ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

安兵衛 @愛知県岡崎市 (2)

2023年08月22日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県岡崎市内を散策。以前にも訪れてそのクラシックな洋食メニューに胸が湧きたった元能見町の「安兵衛」を再訪。正確な年は分からないが創業して70年程だそうだ。店は中心部から少し離れた街中にあり、かなり年季の入った外観だが、メニューには「エスカロップ」「ハイシビーフ」「ミヤビヤ」「フライタース」「カスタードミンチ」「フーカデン」等の今では見ることの少ない絶滅危惧メニューが揃っているという貴重な店(注・ただし現在は名前だけ載っているものの配膳されていない品も多い)。以前訪れた時には「チキンエスカロップ」と「トルコライス」をいただいた。

店内には先客の老夫婦が2組。メニューを凝視して再確認。というのも実は先日、某地図アプリでこの店の最近のメニュー表の写真を見たのだが、あの「チキンミヤビヤ」に値段が付いているのを発見!(※値段の表示してある品は提供可)。気になっての訪問となったのだった。以前の訪問時には付いておらず注文出来なかったので復活ということだろうか? ワクワクしながら、まずは給仕の年配女性にメニューに載っていないノンアルコールビールがあるか訊いてお願いした(車なので)。今回はのり塩のポテチ付き。そして改めて「チキンミヤビヤ」を注文した。

ご高齢の女将さんの姿が見当たらないなと思っていると厨房の中で調理をしていらっしゃった。以前は女将さんが給仕で、調理は違う方がやっていらっしゃったと思うのだが(未確認)。古びて薄暗い店内でノンアル(キリン零ICHI )を啜りつつ、出来上がりを待つ。ノンアルのビールってビール代わりに仕方なしに飲む人も多いと思うのだが、どうして瓶は量が少ないんだろう?…。

しばらくして「チキンミヤビヤ」が登場。少し深さのある平皿に盛られていて、具材はチキンの他、玉ねぎ、人参、椎茸。タケノコも入っているかな。上にのった目玉焼は黄身が流れ出るくらいの火入れ加減でグリーンピースが散らされている。早速スプーンを入れていく。味の基本はデミグラス・ソースのよう。旨い。不覚にも早く黄身を潰してしまったので混ぜ合わせながらもいただく。オーブン調理してあるかどうかは分からなかったが、コクのある味わいと歴史を味わった。こちら、まだ「テンドロアンステーキ」「イタリアンコロッケ」「イタリアンポーク」「イタリアンスパゲテー〔ママ〕「オムライス」など食べてみたい品が沢山。近くだったら絶対全メニュー制覇するのに。胃袋があと2つくらい欲しい…。

5年程前に名古屋最古の洋食店、円頓寺の「勝利亭」が閉店して、東海地方の歴史ある洋食店にだけ残る不思議なメニュー「ミヤビヤ(ミヤベヤ、メアベア)」を現在提供しているのは、岐阜「あじろ亭」、武豊「享楽亭」、津「中津軒」(未訪)の3軒だけだとメディアでは言われているが、ここや、瑞浪「満月」(※閉店)、津島「三すじ」(未訪)など、メニュー復活を含めて歴史ある店、あるいはその系譜にある店ではひっそりと提供している店がまだあるかもしれない。(勘定は¥1,200)

以前の記事はこちら (1

 

 


 

↓ 店のすぐ向かいにある理容店「澤田理容館」(建築詳細不明)。以前は気付かなかったが、よく見ると瓦屋根に不釣り合いな2階の欄干付きの格子窓や、1階の将棋の駒のような明かり窓、入口の斜め付け扉など、とても個性的。結構古い建物なんじゃ…。

 

 

↓ 周囲を塀で囲ってまるで城のような「浄誓院・松本観音」(建築詳細不明)。こちらから見ると寺なのに中に入るのを躊躇してしまう要塞(笑)(表側には普通に参道があります)。

 

↓ 参道が小さな商店街のようになっていつも活気がある「松應寺」(建築詳細不明)。来るたびに装飾が変わっていたり、若い人が集うカフェや飲食店があったり、小さい子も立ち寄るような商店があったりと面白い寺。誰か仕掛け人でも居るのかな。自分は誰も居ない蚤の市で盃を見付けてきた(皿の上にお金を置いてくるだけ)。

 

 


 

 

 

レストラン 安兵衛

愛知県岡崎市元能見町172

 

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日之出食堂 (3) @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2019年12月24日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜グランドホテルで仕事の用事があったある日、用事が済んだ後はホテルでフルコースの料理とフリードリンクが用意されていたのだが…、普段顔を合わせたこともない見知らぬ人達とのコース料理は遠慮したい気分だったので、ちょっと勿体無いかなとは思ったけれど事前に断っておいた。そしてのんびりと歩いて向かったのは…「日之出食堂」(笑)。夜に来るのは初めてかも。庇看板の”之出”は台風で飛んだのかな。ここは通し営業だと思ったが、まだ5時を過ぎたばかりの早い時間とあって、ご高齢の夫婦は客席で休んでいらっしゃった。申し訳なし。カウンター席に着いて注文したのは「エスカロップ定食」。以前から食べてみたかった品だ。「エスカロップ」というと北海道は根室のご当地洋食として有名。炒めたライスの上にトンカツがのり、デミグラスソースがかけてある物と認識している(未食)。でもどういう経緯でこちらのメニューにラインナップされているのかは分からない。ここは「トルコライス」といい、「チキングレー」(※現在はメニュー落ち)といい、本当にメニューが不思議。どうやってこの岐阜市まで(というか親父さんまで)伝播したのだろう。定食だと通常ラーメン鉢に入ったスープと大盛ライスが出てきてしまうので、女将さんに「スープとご飯は半分で。」と告げておく。さっそく主人の調理が始まった。

L字カウンターの短辺に座ったので主人の所作がよく見える。大きなカツを揚げ始め、寸胴に入ったたっぷりのスープに火を入れた。主人が北京鍋を熱して何か炒め始めた。そこにケチャップとお好み焼きソース(!)らしきものを投入している。しかもそれをカツの上にかけるんじゃなく、しっかりと鍋での中で一緒に煮込んでいるようだ(細かい所までは見えない)。そして完成した「エスカロップ定食」が女将さんによって運ばれる。

大きな楕円の平皿に盛られた「エスカロップ定食」は迫力ある大きなカツが濃い色のソースをたっぷりと纏って鎮座している。添えられているのは大量の千切りキャベツときゅうり、トマト。野菜には最初から線状にマヨネーズがかけられていた…(→苦手)。早速エスカロップを口に入れる。ソースはかなり甘めの味付け。煮込まれているのでカツの衣はもちろんゆるゆるに。ソースの中にとろっとした口当たりのものが入っていて最初何か分からなかったが、途中で火入れしたトマトだと気づいた。これがなかなか面白い風味を加えている。全体の味付けは自分には甘過ぎるので酢を足したり、辛子をつけたりしてご飯を掻き込んだ。ご飯は半分でお願いしてもまだ普通サイズの茶碗に多めの量だが、スープは常識的な量だった(←普段が多過ぎ・笑)。それでもさすが「日之出食堂」、カツも大きいし、キャベツも多いのでお腹はいっぱいに。これでご飯が普通サイズ(大茶碗に山盛り)でスープも普通サイズ(ラーメン鉢)だったら食べ切れなかったかも。ビール頼まなくてヨカッタ…。勘定してもらった時には何人も客が入って来て忙しくなったので、”エスカロップ”の由来を訊くのはまた別の機会に。(勘定は¥1,550)

以前の記事はこちらとこちら

 

日之出食堂

岐阜県岐阜市長良真生町2-15

※残念ながら閉店されました(令和4年11月現在)

 

 ( 岐阜 ぎふ 長良 ながら ひので食堂 日ノ出食堂 日の出食堂 中華 中華料理 中国料理 エスカロップ スカロップ トルコライス チキングレー定食 オタフクソース 閉店 廃業 ) 

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安兵衛 @愛知県岡崎市

2018年07月12日 | 愛知県(三河)

