万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”神の見えざる手”は強欲な者を見放した?

2009年03月17日 15時53分40秒 | 国際経済
オバマ大統領、AIGの高額ボーナス支給撤回求める(朝日新聞) - goo ニュース
 アダム・スミスの言葉として知られる”神の見えざる手”は、自由放任主義を擁護する言葉として理解される傾向にあります。しかしながら、スミス自身は、『道徳感情論』を執筆するほど、モラルには人一倍敏感な人物であり、『国富論』も重商主義への批判が中心テーマとなっています。

 こうしたスミスの思考的背景を考えますと、”神の見えざる手”が働くには、モラルという前提があったのかもしれません。実際に、今回の金融危機は、金融の世界におけるルールやモラルなき”レッセ・フェール”が行き着いた先とも言えます。人々が欲に任せて行動した結果、そこには、地獄への入口が、ぽっかりと口を開けて待っていたのですから、神の計らいで天国に行けると信じてきた人々は、さぞや驚いたことでしょう。

 モラルを持たない人を神を信じない人と言い換えるならば、神は、神を否定した強欲な人々に、救いの手を差し伸べなかったのかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする