ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

享楽亭 @愛知県知多郡武豊町

2019年11月17日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県武豊町へ遠出を決めた目的は、近代建築の観察はもちろんだが、この店の訪問のためでもあった。洋食の「享楽亭」。創業は大正元年(1913)で現在3代目だとか。東海地方にのみ残る絶滅危惧メニュー「ミヤビヤ(ミヤベヤ、メアベヤ)」を提供する数少ない店のひとつ。この5月に名古屋の「勝利亭」が廃業してしまったので、昔からメニューに載っている店は、もうここと岐阜市の「あじろ亭」、三重県津市の「中津軒」の3軒だけになってしまった。どちらも創業100年越えの店だ(※古くない店では、知っている限り瑞浪市の「満月」と岐阜市の「マカロニ亭」がある)。「享楽亭」は市街地を外れた名鉄線路沿いに店があった。勇んで開店時間に到着したのになぜか”準備中”の看板のまま。車に乗ったまま待つも状況は変わらず…。その間にも何台かの車が来ては看板を見て引き返す。「すわ(臨時休業?)…」と思い始めた頃、店内から女性が出てきて「今日は出前の予約があるので店を開けるのが12時頃になります。」とのこと。予定は狂ったけれど、とりあえず店が開くことだけは分かったのでひと安心。近代建築探しを続行した。

時間になって店に戻っても、まだ店は開いていなかった。駐車場で引き続き待つ。後客も何台か入って来た。すると知らないうちにもう何人かの客が店の中に入っていった様子。開店したことは教えてくれないようだ(苦笑)。あわてて店内へ。店自体は古くなく、住宅の一部を改造してあるような建物。テーブル席と奥に小上がりがある。店内には「ルービトブカ」「ルービンオニユ」と逆に書かれたとても古いバーカウンター(キャビネット)が鎮座している。カッコイイ。厨房の中には白髪の主人、給仕は女将さんとさっきの女性(娘さん?)が担当。老齢の女将さんに「タンシチュー」と「チキンミヤベヤ」を注文した。「ミヤベヤ」はちょっと時間がかかるとのこと。「構いません。」と伝える。メニューには注文したもの以外にも「海老の玉子巻き」「イタリアンビフ」など、読んだだけではどんな料理か分からないワクワクするような品もある(現在は写真入りメニューもあり)。でも全部頼むわけにもいかない…。

30分以上の時間がかかって「タンシチュー」と「チキンミヤビヤ」が運ばれた。まずは平皿に盛られた「タンシチュー」から。カドのないデミグラスソースで煮込まれたタンはとても軟らかく仕上がっている。旨い。シチューの口当たりも滑らかで、いかにもクラシックな日本式洋食といった感じでご飯に合いそう(老舗らしくライスは別)。同じ皿の上にはサラダ(千切りキャベツ、ポテトサラダ、トマト等)も添えられているが、ちゃんとトマトが湯剥きされていたりと丁寧な仕事がされている。「チキンミヤビヤ」はケチャップ寄りのソースでチキンと大振りに切られた玉ねぎが煮込まれていて、真ん中に玉子が落とされている。上面に焦げが見当たらなかったのでオーブンで焼かれているかどうかは分からず。玉ねぎの火入れは浅くシャクシャクとした食感も残していた。玉子は黄身が全部流れ出ないくらいの硬さ。これで「中津軒」以外では「ミヤビヤ(ミヤベヤ)」を食べる機会があったが、火の入り方は別として、どちらも味は複雑なものではなく、見たまま、想像したままの味。

食べ終わってお茶をいただいていると女将さんが「遠くからいらしたの?」と話し掛けてくれた。岐阜方面から来たことを告げると「「あじろ亭」って知ってみえる?」と。「ハイ、何度も食事に寄っています。」と答えると、「あそこ、うちの親戚なのよ。」との事(なーにーっ!!・驚)。「お姉さん(現在の主人)がまだ元気でやってみえるでね。」「うちの初代があちらと姉弟で、あちらがお姉さん。」と衝撃の事実が明らかに(※”姉弟”のくだりは、こう聞いたような気がしたが不正確かも)。実は食事中に卓上にあったガラス瓶に入ったソースをスプーンに垂らして舐めてみたのだが、その味が「あじろ亭のソースみたいだナ。」と思っていたばかり(同様の作り方かどうかは未確認)。いやぁ、びっくりした。創業100年を超え、貴重なメニューが残る、かくも貴重な洋食屋同士が親戚筋だったとは。「遠くからありがとうね。」という女将さんの優しい言葉を背に店を後にした。近くだったら絶対全メニュー制覇したい店なのに、易々と行けないのが悔しい。(勘定は¥2,100)

「あじろ亭」(岐阜)の記事はこちら

「勝利亭」(名古屋)の記事はこちら

 その他「ミヤビヤ」の店の記事はこちら

 

 


 

↓ JR武豊線の「石川B鉄橋」(明治24年・1891・建造)。イギリス人技師ボナールによって設計されたボナール型と呼ばれる物で、明治初期の煉瓦・切石造りの橋梁は全国的にも珍しいものなのだとか。

 

↓ 武豊町から半田市に向かっている道中でちょっと気になった隅切り屋根の建物「旧:杉江歯科醫院」(建築詳細不明)。うっすらと木製看板が残っていた。母屋の屋根頂部には立物(たちもの)と呼ばれる飾りも。

 

↓ 帰り道に半田市の亀崎に立ち寄る。亀崎にある創業安政2年(1855)という歴史ある料亭「望州楼」(江戸期建造)。傾斜地に建っているので料理を運ぶケーブルがあるのだとか。

 

↓ 「望州楼」の向かいにあるべんがら塗りの「旧・成田家住宅」(明治11年・・建造)。元々は「望州楼」の旧店舗で、明治になって住居兼店舗として建て直しされたのだとか。平成20年間で使用されたとのこと。

 

↓ 「望州楼」の前の通りで見付けた豆タイルを多用した商店(建築詳細不明)。何に使われているかは分からないが、とてもしゃれた店舗だ。

 

↓ 「JR亀崎駅」(明治19年・1886・建造)。日本最古の現役駅舎との話もある(※諸説あり)。

↓ 「盛田金しゃち酒蔵」(建築詳細不明)。蔵は1800年代の建造だとか。ここの売店も日曜は休み。酒造の売店ってほとんどが日曜休みばかりで買えない。残念。

 

 


 

 

洋食 享楽亭

愛知県知多郡武豊町字池田1-114-3

 

( 武豊町 たけとよちょう きょうらくてい 洋食店 洋食 ミヤビヤ ミヤベヤ メアベヤ 老舗 100年食堂 ハヤシライス オムライス 近代建築 閉店 廃業 近代化産業遺産 )

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勝利亭 (4) @名古屋市西区・那古野 (※閉店)

2019年05月03日 | 名古屋(中村区・西区 老舗)

堀川に架かる五条橋の西詰、円頓寺商店街の入口の老舗洋食店「勝利亭」。創業は明治42年(1909)で、店名の由来が”日露戦争の勝利”からという110年もの歴史のある店だが、風の噂(ある店で食事をしている時に近くに座った人の話が聞こえてきた)で近々店を閉めるという話を聞いた。最近は不定休みたくなっていて、店の前に行っても開いていないことが多く、営業することが多い火曜か金曜を狙っても外れることもあり、随分と足が遠のいていた。この日も営業しているかどうかダメモトで訪問。店の外に並びがあるところを見ると今日はやるようだ(ヨカッタ…)。これを逃したらもう来ることは出来ないかも、と並びに加わる。最近は表のカレンダーに営業日を載せているようで、見てみると4月中の営業日はたったの11日のみ(夜営業もほとんど無し)。

並んでいると、自分の前に並んでいた女性の場所に知人女性が「遅くなってごめーん。」としれっと合流。幼児と老人以外の待ち合わせは人数が揃ってから並び直すのが大人のマナーだと思うが、行列のある店ではよくこれをやられる。こういうのも自分が店の前で並ぶのが嫌いな理由だ。特にここのように調理にとても時間が掛かると分かっている店では1人、2人でも大幅に提供時間が遅れるし、合流される人数が多いと座ることさえ出来ない場合さえある…。並び損。

閑話休題。定刻に店が開き順に着席していく。テーブルは埋まり、1人なのでカウンターかと思いきや、小上がりに上がってくれとのこと。革靴を脱がなきゃいけないので嫌だナ…。もちろんすぐに相席になるが、自分の前に並んでいた人達の調理が全部終わってから自分の番だと思うとゲンナリ…。実際すぐに満席になり、給仕の女性が後から入ってきた客に「1時間以上あとになりますが…。」と案内していた。仕事があれば完全にアウト(幸いこの日仕事はなし)。注文は以前から食べてみたかった「チキンシチュー」と「ハイボール」に。他の客はやっぱり「オムライス」の人が多い。

もうこの店も見納めかァとしみじみ店内を見渡す。カウンター奥の飴色に時を重ねたバックバー(棚)の所は、よく見ると脇に階段があって2階に上がることが出来るようになっている。給仕の女性と他の客の話をそれとなしに聞いているとこの建物は賃貸だとのこと。意外。決して凝った装飾がしてある店ではないが、さすがにこのまま居抜きで使われることは無いだろうう。先客には自分が何度も訪問している飲食店の主人夫婦の姿も見えた(笑)。待って…待って…、45分くらい待っただろうか、先に「ハイボール」(食事と一緒に出してもらった)が、そしてやっと「チキンシチュー」が登場。「チキンシチュー」は”シチュー”とはいってもスープ物ではなく、鶏もも肉のソテーにたっぷりのデミグラスソースがかかっているもの。なので”ENDOJI・勝利亭”と銘の入った平皿に盛られている。ソースはコクと少し甘味があり角が無く、旨い。付け合わせは千切りキャベツ、トマト、キュウリ、そして同じソースを使ったスパゲッティー。これがなかなかイイ。狭い卓で胡坐をかいてナイフとフォークを使うのは苦行だが、しっかりと味わってハイボールも飲み干した。これで「ミヤビヤ」をメニューに載せる店がひとつ減ることになる。(勘定は¥1,500)