岡崎訪問で必ず寄ってみたいと思っていたレストラン「安兵衛」。周辺は寺(松應寺)の周りに商店の並ぶ小路があったりと、昔は花街だっただろうか。もちろんそんな街には必ず古い洋食屋があるもの。年季の入った建物にレストランとはアンバランスな店名の看板が見えた。店に入ると広いフロアーにテーブル席が並んでいる。店内はちょっとくたびれているが、バーカウンターの名残もあって往時はさぞかしハイカラな店だったろうナ。給仕は老齢の女将さん。厨房の中も女性のようだ。こちらのメニューが凄い。「エスカロップ」「ハイシビーフ」「ミヤビヤ」「フライタース」「フーカデン」など絶滅危惧の古(いにしえ)の洋食名が並ぶ。古い店を食べ歩いている自分も後ろ2つはどんなものか全然分からない(※)。ただメニューには載っているものの、残念ながらもう提供は止めてしまっている品もあり…(値段のところが伏せてある)。メニューを見ただけでこんなに興奮するのは初めてかも(笑)。こちらの創業年は調べてもよく分からなかったが、このメニュー名からいくとかなりの歴史があるんじゃないだろうか。東海地方に残る「ミヤビヤ」があるのはどこも100年近くの歴史がある店ばかりなのだ。まずは瓶ビール(キリンラガー)と「チキンエスカロップ」を注文した。ビールには我が最愛のスナック菓子「かっぱえびせん」(笑)が付いてきた。

※女将さんに尋ねたら「フライタース」は”一口カツ”とのこと。「フーカデン」は”スコッチエッグ”のようなもののようだ。

冷たいビールとかっぱえびせんをポリポリやりながら待っているとナイフとフォーク、それに「チキンエスカロップ」が運ばれた。細目の衣のチキンカツがどっぷりとケチャップソースにくぐらせてあり、付け合わせは千切りキャベツにトマト、キュウリ、それにポテサラ。部位はもも肉で、まだカリッとしているところをナイフでカットして口に運ぶ。ウマイウマイ。熱々をビールといただく幸せ。近ければ全メニュー制覇したいところだがそうもいかない。胃袋が2つあったらいいのに…。そこでお腹にちょっと無理をして「トルコライス」を追加した。

しばらくして平皿に盛られた「トルコライス」が登場。トルコライスと言えば一番有名な長崎ではピラフ、ナポリタンスパゲティ、ドミグラスソースのかかった豚カツという組み合わせ(岐阜市ではまた違うが・笑)。これでもなかなかに不思議な食べ物だが、こちら安兵衛の「トルコライス」はまた全然違う。ぱっと見はピラフなのだが、刻んだ黒いキクラゲや玉ねぎなどの野菜、それになんとボール状の小さなポークカツがいくつも入っていて、全部混ざっている。何じゃこりゃ、こんなの見たことない…。味付けはバターに塩、胡椒といった感じでシンプルだが、丸くて小さいポークカツもピラフと一緒に口に入るし、キクラゲの食感も面白い。旨いなァ、コレ。無理した割に難なく完食し、1人宴会は終了。名残惜しいが勘定してもらった。

次に来ることが出来たら…、前菜に「カニコキール」と「黒ビール」、「一級酒」を追加してメインは「ミンチエッグス」、財布に余裕があれば「テンドロアンステーキ(※)」、締めは「オムライス」か「特製カツ丼」、いや「ミートスパゲテー(※)」でもいいなァ(←妄想中)。岡崎に住んでいる人達はこの店の価値、分かってくれているだろうか? ※品名はメニュー表記のママ (勘定は¥2,300程)

この後の記事はこちら (2

 


 

↓ 店の近くにある家康ゆかりの「松應寺」の木造アーケード参道にテナントが入っていたり(松應寺横丁)、その脇道に商店が点在している面白そうな場所。子供達が駄菓子屋の外のテーブルでかき氷を食べていた。

 

↓ 店から遠くない丘の上には「六供浄水場ポンプ室」(昭和8年・1933・建造)と、隣接する「配水塔」(昭和9年・1934・建造)。以前はもっと近寄れたようだが、現在はフェンスで囲われてしまっていて遠い。六供(ろっく)ってカッコイイ地名だなァ。

 

↓ 市田町の「旧・志貴小児科医院」(昭和3年・1928・建造)。奥の建物は新築され、別棟も撤去されていたが、この建物だけは綺麗に修繕され塗り替えられている。

 

↓ その向かいに建つ「龍城温泉」(建築詳細不明)。タオルまで持っていったが残念ながら時間が合わず入ることが出来なかった。中はなかなかの渋さらしい。是非次回こそ…。

  

 

