蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

角海屋  輪島市天領黒島

2012-01-06 22:06:52 | 古民家、庭園
黒島集落は、17世紀末から江戸の最後まで天領として栄えたという。
漁村であった地域に、江戸になってから日本海を全て守備範囲とする海運業が栄えた。


黒瓦に下見板、店のまえは格子戸の伝統的な様式が定着したようだ。
それも、平成19年の能登半島地震で大きな被害を受けたようだが、その後の復旧に昔の様式を目指し、その結果として重要伝統的建造物保存地域に選ばれたのはすごい。何しろ、地震の被害の後であえて伝統的様式を選ぶ勇気は、滅多に見られるものではないように思う。




この地域のもう一つの特徴は、地割りというか各家々の地所が江戸時代から全く変わっていない事だという。
木造の家が海風を浴びれば、構造物としてはその内に限界を迎える。しかし、そこで昔に変らない姿の住居を建て上げれば、集落の景観自体は何も変化しないように思う。




角海屋(かどみやと呼ぶ)は、江戸時代から廻船問屋として栄え、年貢の請負や、この近くにある曹洞宗総持寺の御用船として大いに栄えた。
この家の前の通りは、幅は広くはないのだが昔からの街道で、一時は路線バスが行き来したという。




酷い悪天候の日であったので、まさか開き戸が開くとは思わなかったのだが、家の中に入ればいつもの光景なのだろうか。ときどき稲光ととも、にあられが吹き飛んできて、季節を感じさせた。


座敷には総持寺の偉い住職さんの手になるかけ物が。








能登には、強力だが規模の小さな低気圧が次々と訪れて、厳しい気象を形作っているように思う。
という事は、雲が一瞬だが切れる合間があるという事である。
そのタイミングを見計らって、坪庭へのガラス戸を開けて頂く事までお願いしてしまった。
それを心安く、聞き届けて頂けた。この屋敷を管理されている方々に心から感謝の念を表したい。