※残念ながら令和元年5月31日を以って閉店されました

以前の記事はこちら (1)(2)(3

 

レストラン 勝利亭

愛知県名古屋市西区那古野1-2-17

 

( 名古屋 なごや 円頓寺商店街 えんどうじ 五条橋 しょうりてい 洋食 老舗 レストラン オムライス カゴメケチャップ 100年食堂 ミヤビヤ ミヤベヤ 閉店 廃業 )

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あじろ亭 (4) @岐阜県岐阜市

2019年04月04日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

未確認の情報だが、名古屋の円頓寺商店街にある老舗洋食店「勝利亭」が近々閉店するかもしれないのだという(間違った情報でありますように…)。日露戦争の勝利にちなんで名付けられたという店名が歴史を感じさせるこの名店だが、最近は不定休になり夜の営業もほとんどなかったりして、店前まで行っては振られることも多く、足が遠のいている。そんな創業110年を誇る店と同じく、112年もの歴史がある岐阜市の洋食屋「あじろ亭」へ(両者に共通するのは東海地方にわずかに残る料理「ミヤビヤ(こちらではミヤベヤ)」)。雨が降りそうな空の下、バス停から店まで歩いて行く。まだ早い時間だったが、店に入ると先客は1名。奥のテーブル席に座りメニューを眺めた。最初はビールでも呑もうと思っていたが、気分が変わってご飯物をと「オムライス」を注文した。この日給仕をやっていたのは年配の男性。

まずはいつものように大根やらのピクルスの小皿が運ばれ、後から「オムライス」が登場。給仕男性が「うちで作っているソースです。よかったら使って下さい。」とソースの瓶を添えていった。このソースはテーブルにも置いてあったので前にも味見をしたことがある。「うち」という言い方が血縁を想像させる。ひょっとしてご子息だろうか。調理は別の女性のようなので先行きは分からないが、この店にはなんとか続いて欲しいものだと思う。白い平皿に盛られた「オムライス」は薄焼き玉子タイプでライスをきれいに覆っている感じ。同じ皿にはちょこんとサニーレタスが添えられている。ライスは色付いているが味付けはごく薄め。中にはブロッコリー、マッシュルーム、玉ねぎ、ハムなどが見える。ブロッコリーって珍しいナ。勧められたソースを少したらしてみた。ソースは酸味が強めのもので、大雑把に言うと”焼肉のたれ”のような味の組立のもの。淡い味付けのオムライスに使うといい感じになる。このソース前提の薄味なんだろう。旨かった。(勘定は¥700)

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欧風料理 あじろ亭

岐阜県岐阜市伊奈波通1-65

 

( 岐阜 ぎふ いなば神社 あじろてい 洋食 洋風料理 欧風料理 ミヤビヤ ミヤベヤ 高等ライス 老舗 100年食堂 勝利亭 閉店 廃業 )

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安兵衛 @愛知県岡崎市

2018年07月12日 | 愛知県(三河)

岡崎訪問で必ず寄ってみたいと思っていたレストラン「安兵衛」。周辺は寺(松應寺)の周りに商店の並ぶ小路があったりと、昔は花街だっただろうか。もちろんそんな街には必ず古い洋食屋があるもの。年季の入った建物にレストランとはアンバランスな店名の看板が見えた。店に入ると広いフロアーにテーブル席が並んでいる。店内はちょっとくたびれているが、バーカウンターの名残もあって往時はさぞかしハイカラな店だったろうナ。給仕は老齢の女将さん。厨房の中も女性のようだ。こちらのメニューが凄い。「エスカロップ」「ハイシビーフ」「ミヤビヤ」「フライタース」「フーカデン」など絶滅危惧の古(いにしえ)の洋食名が並ぶ。古い店を食べ歩いている自分も後ろ2つはどんなものか全然分からない(※)。ただメニューには載っているものの、残念ながらもう提供は止めてしまっている品もあり…(値段のところが伏せてある)。メニューを見ただけでこんなに興奮するのは初めてかも(笑)。こちらの創業年は調べてもよく分からなかったが、このメニュー名からいくとかなりの歴史があるんじゃないだろうか。東海地方に残る「ミヤビヤ」があるのはどこも100年近くの歴史がある店ばかりなのだ。まずは瓶ビール(キリンラガー)と「チキンエスカロップ」を注文した。ビールには我が最愛のスナック菓子「かっぱえびせん」(笑)が付いてきた。

※女将さんに尋ねたら「フライタース」は”一口カツ”とのこと。「フーカデン」は”スコッチエッグ”のようなもののようだ。

冷たいビールとかっぱえびせんをポリポリやりながら待っているとナイフとフォーク、それに「チキンエスカロップ」が運ばれた。細目の衣のチキンカツがどっぷりとケチャップソースにくぐらせてあり、付け合わせは千切りキャベツにトマト、キュウリ、それにポテサラ。部位はもも肉で、まだカリッとしているところをナイフでカットして口に運ぶ。ウマイウマイ。熱々をビールといただく幸せ。近ければ全メニュー制覇したいところだがそうもいかない。胃袋が2つあったらいいのに…。そこでお腹にちょっと無理をして「トルコライス」を追加した。

