以前の記事でホシザキ電機の創業者、坂本薫俊(1910~2003年)氏について触れましたが、坂本氏の著書「日本を変えよう」(1980年出版)から坂本氏の説と、大阪のミサゴを紹介しましょう。<・・・>は著書からの引用・・・スズメバチを気にするミサゴ
<東京に中央集権というモンスターのような巨大な権力者がいて、都道府県という47の植民地を支配し、植民地から税金をとり上げる。また地方で何をやるにしても、いちいちこの権力者の許しが必要である>
<そこで事あるごとに、この植民地の最末端組織である市町村は、絶えず中央に補助金とか助成金とかの交付を交渉すべく、中央の関係各省へ出かけて行く。この交付する方と貰う方との関係が、あたかも統治者と被統治者との関係をつくっていく。片や卑屈となり、片や尊大となる>
<中央集権は、ある意味で請願政治である。中央政府機関と地方財政との間に好んで政治家は介入する。そして大きな金の出入りのあるところには、いくらでも汚職を生む素地を持っている>
<中央で勤め上げた役人の大部分は、定年退職後はそれぞれの政府機関に派遣(天下り)され(中略)もっと悪いことには、地方人がこれらの現実に慣れきって、それどころか、各市町村長あるいは収入役といったような人たちは、陳情を東京訪問として、そのものを楽しんでいるかのように見える>
<今日の諸悪の根源は爛熟しきった中央集権にあると言わざるを得ない。しかしながら、官庁等において一旦つくった機構というものは膨大する一方で、これを縮小することはまず不可能に近い。これはパーキンソンの法則の教えるところ>
パーキンソンの法則とは英国の政治学者パーキンソンがいう「役人は部下が増えることを望む」、「役人は相互に仕事を作りあう」という法則のことです。
<次の世代に課せられた課題は、この政治の根源になっている中央集権をいかに地方へ移すかということである。そして中央には地方を統合し国家を代表する機関を新たに設けることである>
<ここにいう中央とは東京であってはならない。腐敗の土壌をつくらないためにも、清潔な小都市とし、地方自治の受け皿としては、きわめて強固な地方自治体を作りあげてもらいたい。そのためには(明治初期に制定された県を無くし、新たに州を置く)廃県置州をする必要がある>
坂本氏は今から36年も前に橋下徹前大阪市長の政策と、よく似た提言をしていたことに驚きましたが、官僚と政治家による中央集権の権益は、そう簡単には無くならないでしょうね。
参考文献:日本を変えよう 新しい地方の時代へ 坂本薫俊著