2度目の米朝首脳会談 来年初めに開催か
トランプ大統領が第二回米朝首脳会談の開催の可能性について言及した時、その思惑として真っ先に指摘されたのが、秋の中間選挙を前にした外交上の実績づくりでした。再度、北朝鮮の金正恩委員長との会談の場を設け、その席において初回の会談で曖昧にしてきた諸点をクリアにし、アメリカの要求に沿う形の合意で両首脳が固く握手すれば、これ程、アメリカの有権者に訴える効果的な政治ショーはないからです。
仮にこの説が正しければ、第二回米朝首脳会談は、北朝鮮側の譲歩を以ってしか、トランプ大統領が描くシナリオ通りに成功裏に導くことはできません。ところが、会談相手の当の北朝鮮は、同会談をアメリカとは全く逆の意味でのチャンスとして捉えたようです。乃ち、北朝鮮側は、共和党は中間選挙にあって不利な情勢にあると分析し、同党に属するトランプ大統領が第二回首脳会談を自党勝利に向けた起死回生の絶好の機会と位置付けているならば、その弱みを利用して、アメリカ側に自らの要求を呑ませるチャンスと捉えたと推測されるのです。先の国連総会での演説等において、北朝鮮側が、従来の段階的核放棄論を堂々と主張し、アメリカに対して自国の要求に応えるよう強気の姿勢で臨むようになったのも、この推測からすれば頷けます。
しかしながら、北朝鮮側は、ここで重大な判断ミスをしているように思えます。アメリカにとっての第二回米朝首脳会談の成功とは、たとえ両首脳が笑顔で握手しても、実質的にはアメリカに対して北朝鮮が屈服する構図を要する点です。アメリカが北朝鮮に屈する形で合意では、それは、中間選挙にあって有利に作用するどころか、むしろ、アメリカの屈辱外交として共和党に不利に働きます。つまり、アメリカにとりましては、核廃棄に向けて北朝鮮側が折れることこそ重要なのです。
ところが、北朝鮮側の会談成功の認識は、アメリカのそれとは大きく違っています。同国にとっては、如何なる合意下であれ、両者首脳が握手することが重要であって、アメリカも同様に考えていると見なしているのです。そうであるからこそ、第2回首脳会談が日程に上がった際に、自国の要求を釣り上げたのでしょう。この認識の違いから、たとえ第2回首脳会談が開かれたとしても、両者の主張が永遠に平行線を辿るか、あるいは、決裂するかの何れかに至るしかないほど、両国の基本的な立場の違いが鮮明化してしまったと考えられるのです。先のポンペオ米国務長官の訪朝にあって託された主要な任務は、北朝鮮側との認識の違いの確認であったのかもしれません。
この点を確かめた上で、アメリカがとった最初の一手は、第二回米朝首脳会談と中間選挙とを切り離し、北朝鮮に同国の国内事情を利用させない、という手であったように思われます。当初、トランプ大統領は、中間選挙前となる早期開催に前向きな姿勢を示していましたが、ポンペオ国務長官の訪朝後にあっては、開催時期を中間選挙後となる来年はじめに延期する方向に転じています。会談の結果が国内事情の影響を受けない時期にずらすことで、北朝鮮によるアメリカの足元を見た対米譲歩要求を封じてしまったのです。そしてそれは、トランプ大統領が北朝鮮に対してフリーハンドを得ることでもありますので、握っていた‘弱み’を失った北朝鮮は、対米交渉にあって窮地に陥ることでしょう。別の見方もあり得るものの、北朝鮮が、親北派の文在寅大統領を‘代理人’あるいは‘メッセンジャー’に仕立て、国際社会に対して対北経済制裁の緩和を求めたり、フランシスコ法王の訪朝に‘救い’を期待するのも、北朝鮮側の焦りの現れとも解されるのです。
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トランプ大統領が第二回米朝首脳会談の開催の可能性について言及した時、その思惑として真っ先に指摘されたのが、秋の中間選挙を前にした外交上の実績づくりでした。再度、北朝鮮の金正恩委員長との会談の場を設け、その席において初回の会談で曖昧にしてきた諸点をクリアにし、アメリカの要求に沿う形の合意で両首脳が固く握手すれば、これ程、アメリカの有権者に訴える効果的な政治ショーはないからです。
仮にこの説が正しければ、第二回米朝首脳会談は、北朝鮮側の譲歩を以ってしか、トランプ大統領が描くシナリオ通りに成功裏に導くことはできません。ところが、会談相手の当の北朝鮮は、同会談をアメリカとは全く逆の意味でのチャンスとして捉えたようです。乃ち、北朝鮮側は、共和党は中間選挙にあって不利な情勢にあると分析し、同党に属するトランプ大統領が第二回首脳会談を自党勝利に向けた起死回生の絶好の機会と位置付けているならば、その弱みを利用して、アメリカ側に自らの要求を呑ませるチャンスと捉えたと推測されるのです。先の国連総会での演説等において、北朝鮮側が、従来の段階的核放棄論を堂々と主張し、アメリカに対して自国の要求に応えるよう強気の姿勢で臨むようになったのも、この推測からすれば頷けます。
しかしながら、北朝鮮側は、ここで重大な判断ミスをしているように思えます。アメリカにとっての第二回米朝首脳会談の成功とは、たとえ両首脳が笑顔で握手しても、実質的にはアメリカに対して北朝鮮が屈服する構図を要する点です。アメリカが北朝鮮に屈する形で合意では、それは、中間選挙にあって有利に作用するどころか、むしろ、アメリカの屈辱外交として共和党に不利に働きます。つまり、アメリカにとりましては、核廃棄に向けて北朝鮮側が折れることこそ重要なのです。
ところが、北朝鮮側の会談成功の認識は、アメリカのそれとは大きく違っています。同国にとっては、如何なる合意下であれ、両者首脳が握手することが重要であって、アメリカも同様に考えていると見なしているのです。そうであるからこそ、第2回首脳会談が日程に上がった際に、自国の要求を釣り上げたのでしょう。この認識の違いから、たとえ第2回首脳会談が開かれたとしても、両者の主張が永遠に平行線を辿るか、あるいは、決裂するかの何れかに至るしかないほど、両国の基本的な立場の違いが鮮明化してしまったと考えられるのです。先のポンペオ米国務長官の訪朝にあって託された主要な任務は、北朝鮮側との認識の違いの確認であったのかもしれません。
この点を確かめた上で、アメリカがとった最初の一手は、第二回米朝首脳会談と中間選挙とを切り離し、北朝鮮に同国の国内事情を利用させない、という手であったように思われます。当初、トランプ大統領は、中間選挙前となる早期開催に前向きな姿勢を示していましたが、ポンペオ国務長官の訪朝後にあっては、開催時期を中間選挙後となる来年はじめに延期する方向に転じています。会談の結果が国内事情の影響を受けない時期にずらすことで、北朝鮮によるアメリカの足元を見た対米譲歩要求を封じてしまったのです。そしてそれは、トランプ大統領が北朝鮮に対してフリーハンドを得ることでもありますので、握っていた‘弱み’を失った北朝鮮は、対米交渉にあって窮地に陥ることでしょう。別の見方もあり得るものの、北朝鮮が、親北派の文在寅大統領を‘代理人’あるいは‘メッセンジャー’に仕立て、国際社会に対して対北経済制裁の緩和を求めたり、フランシスコ法王の訪朝に‘救い’を期待するのも、北朝鮮側の焦りの現れとも解されるのです。
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