万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

G20での無理な合意は全員沈没への道?

2009年03月15日 15時55分34秒 | 国際政治
「3兆円追加対策」国際公約 “口約束”の懸念も(産経新聞) - goo ニュース
 政党や立場の違いによって、財政政策に関する意見が分かれることは当然のことであり、不況に対する処方箋も、財政出動が絶対に正しいとは言い切れません。現に、財政拡大政策が失敗した事例もあり、経済学においてもケインズ主義は反論を受けています。

 財政出動政策に関する懐疑がある限り、G20においては、各国が簡単に合意に達するとは思えません。対立が生じる方が自然なのであり、合意のための合意をしても、不況に対する効果がなかったり、あるいは、リスクの先延ばしに過ぎなければ、合意しないほうが”まし”ということもあります。特に、国債発行による財政出動は、民間の資金を政府に吸収してしまい、かつ、国債の償還と利払いに予算を費やさなければならなくなり、マイナス効果が予測されます。自らの資金調達が困難になるにも拘わらず、経済界がさらなる景気対策を望んでいるとしますと、これは、自己利益に反しているとも思えるのです。

 日本の反対が、国際協調を乱すとの意見もありますが、G20では、徹底的に議論をすべきなのではないでしょうか。わが国は、とかく”バスに乗り遅れるな”式で多勢に加担し、失敗する傾向にあります。むしろ、各国に、自らの責任において独自に政策判断を行う余地を残したが、全員一緒の沈没を免れることができるかもしれないのです。

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