万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チベットは脱退可能な連邦制の提唱を

2009年03月11日 15時28分20秒 | アジア
動乱50年 チベット族居住地を行く 信仰の自由欲しい(産経新聞) - goo ニュース
 チベット動乱から半世紀を経て、チベットは、今なお中国による厳しい情報統制の下に置かれ、この閉められたカーテンが、一層、人々の心配を募らせところとなっています。密室化されますと、他者の目に触れることなく、非人道的な行為が公然と行われるかもしれないからです。

 ダライ・ラマ14世は、中国領内での自治権を求める穏健路線を表明しているようです。もし、中国側に誠意があれば、あるいは、中国に対する外部圧力が高まれば、今後、中国政府との間で交渉の場がもたれるかもしれません。この交渉に際しては、チベットが、決して譲ってはならない権利があると思うのです。それは、独自の宗教や文化の保持に加えて、中国からの脱退の権利と国境管理の権利です。たとえ、譲歩して中国の枠組みに残ることで合意したとしても、これらの権利を留保しないとなりますと、結局、現状は変わらず、いつの間にか、中国に飲み込まれることになりましょう。

 連邦制では、防衛、外交、安全保障、通商などの対外的な権限を中央に委ね、他の内政については構成国に権限を残すという方法は一般的です。主権を保持したままチベットが、内政に関して自治を行うこともできるはずなのです。チベットには、民族独立戦争を戦う正当な権利もあるのですから、中国政府に対して、明確な権限配分の下での連邦制を、強く主張すべきなのではないかと思うのです。

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コメント (6)
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