しばらくして平皿に盛られた「トルコライス」が登場。トルコライスと言えば一番有名な長崎ではピラフ、ナポリタンスパゲティ、ドミグラスソースのかかった豚カツという組み合わせ(岐阜市ではまた違うが・笑)。これでもなかなかに不思議な食べ物だが、こちら安兵衛の「トルコライス」はまた全然違う。ぱっと見はピラフなのだが、刻んだ黒いキクラゲや玉ねぎなどの野菜、それになんとボール状の小さなポークカツがいくつも入っていて、全部混ざっている。何じゃこりゃ、こんなの見たことない…。味付けはバターに塩、胡椒といった感じでシンプルだが、丸くて小さいポークカツもピラフと一緒に口に入るし、キクラゲの食感も面白い。旨いなァ、コレ。無理した割に難なく完食し、1人宴会は終了。名残惜しいが勘定してもらった。

次に来ることが出来たら…、前菜に「カニコキール」と「黒ビール」、「一級酒」を追加してメインは「ミンチエッグス」、財布に余裕があれば「テンドロアンステーキ(※)」、締めは「オムライス」か「特製カツ丼」、いや「ミートスパゲテー(※)」でもいいなァ(←妄想中)。岡崎に住んでいる人達はこの店の価値、分かってくれているだろうか? ※品名はメニュー表記のママ (勘定は¥2,300程)

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↓ 店の近くにある家康ゆかりの「松應寺」の木造アーケード参道にテナントが入っていたり(松應寺横丁)、その脇道に商店が点在している面白そうな場所。子供達が駄菓子屋の外のテーブルでかき氷を食べていた。

 

↓ 店から遠くない丘の上には「六供浄水場ポンプ室」(昭和8年・1933・建造)と、隣接する「配水塔」(昭和9年・1934・建造)。以前はもっと近寄れたようだが、現在はフェンスで囲われてしまっていて遠い。六供(ろっく)ってカッコイイ地名だなァ。

 

↓ 市田町の「旧・志貴小児科医院」(昭和3年・1928・建造)。奥の建物は新築され、別棟も撤去されていたが、この建物だけは綺麗に修繕され塗り替えられている。

 

↓ その向かいに建つ「龍城温泉」(建築詳細不明)。タオルまで持っていったが残念ながら時間が合わず入ることが出来なかった。中はなかなかの渋さらしい。是非次回こそ…。

  

 

 


 

 

レストラン 安兵衛

愛知県岡崎市元能見町172

 

( 岡崎 おかざき やすべえ YASUBEI 洋食 洋風料理 レストラン オムライス ミヤビヤ エスカロップ 花街 松応寺 近代建築 近代産業遺産 銭湯 )

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満月 (2) @岐阜県瑞浪市 (※閉店)

2018年05月22日 | 岐阜県(東濃)

東濃地方に点在するカツ丼の”亜種”を探しに行った前回訪問時に、気になるメニューを発見していた岐阜県瑞浪市の「満月」に早くも再訪。気になるメニューとはあの「ミヤビヤ」。カウンターの上に掛けられた小さな木札の品書きに「ミヤベヤ・ポーク炒め・満月焼き」の文字があった。「ミヤビヤ(一部での呼称は”ミヤベヤ”)」とは名古屋の「勝利亭」、武豊町の「享楽亭」、岐阜市の「あじろ亭」、三重県津市の「中津軒」など、100年を超す歴史を持つ限られた東海地方の洋食屋に残るメニュー。なぜか他には広まっておらず、新しい店で採用されることもほとんどない不思議なメニューだ。店は遠いがそれを見つけたからには食べてみなくては気が収まらない(笑)。

バイクで到着し店に入るとこの日は大勢の客で賑わっていて残念ながらカウンター席には座れず、小上りの席に。こちらはいわゆるメニューは置いてなく、壁に貼り出した品書きとラミネートされたランチメニューがあるのみ。お茶を運んできてくれた女将さんに「ミヤベヤ下さい。」と言うと「とんチャップ?」と訊き返される。カウンター上に”ミヤベヤ”とあったが…と尋ねると壁に貼り出した品書きの「とんチャップ」というのがそのミヤベヤに当たるようだ…。若干頭の中が「?」となりつつもそれを単品でお願いする。女将さんは厨房の主人には「ミヤベヤ」と注文を通していた…。

しばらくして「ミヤベヤ(とんチャップ)」が運ばれる。浅い平皿を使う他の老舗と違ってやや深めの楕円の皿に盛られた「ミヤベヤ」は、厚めのロース肉を切って玉ねぎと炒めて玉子が落としてある。ケチャップ的な味付けで玉子はほぼ生卵なので、ポークチャップの生卵落としといった感じ。オーブンで調理した形跡はないのでフライパンで炒めただけだろうか。肉は軟らかく旨いが、イメージしていた「ミヤベヤ」とは違ってもっとシンプルにした感じ。どうしてこうなって「ミヤベヤ」とひっそり名付けていたのか興味深い。名前からいくと岐阜市の「あじろ亭」と同じなのだが…(他は”ミヤビヤ”と呼ぶ)。ただこの日の厨房はかなり忙しそうで尋ねることは出来なかった。

