やっぱり家族はぬくい
子どもの作文や詩に見る
◯家族内事件が相次ぐ現代
きょうも目の悪い息子の将来を悲観して、母親が手をかけたというニュース。老老介護に疲れて夫が妻を、子育てに疲れた若い母親がわが子をと…家族の中での事件が相次ぐこの時代。心が痛い。社会の貧しさが家族の不幸を作り出している。
こんな今だからこそ、子どもたちは、家族のぬくもりを一層求めてもいる。
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へいわってこんなこと
一年 あきと
いつもぼくがかえってきたら、おかあさんに「ぎゅうしたい」っていっていて、おかあさんが「いいよ」っていってくれて、ぎゅうをして、こころがあたたまる。うちでいつもぎゅうをしているよ。
(日本子ども文詩集より)
これを「へいわ」って言うんだね、ホント!平和の原点はここにあるんだよね。
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かたたき
一年 うちゅうた
おかあさんのかたをたたいたら ぬくかった
うちゅうたも 手がぬくかった
からだじゅうも ぬくくなった
もっとたたいてみると おかあさんが「もういいよ。うちゅたをうんでよかったわ」
とさいごにいいました
(「教室でいっしょに読みたい綴り方」より」)
「あなたを産んでよかったわ」という言葉は、親から子への一番の宝物です。
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お母さんとお父さんのいけん
三年 よしあき
ぼくが詩を書く前に、日にちを見に行こうとした
見に行ったら、おとうさんが
「そんなにべんきょうしたら、頭がアホになんで」と言った
お母さんに言うと
「アホになるほどべんきょうしてほしいわ」と言った
お母さんとお父さんのいけんはいつもちがう
(「教室でいっしょに読みたい綴方」より」)
大阪の父ちゃんと母ちゃん、ゆかいです。笑い声まで聞こえてきます。
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ラブレター
五年 奈津美
母が小さな引き出しをせいとんしていた
「なにしてんの」
と言いながら、引き出しの中を見た
「あっ、なにこれ!」
引き出しの中に四つ折りにした手紙があった
開いてみると「愛する優子へ」と書いてあった
「愛する優子へだって」
と言ったら
母が顔を赤くした
お父さんもお母さんにラブレターを書いたんだ
愛する優子へだって
キャー
わたしも心の中で顔を赤くした
(「年刊児童文詩集」より)
私も懐かしくなって顔が赤くなってきたわ。
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「先生きいて」
一年 こういち
おばあちゃん もうな
ちもないし
めもないし
みんなない
ほねもやいてもうてん
あつうなって
はしで おとうさんが とったん
ぼくのおかあさん ないとった
なんか バスでつれていったん
バス一だい
タクシー 一だい
ぼくのくるまも 一だいでしょ
みんな 一だいばっかし
(「書くこといっぱい」より)
家族の生も死もきちんとみつめさせたい今です。
(とさ・いくこ和歌山大学講師)