アウトドアな日常

インドアからアウトドアへのススメ

地図をながめて

2015年11月28日 | 日記 3

表題は寺田寅彦の随筆からとりました。

よく国土地理院のサイトをみます。いっぱつで標高がわかり重宝しています。使う理由としては、渓流魚の生息地域がどの辺りかを確認するためです。

イワナに関しては、標高450mで生息している場合もあります。人間の進出、開発などでイワナはヤマメに生息圏を奪われた場合もあると憶測します。

ダムで暖められた濁った水が流れた場合、ヤマメの生活環境は奪われるということも考えられ、ダムによって生活環境が分断され、棲みにくい環境になってしまったとも思われます。

そもそも地理院の地図は、どのように作られたのかを迂闊ながら私は考えもしませんでした。寺田寅彦の随筆を読んでなるほど!と思ったのでした。

木村大作監督の「劔岳 点の記」という映画がありますが、これは最後に取り残された空白の地図を埋めようとした物語でしたね。

「当世物は尽くし」で「安いもの」を列挙するとしたら、その筆頭にあげられるべきものの一つは陸地測量部の地図、中でも五万分一地形図などであろう。一枚の代価十三銭であるが、その一枚からわれわれが学べば学び得らるる有用な知識は到底金銭に換算することのできないほど貴重なものである。今かりにどれかの一枚を絶版にして、天下に撒布(さんぷ)されたあらゆる標本を回収しそのただ一枚だけを残して他はことごとく焼いてしまったとしたら、その残った一枚は少なくも数百円、相手により場合によっては一万円でも買い手があるであろう。

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その時に痛切に感じたことは日本の陸地測量部で地形図製作に従事している人たちのまじめで忠実で物をごまかさない頼もしい精神のありがたさであった。ほとんど人跡未到な山の中の道のない所に道を求めあらゆる危険を冒しても一本の線にも偽りを描かないようにというその科学的日本魂(やまとだましい)のおかげであの信用できる地形図が仕上がるのである。そういう辛酸をなめた文化の貢献者がどこのだれかということは測量部員以外だれも知らない。』(寺田寅彦「地図をながめて」から)

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