定食にはしなかったのでもちろんこれではお腹は満たされない。(なかなかこちらまで来られないので)最初から2品頼もうと思っていたもう1品は「ボルガライス」。これまた福井県武生市(現・越前市)の洋食屋などに見られたオムライス+トンカツ+デミソースという特殊なメニュー(発祥諸説あり)。それが何故ここに…。運ばれた「ボルガライス」は大きな平皿に盛られていて、平たい形のオムライスの上にカツがのせられ、サラッとしたタイプのデミグラスソースがかけられ、さらにクリームがたらされている。オムライスは玉子でクルッと包まれてはおらず、のせられている感じ。中はポークケチャップライスで、カツはしっかりめに揚げられていた。デミソースはマイルドな味付け。この組み合わせだもの旨いに決まっているが、中がケチャップ味なのでデミソースとはちょっとちぐはぐな感じもする。ライスはケチャップ味じゃない方がまとまりが良くなるかも。別皿で添えられた和風ドレッシングのかかったサラダも平らげお腹いっぱいに(←当たり前だ)。主人の出自など、話は聞けなかったがなかなか面白い店だ。(勘定は¥2,000)

以前の記事はこちら

 


 

 ↓ 引き続き土岐市駄知町を自転車で散策。屋根だけ見ると和風な建物だが前面にタイルが貼られている下見板張りの珍しい住宅(建築詳細不明)。現在は新聞販売店のようだが、なぜか縦長の2階窓はベニヤ板でずっと塞がれている。

 

↓ 腰壁が豆タイル(モザイクタイル)で造られている建物(建築詳細不明)。一番下だけライトブルーっていう配色が素敵。

 

↓ 自転車で走っていたらたまたま見つけた「駄知旧車館」。ちょうど月に1度程度しかない開館日だった幸運。同町に本社を置く「中根モータース」が日本の旧車を完全フルレストアして展示している。全て走れる状態だとか。すでに貴重になりつつある80年代の車もレストア展示している。昔の日本車って個性的で本当にカッコイイ。

 

 

↓ 親父が乗っていたクジラ・クラウン(ハードトップ 2000 SL) 発見。懐かしい。独特の匂いにやられて何度車酔いして吐いたことか(笑)。知らなかったが当時としてはデザインが奇抜過ぎてクラウン史上最大の失敗作と言われているのだとか。

 


 

四季美食丼 満月

岐阜県瑞浪市和合町1-94

 

( 瑞浪 みずなみ 土岐 とき まんげつ カツ丼 野内 のうち カツ丼亜種 ミヤビヤ ミヤベヤ 東濃地方 洋食 老舗洋食店 近代建築 旧車 旧車ギャラリー 閉店 廃業 )

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あじろ亭 (3) @岐阜県岐阜市

2018年05月11日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

久々に岐阜市の伊奈波神社参道にある創業明治40年(1907)の洋食屋「あじろ亭」へ。近所を散歩して街のところどころに見つかる歴史あるものに目を向けつつ、開店時間を待って店の中へ入り、テーブル席に腰を下ろす。給仕の女性が1人。女将さんの姿は見当たらなかったが、厨房にも2人居るようなので跡継ぎでも出来たのだろうか。この日はわざわざバスに乗ってやって来たので「ビール」と「メンチボール」を注文した。お通しは大根と人参のなます。ビールはキリンラガーの大瓶。ビールにはひじきの小鉢も付いてきた。昼一の極上の1杯を呑み干しゆっくりとした時間を過ごす。相変わらずBGMも無い静かな空間が貴重だ(なので厨房の声まで丸聞こえだが・笑)。しばらくして2組の後客が入ってきたが、みな落ち着いた年齢で、会話も声を落としているのでいい感じ。

しばらくして「メンチボール」が運ばれた。自分の経験からいくと古い洋食屋で「メンチボール」というのは大抵、今で言う”ハンバーグ”のこと。逆に「ハンバーグ」と名付けられていると目玉焼きがのせられている事が多い。作り方が違うのかどうか知らないが何だか面白い。自分の浅い経験から言うと「メンチボール」の方が玉ねぎなどの繋ぎが少ないものが多いような気がするが…。こちらの「メンチボール」は付け合わせが豪華。インゲン、タケノコ、カボチャ、ニンジン、ズッキーニ、ジャガイモ、レンコンと多彩な野菜がソテーされている。古い洋食屋の「メンチボール」はしっかりと肉の詰まったタイプのものが多いが、こちらは軽い感じのもの。ソテーされた玉ねぎののった優しい味のデミグラスソースで味付けされている。各テーブルに用意されている瓶に入った淡い茶色のソースも基本は同じものかしらん。独特のコクと酸味があって旨い。ビールを呑みながらゆっくりとやっつけた。老舗洋食屋をこんな風に使うと何となく贅沢な気分。(勘定は¥1,500)

以前の記事はこちら (1)(2

この後の記事はこちら (4)(5)(6

 