 


 

 

レストラン 安兵衛

愛知県岡崎市元能見町172

 

( 岡崎 おかざき やすべえ YASUBEI 洋食 洋風料理 レストラン オムライス ミヤビヤ エスカロップ 花街 松応寺 近代建築 近代産業遺産 銭湯 )

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マカロニ軒 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2018年03月11日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市三番町の「のはら湯」(創業明治27年)で汗を流した後、JR岐阜駅に向かい、最近円相グループが出した日本酒が呑める店に向かうも、ランチが終わりかけの時間帯でまだ店が呑む雰囲気でなく、店の外に出ていたメニューを眺めたものの何か違うなァという気になって、同じビルで同グループの洋食屋「マカロニ軒」へ。こちらもまだ出来たばかりの新店。店の前まで行くとすぐ前のウエイティング用のベンチで酒片手に弁当を食べている剛の者(年輩)が…。店の人、そこは注意してもいいでしょ(笑)。店に入ると意外と簡素な内装。そつのない店造りをする会社なので、洋食屋としてもう少し雰囲気のある店なのかなと思っていたので意外(いわゆる”レトロ”っていうのを避けたのかな)。厨房前のカウンター席に案内されたので、腰かけてすぐに生ビールと「マカロニサラダ」を注文した。

喉がカラッカラなので五臓六腑にビールが滲みていく。「マカロニサラダ」はとても安い値付けなのにしっかりとした量があり、ねっとりとしたマヨネーズ和えにパセリが散らしてある。ビールのつまみにちょうど良かった。新しい店はどこもそうだがオーダーを含めてハンディ機器を使ってシステマチックに事が進んでいく。それだけならいいのだが客にはやや慇懃無礼。そして店員同士は「オーダー入りま~すっ!」「ハイヨーッ!」「〇×いただきました~っ!」「ハイヨーッ!」とかまびすしい。まるでどこかのラーメン屋のよう…。しかもカウンター席の頭の上に厨房があるような配置なので余計に…。世間がこういうのを求めているのかもしれないし、これを”明るく元気な接客”と評する浅慮な人も居るのだろうが、何でもかんでも大声を張り上げるのは幼稚過ぎないか。居酒屋じゃないんだから(←オイオイ居酒屋使いしてるじゃないかっ)もう少し落ち着いた大人の接客をして欲しいものだ。

こちらのメニューの特徴は何といっても主に中部地方の老舗洋食屋などに残る絶滅危惧メニューを取り上げているところ。「エスカロップ」「チキンミヤビヤ」「チキンマーブル」など、自分のように老舗食堂を食べ歩いている人間にはグッとくるものばかり(ただ「包み焼きハンバーグ」は銀座の「つばめグリル」か京都の「東洋亭」かな)。若干あざとさも感じるが、なかなかいいところに目を付けたなァと思う。仕掛人は言うまでもなくかなりの切れ者だ。そんなメニューの中から現在4店(名古屋市「勝利亭」、岐阜市「あじろ亭」、武豊町「享楽亭」、津市「中津軒」)に存在している「チキンミヤビヤ」と「角ハイボール」を注文した。ワクワク…。

しばらくして運ばれた「チキンミヤビヤ」は浅い丸皿に入れられオーブンで焼かれているのだろう。具はチキン、玉ねぎ、きのこ、グリーンピース、パセリ、そこに玉子が落とされている。老舗と違ってかなり濃い色のデミソースで煮込み焼かれているのだが、ソースはサラッとしていて少なめ、具材の切りも小さめ。玉ねぎは薄いのだが口に残る食感がある。これは一番外皮に近いところかな…。落とされた玉子は白身も透明なのでほとんど生卵の状態。全体的に具材の量も少なく、見た目からいくとオーブンでの火入れが長いよう。後発なのでもっと料理的な完成度を上げてくるのかなと思いきや…、若い客が興味で試してみてもこの値段で2回目があるかどうかちょっと心配。この材料だったらもう少しヴォリュームを持たせてもコストはさほど上がらないのでは。とは言っても、こういった岐阜市内にも残る絶滅しそうな貴重なメニューが日の目を見たのは快挙。次は「高等ライス」ですかね(笑)。(勘定は¥2,200程)

※同グループの「エリックサウス」開店に伴い閉店されました

 

 


