![071229 071229](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/92/d55b30279985752f12aa2f5668866344.jpg)
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田篤弘著 暮しの手帳社
今冬はPコートを着用することが多くなった。
ずいぶんと古いコートでここ数年思い出したように着用することしかなかった。
使用頻度が増えた理由としては、歩くことがことのほか増えたからである、というよりも歩くようにしているからである。
この著者の他の作品は数冊読んでいる。
独特の空気感が好きで、この本もその過程の中で選んでみた。
職を捨て、ある町に移り棲んできた青年。
そこにはお気に入りのサンドウイッチ屋、古い映画館がある。
便利なものを出来るだけ拒否し
「さまざまな利器が文字どうり、時間を削り、いちおう何かを短縮したことになっているものの、あらためて考えてみると、削られたものは、のんびりした『時間』そのものに違いない」(本文より)
古い映画を何度となく観て、ほんの数分しか登場していない女優に恋をする。
この町には、のんびりとした「時間」があり、あたたかいスープの匂いが漂う。
映画「かもめ食堂」が好きな人は、この小説のおもしろさを分かっていただけるだろう。
僕はといえば、Pコートを羽織って僕の町を探索してみようかしら。
そうそう最後の2ページに「名ななしのスープ」のレシピが載っています。
『期待をしないこと』、から始まり、『とにかくおいしい!』で終わっています。
しあわせのスープの作り方は、
「なによりレシピに忠実につくることが大切なんです」(本文より)
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