明治42年創業という長い歴史を持つ、名古屋の古い商店街「円頓寺(えんどうじ)商店街」にある洋食店。この界隈は空襲でも焼け残ったのか、まだ細い路地が残っていて、一歩路地に入ると名古屋駅にほど近いとは思えない軒の近い古い町並みを歩く事が出来る。昔から商店街の名前は知っていたし、よくテレビや雑誌などにも紹介されるのだが、訪問するのは今回が初めて。天井の高いアーケード街は日曜日とあって人通りは寂しいが、ポツポツと営業している店もある。
勝手な想像だが、店名からいくと日露戦争(明治38年終結)での戦勝を祝ってつけられたのだろうか(でも4年後にそれはないか)。お店の見た目も中も昭和の喫茶店といった感じ。自動ドアが開いて店内に入ると、開店してすぐなので先客はなし。とても暑い日だったので古めのエアコンがフル回転している。かくしゃくとしたお婆様がお水を運びながら注文をとってくださり、訪問前から決めていた大好物のオムライスを注文。
厨房は客席から見えず、奥で鍋を振る音が聞こえてくる。出来あがったオムライスを持って現れたのは娘さんだろうか。しっかりとしたヴォリュームのオムライスには最初からケチャップがかけられておらず、お好みでかけられるように別容器を渡される。ものの本によると大手のカゴメはトマト・ケチャップを開発する際に、ここの店主の意見を求めたんだとか。しっかりケチャップが絡まったご飯の中には大きめに切られたハムなどが入っていて、それだけでも旨いが、やはりケチャップを少し垂らして酸味を加えると更に旨い。喫茶店のような見かけなので玉子の部分もよくあるペラペラのタイプかと思いきや、半熟の部分がご飯と絡まった見事に自分好みのタイプで嬉しかった。こういうオムライスを食べるとうれしいね。
後から入ってくるお客が注文する率が高いのが、このオムライスとメンチカツ。次は必ずメンチカツも頼んでみよう。決して安い値付けではないが、古い歴史を声高に謳う訳でなく、マイペースで続けられているこんなお店が近くにあったら通っちゃうだろうな。(勘定は¥850)
※残念ながら令和元年5月31日を以って閉店されました
名古屋市西区那古野1-2-17