 

↓ 店のはす向かいに建つ建物(建築詳細不明)。今まで気付かずにいたが、表だけ洋風なのは以前何かの商店だったのだろうか。

 

↓ 前を通る度に写真を撮ってしまう存在感抜群の「石原美術(旧・日下部合資会社事務所)」(大正2年・1912・建築)。「石原美術」の看板が外されていたが…。

 

 

↓ 近くの通りの路地に入っていくとこんな風情のある建物がまだあちらこちらに見つかる。こちらは「御料理・徳廣」(建築詳細不明)

 

↓ 古い建物にあった玄関灯。昔の建物に付属するこういった照明器具は多くが1点物や少数生産物で、どれも本当に個性的で素敵だ。

↓ 登録有形文化財にも指定されている「松喜(旧・松喜仏壇店)」(明治44年・1911・建造のち増改築)。今はもう商店としてはやっていない様子。

 

 


 

 

欧風料理 あじろ亭

岐阜県岐阜市伊奈波通1-65

 

( 岐阜 ぎふ いなば神社 あじろてい 洋食 洋風料理 欧風料理 ミヤビヤ ミヤベヤ 高等ライス 老舗 近代建築 国登録有形文化財 )

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満月 @岐阜県瑞浪市 (※閉店)

2018年04月29日 | 岐阜県(東濃)

まだまだ先の長そうな”東濃カツ丼亜種行脚”。今回伺ったのは岐阜県瑞浪市の「満月」。瑞浪とはいっても土岐市に近く、土岐市役所前の道をまっすぐ瑞浪方面に行ったところに店があった。駐車場に車を停め店先に向かうと魚の絵が飾ってあったり「刺身定食」なんて書いてあったので、和食屋がカツ丼を出しているような店かなと思いきや、中に入ると壁に貼られた品書きは洋食屋のラインナップ中心。”ボルガライス”(オムライス+とんかつ+デミグラスソース)なんていう福井県の洋食屋限定の名物の名前もあり興味津々。カウンター席の他に小上がり席が6つ程あり、店の普請からは意外だったが年配の主人と奥様の2人でやっていらっしゃる様子。カウンター席に座り「かつ丼満月」を注文した。こちらの品書きには必ず品名に”満月”と名が付くのかな。

しばらくして「かつ丼満月」が運ばれる。冷奴の小鉢と赤だし、それに漬物が付いている。こちらの「かつ丼」はカツの上から目玉タイプの煮玉子がのせられているタイプ。白身には軟らかめに火が通って黄身が生に近い絶妙の加減。縦横にカットされたカツは厚めだが硬くなく、たれは醤油ともソースとも言えるような、まさにあの”野内”タイプ。そういえば店もそう遠くない(といっても車で30分かかるが)。たれは少し甘めで「野内」のようなニンニク風味が無いのでこちらの方がやや優しい味加減。うん、これも旨いなァ。途中で黄身を潰し、カツとご飯にまぶして掻き込んで一気に食べ終えた。

カウンターの上に紙で貼られた品書きとは別に小さい木札の品書きが掛かっており、そこに何と「ポークチャップ満月イタメ・ミヤベヤ」(!)の文字があるのを発見。「ミヤベヤ」なんていう名前が載せてあるということは、こちらの主人ひょっとしてどこかの古い洋食店で働いた経歴でもあるのかしら。そうすると「ボルガライス」というのも…、興味が尽きない。また来なくちゃ。(勘定は¥880)

この後の記事はこちら

 


 

↓ 土岐市駄知町を自転車で散策。塀のあるこちらの建物(建築詳細不明)には飾りのある丸窓があったが、昔は客を呼ぶ座敷があるような店だったのかな。

 

↓ 辻に建つこの建物(建築詳細不明)、2階のガラス窓を見るとかなり大きな広間じゃないかと想像させる。こちらもその昔は人が集まる座敷があったのかもしれない。

 

↓ 以前にも観察した下見板張りの「藤本内科医院」(建築詳細不明)。現役の建物なのかどうかは知らないが、状態は変わっていないようでひと安心。

 

↓ 創業明治29年(1909)の「千古乃岩酒造株式会社(尾張屋商店)」(建築詳細不明)。裏手に廻ると漆喰壁、黒板の建物やタイル壁の立派な工場建物が。

 

 


 

四季美食丼 満月

岐阜県瑞浪市和合町1-94

 

( 瑞浪 みずなみ 土岐 とき まんげつ カツ丼 野内 のうち カツ丼亜種 ミヤビヤ ミヤベヤ 東濃地方 洋食 オムライス ハンバーグ ちごのいわ 近代建築 妓楼建築 閉店 廃業 )