 

↓ 前に建っていた建物が更地になり、”アッパッパ”になってしまった創業明治27年(1894)の銭湯「のはら湯。この日はスチーム湯が壊れていたのが残念。

 

 


 

BISTRO マカロニ軒

岐阜県岐阜市橋本町1-10-1 ACTIVE-G 2F

 

( 岐阜 ぎふ 岐阜駅 アクティブG ビストロ 洋食屋 洋食 円相フードサービス 円相グループ イナダシュンスケ 老舗洋食 ミヤベヤ マイヤベーヤ 閉店 )

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日之出食堂 (2) @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2016年05月05日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市の中では盛りのいい店として、その筋のファンにもつとに知られた「日之出食堂」。こちらの主人も高齢なので、行けるうちに出来るだけ通っておかないと、と思ってもなかなか機会は訪れず久しぶりの訪問。年季の入った暖簾をくぐると、カウンター席にはまだ誰も座っていなかった。この日はこちらの名物「肉の天ぷら定食」に”決め打ち”して来たので、迷わず注文。すぐに後から客が何人もやって来て賑やかになった。常連と思しき客は主人とゴルフ談義。話を聞いているとしょっちゅうグリーンにも出ているようで、自分なんかよりもよほど元気な様子。心配ないな、こりゃ(笑)。

慣れた手付きで調理が始まる。野菜の詰まった寸胴からスープがすくわれ、玉子を合わせて玉子スープに。定食にはこれがラーメン丼ぶり一杯(大きなお玉4杯分!)出てくるから凄い。でもこのスープ、やさしい味付けであっさりしてスイスイ飲める。中華料理屋でよくある、いわゆる人工的な味ではなく、肉類の合間にもちょうどいいのだ。そして大きなご飯丼ぶりと共に山と積まれた肉の天ぷらが運ばれる。脇にはこれまたたっぷりのキャベツの千切りとトマト、きゅうり。さぁ、いくゾ、と気合いを入れてやっつける。豚肉は端肉なので衣も多いが、それにしても何個のっているんだという量。サービス精神たっぷり。食べ盛りの高校生時分なら狂喜乱舞していただろう。今は失礼の無いように残さず食べる事に集中。小皿に入れたカラシ醤油で食べるのがこちら流(途中で酢や胡椒を加えても)。味付けも軽いので心配をよそに軽く完食。まだいけるナ。次はあの「エスカロップ定食」か「チキングレー定食」か。(勘定は¥890)

以前の記事はこちら

この後の記事はこちら

 


 

 

↑ 岐阜市を流れる長良川。こちら忠節橋の上流にある河川敷と道路を挟む欄干は「特種提(特殊提)」と呼ばれる変わったもの。溝が切ってあり、洪水になるとちょうどそこに畳を差し込めるように出来ているのだ!(別名:畳提)

↑ 特種提の河川敷からの昇り口。畳は濡れると強度を増し、使用後は堆肥として利用可なんだとか。昭和13年(1938)に完成しており、現存するのは日本で3か所しかないんだそうだ。何とかこのまま残らないだろうか。

 


 

日之出食堂

岐阜県岐阜市長良真生町2丁目15

※残念ながら閉店されました(令和4年11月現在)

 

 ( 長良 ながら ひので食堂 日ノ出食堂 日の出食堂 エスカロップ スカロップ トルコライス 長良川特殊提 特種提 特殊提 畳提 たたみ提 とくしゅてい 近代遺産 閉店 廃業)

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日之出食堂 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2014年08月01日 | 岐阜県(岐阜)

Photo_2

岐阜市の長良高校の近くにある食堂「日之出食堂」。盛りのいい店として知られていて、その筋(デカ盛りとか大食いの方達)ではけっこう有名。元は中華料理屋だったようで、今でも店の表のガラスにはうっすらと「広東料理」という文字を読む事が出来る。老齢のご夫婦で経営されていて、調理は御主人。様々な定食メニューの他に、なぜか長崎で有名な「トルコライス」があるというので行ってみた。

雨の降る休日の昼どき、暖簾をくぐると店の中にはもうもうとした煙が。カウンター席にはすでに先客が数名いて、デカ盛りメニューとして知られる肉の天ぷら定食をやっつけている。おかずはもちろんのこと、ご飯はどんぶりだし、スープもラーメン丼。さすがの盛りっぷりだ。自分は最初から決めていたのでトルコライスを注文した。

