脇の充実

夕飯を自宅でとることが多くなったので、いつも炊いているご飯を少しだけ
グレードアップすべく、久し振りに『発芽玄米』を購入する。
最後に買ったのはいつだったのかもう忘れたが、ともかく個人的に玄米が好きで、
腹の具合もよくなるので、これで今後色々と捗ることであろう。

また、プラモ用にかなり細めの筆を購入し、これで細部の塗装、というか1/20スケールの
フィギュアの顔も問題なく塗れると意気込んだが、結局のところ小回りが利くように
なって大ミスをやらかすことが無くなっただけで、上手く塗れているのかはスマホの
カメラを通さないと分からない始末。
今まで何となくプライドのようなものが障壁となっていたのであるが、この文脈上の
プライドは捨てるべきものであるために『拡大鏡』の購入を検討する。
言ってしまえばただのルーペであるが、塗装の補助で用いる都合上、両手は自由に
ならねばならず、そうなると電気スタンドのような卓上型か、眼鏡のように着用する
着用型のどちらかに絞られる。

この手の道具は今まで扱ったことが無いので、どのようなものが良質なのか、それすら
まるで分らない。なので、慎重に検討していこうと思う。顔塗装レベルの、集中力を
極度にすり減らす作業は休日にしか出来ないので、ゆっくり考えることとする。

いつの間にやら

夜になってもどうにも暑いので、部屋の温度計を見てみたら29℃で、すっかり
夏と言える季節になっていた。四月の半分と五月の多くの期間をほぼ家の中で
過ごしていたために、その期間が吹き飛んだような感覚で、この気温を見てそれを
確信するに至る。
こうなってはもはや躊躇うまいと、クーラーを回す。電気代とかは今は気にしないが、
急にやってきた夏への備えを急がねばなるまい。

そういえば、特別給付金のお知らせが届いていた。何に使うかはまだ考えては
いないが、とにもかくにも希望を出さないことには始まらないので、実際に首尾よくお金が
入ってから考えても問題あるまい。

明日は金曜、カレーの日であるが、レトルトカレーにも少し飽きが来始めたので、
リスクを承知で店に食べに行くかとも考えている。テイクアウトという手もあるが、
店が混んでなければ店に行った時点でそこまで変わらないような気もする。

それにしてもかような生活が一体いつまで続くのか。第二波が来ているという話も
あるし、何だかもはや完全には元の生活には戻らないのではないかという気さえしてくる。
とりあえずマスクはとっとと外したい。

珍客

前に住んでいた家での環境によるものか、視界に動く適度な大きさの影に過敏に
反応してしまう。それが生き物でなくても、風に飛ばされる一叢の埃玉だったり、風に
揺られるカーテンの作る少しの影だったとしても、一瞬"あいつ"が居るのではないかと
身構えてしまうのだ。
今の家に住むようになって、そのほとんどが幸いにして取り越し苦労で済んでいるが、
先の夜に久々に当たりを引いてしまう。しかしそれは今までのあいつとはまるで異なるもので
あった。
影の正体は大体８㎝くらいのムカデで、ムカデの中では普通のサイズと思われるが、
山暮らしに慣れていない身空にとってはかなりレアなデカさで、しかもそれに屋内で遭遇
するのは初であるために、年甲斐もなく３０秒ほどフリーズしてしまう。

Gの字であれば見敵即殺の心構えが出来ているのだが、そもそも仕留めて良いのか、
捕らえるのか、見逃すのか、捕えるとしてその方法は何なのかで、しばし逡巡し、色々と
伝え聞く『殺すと二匹目が現れる』『同衾して噛まれる』という懸念を鑑みて、何とかして
捕まえた後に遠くに逃がす、という作戦を立てるに至る。

戦い慣れたあいつと異なり、ムカデは至極行動が素直で、簡単に捕らえることが出来、
ついでにあまり暴れなかったため、その後の作戦はあっさりと進行し、無事安眠を
得ることが出来た。

ただもう一つの気がかりとして、以前に大きな地震があった日の前の夜、部屋に大きな
クモが現れたことを思い出し、同様の大型節足動物の出現が何かの前触れではなかろうか
という不安に駆られる。しかしそれは今ここで書いているように杞憂に終わったので、
今度こそ安眠できそうである。