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心がけ「道徳教育」にご用心~子どものまなざし 46

2011年06月10日 | 土佐いく子の教育つれづれ

 新しい学習指導要領では、全教科を通じて「愛国心、道徳心、公共の精神」を教えることを強調しています。こんな流れが「よい子」に「よい行い」を求める心がけ「道徳教育」に陥らぬよう心したいと思う今です。

 子どものなまの生活って「道徳の標本」のようなものではないのです。大人だって、わが子ども時代を振り返ったら納得できるでしょう。

  ◆  ◆  ◆

 かき取りの作戦

    四年 大林 幸太郎

 十一月の何日かわすれたけど、白坂君とぼくとで、よその家に、かきの実を取りに行きました。

 さいしょ、学校から帰ってから白坂君の家に行きました。さいしょは遊んでいました。すると、白坂君が、
「かき取りに行かへん」
と言いました。だからぼくは、
「べつにええで」
と言いました。ぼくは、
「でも、家の人に見つかったらおこられるで」
と言いました。すると、白坂君が、
「だいじょうぶやって。作戦をな、考えればええねん」
と言ったから、ぼくは、
「ほんじゃあ、考えよう」
と言って考えました。

 なんやかんや言いながらも作戦が決まりました。だから、ぼくが
「じゃあ行こう」
と言いました。作戦は、いままで集めてきた、鉄のぼうやら木のぼうでたたいてかきの実をおとして、グローブでかきの実を取る作戦です。ぼくは、白坂君に、
「成こうしたらいいのになあ」
と言いながら、行きました。だけど、約二十mぐらいの所に人がいたから、取るのをまちました。まっていると、どっかいってしまいました。

 で、かきの実のえだの下に行きました。白坂君は鉄のぼうでかきの実をいきなりたたきました。ぼくは、
「いきなりやるなよ!」
と言って、2号とうの前の公園に走ってにげました。白坂君とぼくは、もう一度作戦を考えました。だから、こんな作戦ができました。黒い鉄のぼうのさきっちょに、木で作ったけんをガムテープでつけて、かきの実をたたいておとして、グローブで受ける作戦です。
(中略)

 ぼくは、白坂君に、
「黒い鉄のぼう、えだにひっかけといて、オレがジャンプしてやってみるから」
と言いました。
「あーあ、もうちょっとやったのに」
と言いました。今度は白坂君が、
「ちょう、もっといて」
と言ったので、持ちました。白坂君がジャンプしても取れませんでした。白坂君もあとちょっとでした。だから『かきの実』(授業で習った詩)のあんしょうをしていました。ちょっとあっていました。

 その後、ぼうでたたいたりいろいろやっても取れませんでした。暗くなってきたし、もうあきらめかけたそのとき、白坂君が、黒いぼうをえだにひっかけ、ジャンプしました。だから、白坂君の手を見ました。すると、一つのかきの実が、あるのです。ぼくと白坂君は、目をでかくして、白坂君の家ににげました。ぼくは、
「ゆうくんナイス」
と言いました。取れたから洗いました。白坂君がかいちゅう電とうを持ってきて、二人でかんさつしました。ぼくは、
「ちょっときずいってるみたいやな」
と言いました。白坂君は、
「ほんまや」
と言って、かんさつをやめて
「バイバイ」
と言って帰りました。その作戦は成こうしました。
<大澤昇「生きること綴ること」より>

 よその家の柿をとるのを良しとするのではありませんが、柿とり作戦を考え、工夫し、暗くなるまで熱中するこの積極性、集中力は実に子どものすばらしさです。大人も、こんな時代をくぐって大きくなったのです。

(とさ・いくこ 和歌山大学講師・大阪大学講師)

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6月9日(木)のつぶやき

2011年06月10日 | 丸ちゃんの私的時間

08:18 from Mobile Web
おはようございます。蒸し暑い吹田の朝です。今日はコンクール採点、出庫・発送、審査委員会、会議、編集、販促など。
11:33 from web
国会議員選挙より、AKB総選挙が投票率が高いとは、これいかに…。
15:54 from web
コンクール審査委員会終わって今から会議。やれやれ、今日は長い日になりそう。
22:30 from Mobile Web
引き揚げ中なう。今日は忙しかったなあ。
by kikanshibooks on Twitter

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