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ROSSさんの大阪ハクナマタタ



政財界有力者の接待で使われる超高級日本料理店「吉兆」の創業者は湯木貞一氏である。

彼は1901年神戸の料理屋に生まれたが、父の方針で上級学校への進学は許されず、15歳から料理修行を始めている。



このまま料理の世界に生涯を捧げてよいか悩んでいた時に、松平不昧公の茶会記を読み、料理を一生の仕事とする決意をしたという。

吉兆の創業は1930年(貞一29歳)、オープン日の客は0であったという伝説が残っている。



1937年(貞一36歳)には表千家の門を叩いて本格的に茶道の勉強を始め、飲食に茶道の趣向を取り入れるようになったという。

貞一氏は茶道に造詣が深かったためか茶道具の収集を始めており、後に収集した道具を基に大阪中央区平野町に「湯木美術館」を設立している。



湯木美術館の収蔵品には、茶道具、懐石料理の器、日本の古美術品などを中心に重要文化財11点が含まれている。

尾形乾山



湯木美術館は毎年春と秋に期間限定で公開されており、今年の秋の展示は9月15日(金)~12月10日(日) の間である。

尾形乾山の皿



ある昼休み、御堂筋から大阪ガスビルの南を東に入り、東横インの向かいにある湯木美術館を訪ねてみた。

湯木美術館の看板



このビルの8階には吉兆の本社があるらしいが、湯木美術館は2階への階段を上がったところにある。

受付で入場料600円を支払って中に入ると、今回のテーマは「美と趣―懐石の器」ということで野々村仁清、尾形乾山等の高価な焼き物が29点ばかり展示してあった。

野々村仁清



また茶道具9点を台目席という茶室を模した場所に展示してあり、「秋思の茶」という題が付いていた。



一番奥には大阪市指定文化財という元禄期(1688~1704年)の浪華名所図屏風右隻の展示があり、今から300年前の住吉大社と反り橋が描かれていた。



この屏風を良く見ると、1810年に再建された住吉大社の第1本宮から第3本宮の立て並びが、第1本宮、第2本宮、第4本宮の立て並びとなっている。

当初の本殿配置が300年前の屏風の通りであったとすれば、196年前に再建した住吉大社本殿の配置は何故変更されたのであろう。

古い染付け皿



しかし、資本金5千万円、年商16億円の吉兆の会社規模を考えれば仕方が無いのかもしれないが、焼き物29点、茶室と屏風1点の展示で入場料600円は高い。

織部



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