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マカロニ軒 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2018年03月11日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市三番町の「のはら湯」(創業明治27年)で汗を流した後、JR岐阜駅に向かい、最近円相グループが出した日本酒が呑める店に向かうも、ランチが終わりかけの時間帯でまだ店が呑む雰囲気でなく、店の外に出ていたメニューを眺めたものの何か違うなァという気になって、同じビルで同グループの洋食屋「マカロニ軒」へ。こちらもまだ出来たばかりの新店。店の前まで行くとすぐ前のウエイティング用のベンチで酒片手に弁当を食べている剛の者(年輩)が…。店の人、そこは注意してもいいでしょ(笑)。店に入ると意外と簡素な内装。そつのない店造りをする会社なので、洋食屋としてもう少し雰囲気のある店なのかなと思っていたので意外(いわゆる”レトロ”っていうのを避けたのかな)。厨房前のカウンター席に案内されたので、腰かけてすぐに生ビールと「マカロニサラダ」を注文した。

喉がカラッカラなので五臓六腑にビールが滲みていく。「マカロニサラダ」はとても安い値付けなのにしっかりとした量があり、ねっとりとしたマヨネーズ和えにパセリが散らしてある。ビールのつまみにちょうど良かった。新しい店はどこもそうだがオーダーを含めてハンディ機器を使ってシステマチックに事が進んでいく。それだけならいいのだが客にはやや慇懃無礼。そして店員同士は「オーダー入りま~すっ!」「ハイヨーッ!」「〇×いただきました~っ!」「ハイヨーッ!」とかまびすしい。まるでどこかのラーメン屋のよう…。しかもカウンター席の頭の上に厨房があるような配置なので余計に…。世間がこういうのを求めているのかもしれないし、これを”明るく元気な接客”と評する浅慮な人も居るのだろうが、何でもかんでも大声を張り上げるのは幼稚過ぎないか。居酒屋じゃないんだから(←オイオイ居酒屋使いしてるじゃないかっ)もう少し落ち着いた大人の接客をして欲しいものだ。

こちらのメニューの特徴は何といっても主に中部地方の老舗洋食屋などに残る絶滅危惧メニューを取り上げているところ。「エスカロップ」「チキンミヤビヤ」「チキンマーブル」など、自分のように老舗食堂を食べ歩いている人間にはグッとくるものばかり(ただ「包み焼きハンバーグ」は銀座の「つばめグリル」か京都の「東洋亭」かな)。若干あざとさも感じるが、なかなかいいところに目を付けたなァと思う。仕掛人は言うまでもなくかなりの切れ者だ。そんなメニューの中から現在4店(名古屋市「勝利亭」、岐阜市「あじろ亭」、武豊町「享楽亭」、津市「中津軒」)に存在している「チキンミヤビヤ」と「角ハイボール」を注文した。ワクワク…。

しばらくして運ばれた「チキンミヤビヤ」は浅い丸皿に入れられオーブンで焼かれているのだろう。具はチキン、玉ねぎ、きのこ、グリーンピース、パセリ、そこに玉子が落とされている。老舗と違ってかなり濃い色のデミソースで煮込み焼かれているのだが、ソースはサラッとしていて少なめ、具材の切りも小さめ。玉ねぎは薄いのだが口に残る食感がある。これは一番外皮に近いところかな…。落とされた玉子は白身も透明なのでほとんど生卵の状態。全体的に具材の量も少なく、見た目からいくとオーブンでの火入れが長いよう。後発なのでもっと料理的な完成度を上げてくるのかなと思いきや…、若い客が興味で試してみてもこの値段で2回目があるかどうかちょっと心配。この材料だったらもう少しヴォリュームを持たせてもコストはさほど上がらないのでは。とは言っても、こういった岐阜市内にも残る絶滅しそうな貴重なメニューが日の目を見たのは快挙。次は「高等ライス」ですかね(笑)。(勘定は¥2,200程)

※同グループの「エリックサウス」開店に伴い閉店されました

 

 


 

↓ 前に建っていた建物が更地になり、”アッパッパ”になってしまった創業明治27年(1894)の銭湯「のはら湯。この日はスチーム湯が壊れていたのが残念。

 

 


 

BISTRO マカロニ軒

岐阜県岐阜市橋本町1-10-1 ACTIVE-G 2F

 

( 岐阜 ぎふ 岐阜駅 アクティブG ビストロ 洋食屋 洋食 円相フードサービス 円相グループ イナダシュンスケ 老舗洋食 ミヤベヤ マイヤベーヤ 閉店 )

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あじろ亭 (2) @岐阜県・岐阜市

2014年07月05日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

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岐阜市の伊奈波(いなば)神社参道に店を構える洋食屋「あじろ亭」。創業明治40(1907)年と言う歴史ある店です。前回はハヤシライスをいただいたが、他にも気になる名の料理があったのでまた寄ってみた。今回の目的は、名古屋の勝利亭(明治42年創業)でも食べた事のある「ミヤビヤ」(ここあじろ亭での名前は「チキンミヤベヤ」)と「高等ライス」という絶滅の危機に瀕している2つの料理を試すこと。休日の昼間とあって周辺はのんびりした雰囲気。近くの伊奈波神社にはポツポツと参詣している人が目につく。バイクを道路を挟んで向かいにある駐車場に停め、改築して老舗にしては新しい店の中へ。

