へと広がり、ニホンオオカミにも蔓延しました。人間にも噛み付くようになり、恐怖を生み出しました。こうしたことにより、賞金をだしてまでオオカミを撲滅に向かわせましたね。
南方熊楠の名がちょくちょく出てきます。財産分与にいよって渡英ができ、大英博物館に働くなどして、イギリスにも大きな縁があります。熊楠は粘菌の研究で有名ですが、動物園にも足しげく通うなどして、動物にも造詣があります。
日本に帰り、自然保護にも力を入れたことを考えると、イギリスでの生活が大きな影響を及ぼしたのだろうと推測できます。
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