世間一般で知られるトルコライスは、長崎のピラフ、ナポリタンスパゲッティ、デミのかかった豚カツが平皿に盛られたもの。その他にも大阪や神戸にも内容が違うものが存在するとのこと。本場で食べたことがないので味については何とも言えないが、だいたいの想像はつく。でもこちらで提供されるトルコライスはどこのものとも違うとの事。カウンターの中では主人が黙々と調理を始めている。鶏の唐揚げも入るようで、次々と揚がった熱々の唐揚げを事も無げに素手で掴み、まな板の上へ(笑)。女将さんが普通の白いご飯を盛った平皿の上に、ネギの入った玉子薄焼き、鶏の唐揚げ、胡瓜、トマト、チャーシューが盛られ、運ばれてきた。すごい、どことも違うオリジナルなトルコライス。

玉子焼きは中華っぽいやや塩の効いた味付けで、これに餡でもかかったら天津飯といったところ。それぞれの具を融合させるような特別なソースは無いのだが、食べ進めると、胡瓜やトマトがいい感じのアクセントに。生の胡瓜とご飯って新鮮(笑)。そういえば、鶏の唐揚げ以外の具は、まるで冷やし中華だ。どうしてこれがトルコライスという名前で岐阜県のこのお店に残ったのかとても興味深い。店が暇だったら主人にでも尋ねてみるところだが、地元に愛されているとみえて、この後もたくさん客が入ってきたので、また次の機会に。次は盛りのいいメニューにチャレンジしてみようか、それともメニューで気になる「チキングレー」か「エスカロップ」にしようか…。(勘定は¥700)

この後の記事はこちらこちら

 

日之出食堂

岐阜県岐阜市長良真生町2丁目15

※残念ながら閉店されました(令和4年11月現在)

 

( 日の出食堂 日ノ出食堂 ひので食堂 ひのでしょくどう 閉店 廃業 )

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ラク亭 @名古屋市東区・車道

2014年05月09日 | 名古屋(東区・北区 老舗)

Photo_2

名古屋市東区の筒井町商店街にある老舗洋食屋「ラク亭」。創業は大正5(1916)年とのこと。店のすぐ裏に徳川家の菩提寺・建中寺の総門があることから、この商店街が門前町として発展しただろうことが想像できる。ちなみにこの総門側に小さいながらラク亭の駐車場があった。自動車の方はこちらへ。店の壁面にはポップなフォントの看板があり、角の丸い窓など意外に凝った意匠の建物。中に入ると正面奥が厨房、広い店内にはテーブルが並んでいる。

ランチ時間帯の訪問だったが、気になっていたメニュー「スカロップ」にしようと決めていた。スカロップと言うくらいなので最初は帆立貝のメニューかと思っていた。語源と言うかルーツは何なのだろう(※)。少なくとも他の洋食屋で見た覚えはない。注文すると「スカロップ・ライスですね」と念を押される。メニューには基本的に単品が載っていて、200円で平皿のライスと味噌汁が付くようだ。しばらくして平皿に大きなカツが登場。豚カツがデミグラス・ソースにどっぷり漬かって真っ黒になっている。叩いてあるのか分らないが、かなりの大きさのカツ。上からソースがかけてあるのではなくしっかり裏まで漬かっている。付け合わせは野菜サラダと少量のパスタ。ソースはコクはあるがサラっとしている。ナイフを入れて頬張ると揚げたてのカツのサクサクとした食感とソースがあいまって旨い。もちろんご飯と合わない訳がない。味噌汁はなめこ。食べ進むうちに次第にカツの衣がソースと一体になってしっとりとしていく。それも悪くない。あっという間に完食。ぜひ他のメニューも食べてみたいな。(勘定は¥1,100) 

※主人によるとイタリア語のスカロピーネ(Scaloppine)が語源だとか(※諸説あり)。

この後の記事はこちら (2)(3)(4

2

ラク亭

愛知県名古屋市東区筒井1-10-14

 

( 名古屋 なごや 筒井 つつい 筒井町商店街 らくてい ラクテイ 洋食 老舗 オムライス デミソース スカロピーネ Scaloppine スカロップ エスカロップ )

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