「ミヤビヤ」という料理名を載せている洋食屋は、自分の知る限りではこの中部地方にほんの少し。しかもそのうちの1軒、同じ岐阜市で創業が一番古い「三河亭」は現在休業中(再開はないままなのかな…)。「高等ライス」という料理名が残るのも自分の活動範囲では2軒のみ。そのうちの1軒は先述の三河亭なので、現在のところ、このあじろ亭のみ(注・どちらも自分の知る範囲です)。

テーブル席に座り、2つの料理とも注文。しばらくして、まず高等ライスが運ばれる。高等ライスは丼に入ったカレーライスの上に玉子が載ったもの。玉子は白身こそ固まっているが、黄身は生に近い。土台になっているカレーは色が薄く、まるでグリーンカレーのような色。ご飯は少なめ(この店はどのメニューもご飯は少なめのよう)。カレーは前に出てくるような辛さはないマイルドなものだが、ピリッと辛い。使われている肉は牛肉なので、ひょっとするとここの看板の飛騨牛ステーキなどの端肉を使っているかもしれない。途中で黄身を崩しておいしく頂いた。どうしてこれが「高等」と名付けられたのか気になるなァ。

あとから出てきたチキンミヤベヤは小さめの平皿に盛られ、具の構成は勝利亭のミヤビヤと変わらない(ただしこちらは椎茸でなく、しめじ)。玉葱はやや細長く切られている。デミグラス・ソースはやや濃いめの味付け。(料金は安いが)量が少なめなので、これ1品ではちょっと物足りないだろうか。どちらが発祥のお店なんだろう? それになぜ東海3県にだけこの料理が現存しているのだろう? 例えばなんらかの繋がりがあったとか…。それとも昔はこの料理を出している店がたくさんあったとか…。興味は尽きない。(勘定は¥1,200)

 前回の記事はこちら (1

この後の記事はこちら (3)(4)(5)(6

ミヤビヤがある名古屋の勝利亭の記事はこちら

 

あじろ亭

岐阜県岐阜市伊奈波通1-65

 

(ミヤベヤ チキンミヤベヤ ミヤビヤ チキンミヤビヤ エビミヤビヤ)

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勝利亭 (2) @名古屋市西区・円頓寺 (※閉店)

2014年06月29日 | 名古屋(中村区・西区 老舗)

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 ↑ 五条橋側から見た商店街入り口と勝利亭

名古屋駅から少しだけ離れた(徒歩10分位か)円頓寺(えんどうじ)商店街の入り口にある創業明治42(1909)年の老舗洋食店「勝利亭」に久々の訪問。およそ1年ぶり。この日は以前から気になっていたメニュー「ミヤビヤ」がどんなものなのか確かめに行ってみた。この料理名をメニューに載せている店は、自分が知っている範囲ではこの店と、岐阜の1軒(そこでの名前は「ミヤベヤ」→未食)とあとわずか。すべて東海3県というのも面白い。語源が何なのか気になるなァ。

近くにバイクを停めて、午後1時過ぎに店に入る。この日は先客がおらず、自分が入った後に数組の客が入ってきた。おばちゃんに「ミヤビヤ」を注文。エビとチキンがあったが、エビを選んだ。ライスはなしで注文した(注・この店のライス¥200は単品料理とは別料金です)。どんなものが出てくるのかワクワクして待つ。もちろんネット上や本で写真は見た事があるのだが、こればっかりは本当に口に入れてみないと実際にどんな味なのか分からない。

しばらくして料理が運ばれた。平皿にデミグラス・ソースで煮込まれた、大きめの角に切られた玉ネギ、椎茸、グリーンピース、そして小振りなエビがたくさん入っている。真ん中には玉子が落とされている。表面が白くなっているのでオーブンで焼かれているのかもしれないが、スプーンを入れてみるとほとんど生玉子。デミは濃いめの甘めで、エビにはしっかり火が通っている。ライスは無しで頼んだが、やっぱり欲しくなる…。崩した玉子と混ぜて食べるとさらにマイルドになり旨い。ほぼ想像通りの味ではあったが、他所に無い歴史あるメニューを口に出来て嬉しい。値段の割に量はちょっと少なめ。平皿の真ん中にのっているだけなので、これ単品だけではちょっと物足りないかも。次こそは前回必ず、と思っていたメンチカツか、それとも正体不明のビーフライスか…。あ、お店のお母さんにミヤビヤの語源を訊くのを忘れた…。(勘定は¥1,250)

※残念ながら令和元年5月31日を以って閉店されました

 

前回の記事はこちら (1

この後の記事はこちら (3)(4

 

勝利亭

名古屋市西区那古野1-2-17

(しょうり亭 しょうりてい ミヤビヤ チキンミヤビヤ エビミヤビヤ)

近隣ではまだ未訪問だった店がいくつか閉店してしまっていた。「西アサヒ」(写真左)は一度店の前まで行って、予定が変わって入るのを止めてしまったすぐ後に一時休業になり、以来ずっと「休業中」のまま…無念。今をときめく「コメダ珈琲店」(写真右)はこちらが発祥の店のはず(つい先日閉店とのこと)。最後は以前から気になっていた「ラク亭」(注・筒井町商店街の店は営業しています)の現在の様子。

Photo  Photo_2

Photo_3

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