■命の連続性を学ぶ
20歳の半分、二分の一成人式を保護者の皆さんと一緒に祝いました。
式をする日までこんな授業に取り組みました。書家、相田みつをさんの「命のバトンタッチ」という詩や「いのちのまつり」という絵本を使って、命の連続性を学びました
。
つながる命の中で一人でももし死んでいたら、あなたの命はこの世には生まれ出てこなかったという事実は、とび上がるほどの驚きであったようです。「オレってすごい!
」と椅子の上にあがって叫んでいた子もいました。
次に、生命誕生の歴史を知ります。40億年前に海に一つの命が生まれ、それが長い歴史を経て、魚類、両生類、…哺乳類、そして人類の発生へと進化してきたのです。しか
もその歴史をお母さんのお腹の中で繰り返すというのですから、これまた驚きでした。
そして、自分の「いのち年」が「40億年10年3ヵ月」であったことに心をつくして学びを深めたことでした。
■10歳の自分を熱く見つめる
一方、親から自分の誕生にまつわる話や小さかった頃のことを取材して、記念誌にまとめさせていきました。
また、10歳になった自分の成長を見つめ確かめながら文に綴りました。
「10歳になって、なんか自分が好きになってめっちゃ楽しくなった。友だちとのもめごとも自分らで解決できるようになったで! 言いたいことをはっきり言えるよ。作文と
か日記を書くのがまよわなくなって、好きになってうれしい。それに、今はゲームとかするより友だちとSケンとかダブルボンバーとかして遊ぶのがおもしろくなった」
さらには、四年生の1年間のみんなの成長の足跡を「よびかけ」にしました。
当日は、おじいちゃんやおばあちゃんも出席してくださって、教室の後ろも廊下もいっぱいの人でした。花で飾られた教室、これもみんな子どもたちの手作りの花です。
凛とした張りのある声で「いのち」(小海永二)の詩の朗読が始まります。和気あいあいとした雰囲気の中で、小さい頃の話や10歳の自分の成長が語られていきます。
■生まれてきてくれてありがとう
続いて「よびかけ」です。卒業式のように厳粛で、堂々とした語りに思わず涙していたお母さんたちでした。産み出してから今日までのことを思いめぐらせてもいたのでしょう。「よびかけ」に続く歌とリコーダーの演奏を聞きながら、こみあげてくるものがあったようです。
最後は「親から子への手紙」でした。
「はるか、二分の一成人式おめでとう。はるかが生まれた日、お父さんは家で今か今かと待っていましたが、いつのまにか寝てしまい、病院に着いたらもう産まれていました
。女の子が産まれてほしかったから嬉しかったです。そんなはるかももう10歳。最近お母さんに似てきたのがちょっと心配。兄ちゃんの野球のおつき合いばかりで遊んであげられなくてごめんね。これからは買物、スケート、映画、吉本もはるかにつき合うよ。お父さんお母さんの子どもに生まれてきてくれてありがとう。父より」
(とさ・いくこ 大阪市立加賀屋小学校教諭)