新刊本『ケアマネ白書』(よりよい介護をめざすケアマネジャーの会編)を編集した寺内順子さん(大阪社保協事務局長)にその想いを寄せてもらいました。
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介護保険制度が始まって10年目、当初の「介護の社会化」「家族介護から社会介護へ」のうたい文句はもう過去の遺物のように放り捨てられ、「24時間介護」どころか、30分、1時間の「切れ切れ介護」が実態です。
一方この間、介護保険利用者は増え続け、利用者の高齢化や貧困化、孤立化が進み、いまさら「家族介護」に逆戻りはできません。
いま、日本の介護を支えているのはケアマネジャー、ヘルパー、訪問看護師、理学療法士、施設職員などの介護従事者です。ご存知のように、介護報酬は低く、介護従事者は一般業種と比べても正職・専従で働いても十分に暮らせるだけの給料とはいえません。しかし、目の前にいる介護保険利用者・家族を支えようと毎日必死の思いで働いています。
しかし、介護現場で、介護従事者がどのような仕事を毎日しているのか、ほとんどの方はご存知ないことと思います。100人の高齢者がいれば、生き方も人生も症状も100様あり、介護も100様あるはずです。
この白書では主にケアマネジャーと介護保険利用者の生の声を通して、在宅で暮らす高齢者にどのような支援がされているのか、そしてケアマネジャーたちがどんな思いで利用者・家族を支えようとしているのかを具体的に掲載しました。
そして、座談会では「介護保険9年」を問い直し、これからの運動の方向性もさぐっています。
さらに、介護保険制度やケアマネジャーについての理論編や、たたかうケアマネジャーからの提言も掲載しています。
介護保険の現場には沢山の介護従事者がいます。ケアマネジャーだけでも、全国で9万3千人が介護支援業務をしています。
いま、介護保険を介護保障に近づけるための運動が必要です。その際の最も大きなポイントは介護現場の人たちの声をどれだけ発信し社会問題化していくかだと考えています。
この本はその第一歩です。ぜひ多くの方のご購読をお薦めします。